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最終話 シャーロックside

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「絶対に私が貴女の分も――いいえ、貴女と一緒に、彼と幸せになっていきたいと思っています」

 墓へと向かうと、妻アメリアがマーガレットと対話していた。

(アメリア……)

 彼女の想いを聞いて、胸が熱くなってくる。


「あれ? シャーロック様!」


 妻が自分に向かって駆け寄ってくる。

 マーガレットの微笑みは、現すなら「月」のようだった。
 対して、アメリアは「太陽」のようだ。

 誰かの心を照らす陽の光のような彼女に、自分はどれだけ救われただろうか。


 今の自分には分かる。

 いつでも最期の時を共に過ごせるとは限らない。
 だからこそ、共にそばにいるということは有難く、そばにいる時に愛の出し惜しみをしてはいけないのだろう。


 かつて愛した彼女のことを忘れることは生涯出来ない。


 だけど、今隣にいる妻のことを――。


「お帰りなさい、シャーロック様!」

「ただいま、アメリア」


 走り寄ってきた彼女のことを抱きしめる。

 ――陽で輝く明るい花のような妻アメリア。

「ただいま」と言って「お帰りなさい」と言ってくれる人物がどれだけ貴重なのかを知っている。

 彼女のおかげで、再び生きる道を選ぶことが出来た。

 そうして、ずっと言えなかった想いが自然と口をついて出る。


「アメリア、君が妻になってくれて良かった。これからもずっと一緒に……そばにいてほしい。君の笑顔を――いいや、君を愛してる」


 月と太陽を胸にした青年は、今この瞬間の幸せを大事にしようと、愛する女性を強く抱きしめる。


 ――石碑の前に飾られた白いマーガレットの花が、愛する青年の幸せを願いながら風に揺れていたのだった。



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