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凍てつく百合の令嬢は、婚約者の弟に狂おしく愛される

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 純潔を奪われて以来、彼は昼夜問わずに、時間が出来ては私の部屋を訪れていた。
 部屋に閉じ込められたままの私は、毎日彼に果てるまで抱かれる日々を過ごすことになった。

 彼に抱かれている間は色んな気持ちでいっぱいになったが、確かに自分は生きているのだということは、まざまざと理解させられた。

「義姉様、これを挿しておくよ」

 彼が部屋に来る際には、いつも何かしらの花を手にもってくることが多い。

 今日は、百合の花だった。

(高潔な百合……私の名前……)

 グラース様に視線を向ける。

「グラース様は、私が嫌いだから、私が嫌がることをするのですか?」

 グラース様の頬がぴくりと震えた。

「そうだよ。ああ、やっぱり兄さんじゃなくて、僕に抱かれるのは嫌だよね?」

 私は彼にぽつりと答えた。

「グラース様は、イグニス様ではありません……」

「それもそうだね。僕は兄さんの代わりにはなれない」

 そう言って彼は、部屋を立ち去ろうとした。
 その背に、私は声をかける。

「グラース様が、イグニス様の代わりになることは一生ありません」

 彼は何も答えずに、その場を去った。

 残された私は、グラース様の背中をぼんやりと見つめる。
 
 そうしてぽつりと呟いた。


「相変わらず、子どもの頃から嘘が苦手な人」



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