26 / 35
第二章 魔王軍戦
第十四話 六世少女軍
しおりを挟む
エステル大陸に入って、何日かした。
車は途轍もない便利さを誇り、みんな大喜びだ。
尻はいたくならないし、(今までが悪すぎた…何か敷いても痛かった)動きやすい。
多少ガタガタなるが、そこまで酷くない。
強いて言うところも、特にない。
運転手が少し疲れるというところくらいか。
俺達はそんなエステル大陸によりつつ、とある情報を集めていった。
それは、とある男の話と、魔王の居場所の話である。
この二つは関連性があると思われるみたいだが。
そもそも、エステルを目指した理由は特にない。
当てのない旅路だったので、適当に来てみれば、驚いたことにだいぶピンポイントで当てているではないか。
それに、エステルに行くことを決めたときに誰も反対はしなかったから、来やすかった。
町の人に聞けば、大抵の住人は知っているようだ。
巷では勇者なんて呼ばれているらしい。
まぁ、そいつが人を救い続けたからだろう。
大抵、勇者の逸話は救出劇が多い。
そして、その勇者は魔王の居場所も知っているらしい。
なので、勇者の存在を確かめる&魔王の居場所を突き止めるため、俺はエステルへ来たところなのだ。
史上最大の大陸と言われているように、エステルは非常に栄えている。
どこもかしこも商売、商売、商売。そんなものが、そこら中に転がっている。
「…おーい、リリー、キティ、早く行くぞ」
「「ええーっ、もう少しみしてよー」」
「駄目、行くぞ」
全く子供のようなやつもいるが。
移動は基本車だが、町の狭いところや、繁華街は基本歩きで通っている。
その間、車は俺のスキル『空間収納』によって入っているが、超疲れるのであまりいれたくない。
──が、そんな俺達の旅もそろそろ終わりが近づいてきたようだ。
「ギガ…ですか?」
「あぁ、勇者はエステル大陸最大の国家、ギガにいるって話さ…本当かどうかは知らんがのう」
「…ありがとうございます」
──俺達は、エステル大陸最大の国家、ギガに向かうことになった。
──エステル大陸には、転移装置もまぁまぁあるので、そこまで移動が不便という訳では無い。
超長距離移動も覚悟していたが、大抵百から千キロ離れていると転移装置はあるものだ。
なので、車はそこまで出番が無かったりする。
俺達の故郷であるトゥラティン大陸は、文明の発達が著しかったので、こういうのをみると、少し羨ましく思う。
そんなこんなで、俺達はエステル大陸最大の国家、ギガを目指し、車で移動し始めた。
次の転移装置があるのは、ロクスケという町だ。
平野を車は走る。
ブゥゥゥゥゥン
「はぁ、暇だな」
「そうねー」
「何か…」
何か面白いこと、無いかなぁ。
その時だった。甲高い女の子の声が聞こえたのは。
「は?」
「キャハッ!」
ダンッ!
ダンッダンッダンッダンッ!
空から、降ってくる。
五つの、少女が。
「お、おま」
なんと、少女は破壊していた。
車を、粉々に。
上から降ってきて、車の上に乗ったからそれはそうなのだが。
「っ、とりあえずキティとリリーは避難しろ」
「分かったわ」
「分かりましたわ」
二人は緊急事態だと理解して、車から下りて走り出す。
「行かせねーですよ」
一人の少女が、赤い球を手のひらから生み出す。
「あぁ」
これは、ヤバイぞ。
「田原っ!!」
リリーとキティに最も近い田原にお願いをする。
田原も気づく。
「おう!」
その赤い球を、少女はキティとリリーに向かって投げた。
そして、それは加速していき──
「ッォオオォオオオ!!?」
田原に当たると、ぐぐぐと田原の体にめり込みながら田原はどんどんと動いていく。
後へ、後へ、ズズズと足が引きずられるように。
後退していく。
「ッォアァァァア!!?」
田原の筋力をもってして、やっと弾かれる赤の球は、ヒュンと奇怪な軌道を描き、俺の方へ向かってきた。
「む」
俺にぶつかった瞬間、音はしなかった。
ただ、赤い球が破裂し、爆発的なエネルギーが俺を包んだ。
「…ぷはっ、痛いわ…」
「えぇーっ!?今のに耐えるですか?」
「まぁ、堪えるのは得意なんでな…」
「ふふ、やはり貴方で間違いは無かったようですね…我々は六世少女軍…貴方は?」
「俺はラフォーレティーナ」
「俺は田原総一」
「そうですか、では皆さん──」
どうやら、二人は避難したらしい。
「──開戦と行きましょうか!」
◇
六世少女軍は、それを見つけた。
部下にエステル大陸で捜査を頼まれていたのだが、正直それよりも、六世少女軍の先輩に当たる、七星少年軍を壊滅させた輩を見つけたかった。
そして、見つけた。
空中からそこら中を見渡していた内の一人が、発見したと言った。
転移で集まり、それを確認する。
「──っ!!」
身震いした。
あれは、人間か…と。
「ふふ」
恐らく、間違いでは無い。
部下のアストレアが消えたのも、七星少年軍が壊滅したのも、こいつらのせいだと。
だから、仇を討とうではないか。
(少年軍様…)
『朝食は何が良い?作れるぜ』
『はは、お前達はやんちゃだなぁ』
『さぁ、準備して』
『みんな、最高だ~』
少年軍様っ!
少年軍様は、戻ってこない!
そんな怒りを抱えたまま、空から落ちていく。
ヒュゥウウと風が体を縫う。
────ダンッ!
さぁ、開戦だ。
車は途轍もない便利さを誇り、みんな大喜びだ。
尻はいたくならないし、(今までが悪すぎた…何か敷いても痛かった)動きやすい。
多少ガタガタなるが、そこまで酷くない。
強いて言うところも、特にない。
運転手が少し疲れるというところくらいか。
俺達はそんなエステル大陸によりつつ、とある情報を集めていった。
それは、とある男の話と、魔王の居場所の話である。
この二つは関連性があると思われるみたいだが。
そもそも、エステルを目指した理由は特にない。
当てのない旅路だったので、適当に来てみれば、驚いたことにだいぶピンポイントで当てているではないか。
それに、エステルに行くことを決めたときに誰も反対はしなかったから、来やすかった。
町の人に聞けば、大抵の住人は知っているようだ。
巷では勇者なんて呼ばれているらしい。
まぁ、そいつが人を救い続けたからだろう。
大抵、勇者の逸話は救出劇が多い。
そして、その勇者は魔王の居場所も知っているらしい。
なので、勇者の存在を確かめる&魔王の居場所を突き止めるため、俺はエステルへ来たところなのだ。
史上最大の大陸と言われているように、エステルは非常に栄えている。
どこもかしこも商売、商売、商売。そんなものが、そこら中に転がっている。
「…おーい、リリー、キティ、早く行くぞ」
「「ええーっ、もう少しみしてよー」」
「駄目、行くぞ」
全く子供のようなやつもいるが。
移動は基本車だが、町の狭いところや、繁華街は基本歩きで通っている。
その間、車は俺のスキル『空間収納』によって入っているが、超疲れるのであまりいれたくない。
──が、そんな俺達の旅もそろそろ終わりが近づいてきたようだ。
「ギガ…ですか?」
「あぁ、勇者はエステル大陸最大の国家、ギガにいるって話さ…本当かどうかは知らんがのう」
「…ありがとうございます」
──俺達は、エステル大陸最大の国家、ギガに向かうことになった。
──エステル大陸には、転移装置もまぁまぁあるので、そこまで移動が不便という訳では無い。
超長距離移動も覚悟していたが、大抵百から千キロ離れていると転移装置はあるものだ。
なので、車はそこまで出番が無かったりする。
俺達の故郷であるトゥラティン大陸は、文明の発達が著しかったので、こういうのをみると、少し羨ましく思う。
そんなこんなで、俺達はエステル大陸最大の国家、ギガを目指し、車で移動し始めた。
次の転移装置があるのは、ロクスケという町だ。
平野を車は走る。
ブゥゥゥゥゥン
「はぁ、暇だな」
「そうねー」
「何か…」
何か面白いこと、無いかなぁ。
その時だった。甲高い女の子の声が聞こえたのは。
「は?」
「キャハッ!」
ダンッ!
ダンッダンッダンッダンッ!
空から、降ってくる。
五つの、少女が。
「お、おま」
なんと、少女は破壊していた。
車を、粉々に。
上から降ってきて、車の上に乗ったからそれはそうなのだが。
「っ、とりあえずキティとリリーは避難しろ」
「分かったわ」
「分かりましたわ」
二人は緊急事態だと理解して、車から下りて走り出す。
「行かせねーですよ」
一人の少女が、赤い球を手のひらから生み出す。
「あぁ」
これは、ヤバイぞ。
「田原っ!!」
リリーとキティに最も近い田原にお願いをする。
田原も気づく。
「おう!」
その赤い球を、少女はキティとリリーに向かって投げた。
そして、それは加速していき──
「ッォオオォオオオ!!?」
田原に当たると、ぐぐぐと田原の体にめり込みながら田原はどんどんと動いていく。
後へ、後へ、ズズズと足が引きずられるように。
後退していく。
「ッォアァァァア!!?」
田原の筋力をもってして、やっと弾かれる赤の球は、ヒュンと奇怪な軌道を描き、俺の方へ向かってきた。
「む」
俺にぶつかった瞬間、音はしなかった。
ただ、赤い球が破裂し、爆発的なエネルギーが俺を包んだ。
「…ぷはっ、痛いわ…」
「えぇーっ!?今のに耐えるですか?」
「まぁ、堪えるのは得意なんでな…」
「ふふ、やはり貴方で間違いは無かったようですね…我々は六世少女軍…貴方は?」
「俺はラフォーレティーナ」
「俺は田原総一」
「そうですか、では皆さん──」
どうやら、二人は避難したらしい。
「──開戦と行きましょうか!」
◇
六世少女軍は、それを見つけた。
部下にエステル大陸で捜査を頼まれていたのだが、正直それよりも、六世少女軍の先輩に当たる、七星少年軍を壊滅させた輩を見つけたかった。
そして、見つけた。
空中からそこら中を見渡していた内の一人が、発見したと言った。
転移で集まり、それを確認する。
「──っ!!」
身震いした。
あれは、人間か…と。
「ふふ」
恐らく、間違いでは無い。
部下のアストレアが消えたのも、七星少年軍が壊滅したのも、こいつらのせいだと。
だから、仇を討とうではないか。
(少年軍様…)
『朝食は何が良い?作れるぜ』
『はは、お前達はやんちゃだなぁ』
『さぁ、準備して』
『みんな、最高だ~』
少年軍様っ!
少年軍様は、戻ってこない!
そんな怒りを抱えたまま、空から落ちていく。
ヒュゥウウと風が体を縫う。
────ダンッ!
さぁ、開戦だ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる