96 / 118
花嫁は、竜の舌と尾に蕩かされる〜愛しの貴方の正体は!? 8つの舌で全身愛撫はやり過ぎです〜
3※
しおりを挟む「八人で喋っているふりをしているだけで、私は一人の人格なのだ」
「へ……?」
言われている意味がよく分からずに問い返す。
「それは、つまり……?」
「そのままの意味だ。暗い洞窟で一人、辛くてな……独り言が増えてしまって……そうだ、せっかく頭が八つあるから、兄弟のように、それぞれで喋ったりしたら楽しいかもしれない……そう思って、人形遊びのように、一人で八人を演じ分けて暮らしていたんだ」
しばし沈黙が落ちる。
出会ってすぐ、あんなに恐ろしかったヤマタノオロチだったのだが――。
(なんだか可哀そうに見えてきた……)
じわじわと同情心がわいてきた。
(私も、家族もだれもいないからと、ヤマタノオロチの妻に選ばれ、村の皆から避けられて生きてきたのだったわ)
自分の過去の境遇が、目の前の異形の怪物のそれと重なった。
ヤマタノオロチに対する恐怖心がどんどん和らいでくる。
そうして、八つの頭が一斉に話し始めた。
「だから、鶴姫が、私のところに嫁いできてくれて、本当に嬉しいんだ。その、君は私の生贄ということになってはいるが、良かったら、子どももたくさんほしいなと思っている。月並みかもしれないが、幸せな家庭を築きたいんだ」
ヤマタノオロチは、照れくさそうに告げてくる。
「見たところ、鶴姫は可愛らしい女性だし、こんな大きな体の私を受け入れてくれと、頼みづらいのだが……一応国が決めたしきたりだし、君をさっそく私の妻にしても良いだろうか?」
なんだか彼ら――もとい彼は、恥ずかしそうに話していた。
「ああ、でも君が嫌なら、神官たちには適当なことを言っておくから、後からでも良いんだよ」
(オロチ様……)
出会ったばかりだが、どうせ夫婦になるのだからもうここで覚悟を決めてしまおうと思った。
それに――。
「孤独な者だった同士で、家族をたくさん産んで、幸せになるのも楽しそうです」
私は自然と、オロチに笑顔を向けていた。
「鶴姫」
「だから、オロチ様、どうかお願いいたします……」
ヤマタノオロチは、嬉しそうに一声鳴いた。
(受け入れるのは良いけれど、でもやっぱり……)
人として――というよりも、竜として悪い存在ではなさそうだが、やはりこれだけ巨大な身体をしたヤマタノオロチの妻になることが、本当に可能なのだろうかと不安は沸く。
私が俯いていると、一匹の頭が、私の頬をぺろりとなめた。
「こわいだろう、鶴姫……まだ成人したばかりだというのに、このような目に合うとは……君の身体が傷つかないように大事に扱うから」
そう言うと、一つの舌が、私の唇をぺろりぺろりと舐めた。
「あっ……」
唇に誰かの粘膜が触れる経験は初めてで、身体がぴくんぴくんと震える。
そのうち、オロチの舌の一つが口の中に侵入して、それこそ蛇のように蹂躙し始めた。
「んんっ……あ……」
21
お気に入りに追加
684
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる