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第4章 夏の終わり、消えゆく君が別れを告げる

17-1 数日離れてみて

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 予言通り、数日の間、美織は浜辺には来なかった。
 今日から天文学部の部活動再開予定だ。
 蒼汰は浜辺に膝を立てて座ると、潮騒を聴きながら美織の到来を待っていた。

「あいつ、まだ来ないな」

 彼はぼやきながら溜息を吐く。
 彼女とは三日離れていただけだったのに、一年以上会えなかったような気になってしまう。

「そもそもまだ出会って一か月も経ってないっての」

 なのに、美織が来るのがこんなにも待ち遠しくて、永遠の時間を待っているように思ってしまうのは……

「俺はあいつのことが……」

 美織の愛らしい小動物顔を浮かべるだけで、どうしようもなく気分が昂っていく。
 とはいえ、彼女の顔だけが好きなわけじゃない。
 この間の花火大会の時だって、つい花火の雰囲気に流されてキスをしてしまったわけではないのだ。

「あいつは俺のこと、どう思ってるんだろうな。ああ、順番、間違った。こんなことなら、先に告白しておけば良かったな」

 蒼汰は、先にちゃんと気持ちを伝えるべきだったと激しく後悔していた。
 夏祭りの夜、キスをしたが美織に断られることはなかった。
 つまるところ、自分たちは両想いということで良いのだろうか?

(しかし、俺の勘違いだったとしたなら……あいつのことだから、『ごめんね、あの時は花火が綺麗で雰囲気に流されちゃったんだ』とか言いかねないな)

 蒼汰はそんなことばかり悶々と考えてしまい、この数日間は寝つきが悪かった。
 だけど、これだけ覚醒しているのに全然疲れないのは、なぜなのだろうか。
 もしかすると、興奮しすぎているのかもしれない。

(もし告白したとしてフラれたんだとしたら、もう美織は俺のところに会いに来ないかもしれないんだよな)

 そう考えると、美織から蒼汰に告白してくるのを待った方が良いのだろうか。
 だが、それは何となく卑怯な気がしてしまう。
 だったら、告白しさえすれば、美織の気持ちは分かるわけで……
 けれども、今の関係性が壊れてしまうのは、蒼汰としては嫌だった。

「完全に袋のネズミだな」

 八方ふさがりになった蒼汰が、赤くなったり青くなったりした後に、頭を抱え込んだ瞬間。

「何々、君ってネズミさんだったの?」

「うわっ……!」

 唐突に美織が姿を現わした。
 蒼汰は、考えが読まれてはしないかと心配になってしまい、思わずTシャツの上から自分の心臓を手で押さえた。

「なんだよ、お前、脅かすなよ」

 そうして、背後にいるはずの美織の姿を見て、蒼汰は二度目の絶句を経験した。

「君はネズミには見えないんだよね、どっちかというとネコさんだよね」

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