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伯爵、ご令嬢がこちらをみています!

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 アンナ嬢が屋敷の中を見て回ると言って、居間から立ち去った後。

 彼女をどうするかについて、二人きりになったテオドール様とわたしは、ひそひそと相談をしていた。

「おおかた、また私が金持ちに戻ってきたことを嗅ぎつけてきたんだろう。そういう現金な女なんだ、あの女は……」

 ものすごくうんざりした顔をしたテオドール様。

(なんだか可哀想)

 夫に同情していたら、ふと、居間の扉が開いていることに気づく。

(あ、扉が半開き。しめよう)

 そう思い、椅子から立ち上がって、出入り口に向かおうとしたところ。

「マリア……」

「え……?」

 気づけば、テオドール様に後ろから抱きしめられていた。

 もつれがちなくすんだ金髪をかき分け、背中にいる彼が、わたしの首筋に顔を埋めてくる。

「せっかく二人だけの時間が出来たのにな……」

 すると――。

 彼が後ろ手に、わたしの両胸を包んでいた。

「ふぇっ……! テオドール様、ダメです。家事をした後なので、エプロン汚れちゃって……んっ……」

 エプロン越しに、胸の上を彼の手がゆっくりと動く。

「んんっ、ん、あっ、んっ、ん……」

 好きな人に触れられて、とても気もちが良い。けれど、立ったまま身の置き所がなくて、わたしはもじもじしてしまう。

 その時――。

「壁に手をつけ」

 メイド時代のくせで、反射で彼の命令にわたしは従っていた。
 言われるがまま、近くの壁に両手をつく。

 胸を愛撫されたまま、首筋に何度も彼の唇が触れてくる。
 時折、首筋の弱い部分を彼の柔らかい唇に吸いあげられて、全身にびくびくと快感が走っていく。

「んっ、ふぅっ、あっ、テオドールさ、まぁ……」

 だんだん脚の間にある下着が、じわじわ濡れていくのが自分でも分かってしまい、恥ずかしくてたまらない。

 しばらくすると、両胸が彼の手から解放された。

 次に、わたしの黒いワンピースのスカートが腰の位置までたくし上げられる。さらに、ぐちゃぐちゃに濡れてしまっていた下着を、膝の位置まで彼の手によってずるりと降ろされてしまった。

「は、恥ずかしい、です……」

 多分。テオドール様の目に、わたしのお尻がさらされてしまっている。
 恥ずかしくて、どんどん私の頬が紅潮していく。
 あげく、私の脚の間からは、どんどん蜜があふれていってしまった。

「恥ずかしがってるお前も、可愛いよ」

「ふぇっ……」

 わりと寡黙なテオドール様だけど、時々こういうことを言ってくるので、心臓に悪い。
 
 私がドキドキしていると――。

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