【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)

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無垢な花嫁は、青焔の騎士に囚われる【短編版】

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 ――国境沿いにある砦にて。

「フィオーレ・オルビス・クラシオン様」

 誰かに名前を呼ばれて、はっとする。

(いけない、ぼんやりしていた……)

 目の前にある鏡には、亜麻色の腰まである波打つような髪に、黄金の瞳をした少女――いや、近頃成人したので女性が映っている。
 純白のドレスを身にまとい、頭には小さな銀の冠が乗っており、白いレースのケープで幼いと言われる顔は隠れてしまっていた。

(本当に、私、他国に嫁ぐのね……)

 鏡越しに映る、紅い髪をした幼馴染の護衛騎士に視線を移す。

(ずっと一緒にいたけれど、もうお別れね、イリョス……でも、もう私は振り向かない……)

 幼馴染の彼も、私に何かを語り掛けることはなかった。

「では、参ります」

 そうして私は、国境にある砦の一室から旅立ったのだった。



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