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私、転生したらしい
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父が、帰って来た。
これまで、どんなことがあっても帰ってきたことなんてなかったのに。あんな冷血漢でも妻が死んだら帰ってくるのか、と冷めた目で見た。
「レイチェル!あぁ、レイチェル、よく無事で………!」
「?貴方が帰ってきたのは、お継母様がお亡くなりになられたからでしょう?何故、私の無事を確認なんてなさるのですか?これまで私がお継母様に虐められていた時は、帰ってくることなんてなかったじゃないですか」
レイチェルは、思わず演技も忘れきょとん顔で(血縁上の)父親に聞いた。(血縁上の)父親は、
「違う、違うんだ!私達は操られていたんだ。あの悪魔の様な女に!それで私はレイチェルのことを居ないものとして扱ってしまったんだ。本当に、すまなかったと思っている」
とても罪悪感を募らせた顔をしており今にも泣きだしそうだった。
「そんなの、そんなの信じられるわけ無いじゃない!操られていた?謝ったからといって許す訳がないでしょう!謝って済むならこの世に法律なんて必要ないわ!」
………私は、信じられなかった。私がお継母様に虐められて、毎日痛くて、苦しくて、辛い思いをしていたのに、謝るだけで済むと思っているの?
私は信用なんてできない。ただ血が繋がっているだけの他人なんて!そう強く思ったとき、頭の中に夢で見た不思議な映像がまるで映画の様に流れ、あれ?映画って何?
光が弾け、私は気を失った。
目が覚めると、そこはベットの中だった。
私、乙女ゲームの悪役令嬢に転生したの?最近の小説あるあるでも、まさか私が異世界転生するなんて!
いえ、それより、誰かが入ってくる前に状況整理しないと。
前世の私の名前は、あれ?思い出せない。まぁ、次!周りにずっと人がいるストレスにより高校を中退して、一年半引き篭もった。
それから家の中でもできる仕事をして、妹が乙女ゲームの戦闘パートが難しいけど、お姉ちゃんなら暇だしできるよね?って言われて、両親も『一日中家に居るんだから』『お姉ちゃんでしょ?それくらいやってあげなさい』と言われて嫌々私が戦闘パートをしていたら、『遅い!だらだらしてないで早くしてよ!私、早くイケメン攻略したいんだから!』と、階段で怒鳴られてバランスを崩して…………。
うん。血縁関係があっても人間信用なんてできないな。
あと、多分私はナイに恋、いや、ナイを愛してしまったんだと思う。
お継母様の血で濡れたところも、目元を赤らめたところも、少し目を細めたところも、全てが愛おしい。
十中八九、ナイは暗殺者だろう。それでも私は構わない。
何故なら、愛しているから。愛しい気持ちに理由なんて要らない。
私の持論に、『恋は有償、愛は無償』というものがある。恋は好きな人と結ばれたい人がするもので、愛は好きな人が幸せならそれでいいというものだ。
ここ迄考えたところで、部屋のノックをされた。
コンコン、コンコン
「はい」
「レイチェル!済まなかった、私が全て悪かったのだ。国王陛下に進められたとはいえ、あんな女狐何かを後妻にするなんて!」
そう言って(血縁上の)父親はレイチェルを抱き締めた。
レイチェルは蔑む様な目で、いや、蔑んだ目で(血縁上の)父親を見つめ、
「貴方誰ですか?初対面の少女を抱き締めるだなんて、ロリコンですか?変態なんですか?」
と言った。
勿論、私は記憶喪失なんかではない。しかし、これから前世の記憶等でこれ迄とは違う行動をすることも多々あるだろう。
それならば、最初から何も知らない振りをすればいい。継母が死んで戸惑う演技もあまり自信がないからね。
いや、継母に虐められていたことと、虐められていても放置する父は覚えていることにしよう。
「れ、レイチェル………?もしや、記憶を………?」
私は蔑んだ目を続けながら、
「なんで私の名前知っているんですか?ロリコンですね?変態なんですね?ロリコン変態糞野郎」
と吐き捨てる様に言うと、父(名前忘れた)は、
「違う!私は父だ!私はレイチェルの父親だ!そんなことさえ忘れてしまったのか?嘘だろう?嘘だと言ってくれレイチェル!」
と泣きながら肩を掴んできた。
私はこいつくっそうぜぇと思いながらも、
「いい加減離してくださいロリコン変態糞野郎!初対面、しかも寝起きの少女の部屋に来るなり抱き締めてきたり強い力で肩を掴んできたり教えてもいない名前を知っていたり父親だと言ってきたり…………何なんですか貴方は!私に父と慕う者などいません!私の血縁関係にある父親は、私が虐められていてもどうでもいいという考えのクズ野郎です!」
「レイチェル………。すまない、すまない…………私のせいで、こんなに痩せて、記憶迄失ってしまって、本当にすまない…………」
父は、膝から崩れ落ちた。その後のろのろと顔を上げ、
「そうだ、あんな女狐を紹介してしまったお詫びとして、陛下が王子と婚約させてくれることになったんだ。第一王子と第二王子、どちらがいい?レイチェルは王子に憧れていただろう?」
「あぁ、ご機嫌取りですか。王子なんかに憧れる訳がないでしょう?物語の様に私を助けてくれたならともかく、ねぇ?
それに、第一王子は俺様で第二王子は女好きって聞いたことがあります。そんな王子との婚約なんて嫌に決まっているでしょう?
さぁ、早くその手を退けてくださいな?ロリコン変態糞野郎様?」
そう言いながら鼻で嘲笑うと、父は今度こそ崩れ落ちたのだった。
………やべぇ、こんな丁度良いところに頭があったら踏みつけたくなるんだけど。
これまで、どんなことがあっても帰ってきたことなんてなかったのに。あんな冷血漢でも妻が死んだら帰ってくるのか、と冷めた目で見た。
「レイチェル!あぁ、レイチェル、よく無事で………!」
「?貴方が帰ってきたのは、お継母様がお亡くなりになられたからでしょう?何故、私の無事を確認なんてなさるのですか?これまで私がお継母様に虐められていた時は、帰ってくることなんてなかったじゃないですか」
レイチェルは、思わず演技も忘れきょとん顔で(血縁上の)父親に聞いた。(血縁上の)父親は、
「違う、違うんだ!私達は操られていたんだ。あの悪魔の様な女に!それで私はレイチェルのことを居ないものとして扱ってしまったんだ。本当に、すまなかったと思っている」
とても罪悪感を募らせた顔をしており今にも泣きだしそうだった。
「そんなの、そんなの信じられるわけ無いじゃない!操られていた?謝ったからといって許す訳がないでしょう!謝って済むならこの世に法律なんて必要ないわ!」
………私は、信じられなかった。私がお継母様に虐められて、毎日痛くて、苦しくて、辛い思いをしていたのに、謝るだけで済むと思っているの?
私は信用なんてできない。ただ血が繋がっているだけの他人なんて!そう強く思ったとき、頭の中に夢で見た不思議な映像がまるで映画の様に流れ、あれ?映画って何?
光が弾け、私は気を失った。
目が覚めると、そこはベットの中だった。
私、乙女ゲームの悪役令嬢に転生したの?最近の小説あるあるでも、まさか私が異世界転生するなんて!
いえ、それより、誰かが入ってくる前に状況整理しないと。
前世の私の名前は、あれ?思い出せない。まぁ、次!周りにずっと人がいるストレスにより高校を中退して、一年半引き篭もった。
それから家の中でもできる仕事をして、妹が乙女ゲームの戦闘パートが難しいけど、お姉ちゃんなら暇だしできるよね?って言われて、両親も『一日中家に居るんだから』『お姉ちゃんでしょ?それくらいやってあげなさい』と言われて嫌々私が戦闘パートをしていたら、『遅い!だらだらしてないで早くしてよ!私、早くイケメン攻略したいんだから!』と、階段で怒鳴られてバランスを崩して…………。
うん。血縁関係があっても人間信用なんてできないな。
あと、多分私はナイに恋、いや、ナイを愛してしまったんだと思う。
お継母様の血で濡れたところも、目元を赤らめたところも、少し目を細めたところも、全てが愛おしい。
十中八九、ナイは暗殺者だろう。それでも私は構わない。
何故なら、愛しているから。愛しい気持ちに理由なんて要らない。
私の持論に、『恋は有償、愛は無償』というものがある。恋は好きな人と結ばれたい人がするもので、愛は好きな人が幸せならそれでいいというものだ。
ここ迄考えたところで、部屋のノックをされた。
コンコン、コンコン
「はい」
「レイチェル!済まなかった、私が全て悪かったのだ。国王陛下に進められたとはいえ、あんな女狐何かを後妻にするなんて!」
そう言って(血縁上の)父親はレイチェルを抱き締めた。
レイチェルは蔑む様な目で、いや、蔑んだ目で(血縁上の)父親を見つめ、
「貴方誰ですか?初対面の少女を抱き締めるだなんて、ロリコンですか?変態なんですか?」
と言った。
勿論、私は記憶喪失なんかではない。しかし、これから前世の記憶等でこれ迄とは違う行動をすることも多々あるだろう。
それならば、最初から何も知らない振りをすればいい。継母が死んで戸惑う演技もあまり自信がないからね。
いや、継母に虐められていたことと、虐められていても放置する父は覚えていることにしよう。
「れ、レイチェル………?もしや、記憶を………?」
私は蔑んだ目を続けながら、
「なんで私の名前知っているんですか?ロリコンですね?変態なんですね?ロリコン変態糞野郎」
と吐き捨てる様に言うと、父(名前忘れた)は、
「違う!私は父だ!私はレイチェルの父親だ!そんなことさえ忘れてしまったのか?嘘だろう?嘘だと言ってくれレイチェル!」
と泣きながら肩を掴んできた。
私はこいつくっそうぜぇと思いながらも、
「いい加減離してくださいロリコン変態糞野郎!初対面、しかも寝起きの少女の部屋に来るなり抱き締めてきたり強い力で肩を掴んできたり教えてもいない名前を知っていたり父親だと言ってきたり…………何なんですか貴方は!私に父と慕う者などいません!私の血縁関係にある父親は、私が虐められていてもどうでもいいという考えのクズ野郎です!」
「レイチェル………。すまない、すまない…………私のせいで、こんなに痩せて、記憶迄失ってしまって、本当にすまない…………」
父は、膝から崩れ落ちた。その後のろのろと顔を上げ、
「そうだ、あんな女狐を紹介してしまったお詫びとして、陛下が王子と婚約させてくれることになったんだ。第一王子と第二王子、どちらがいい?レイチェルは王子に憧れていただろう?」
「あぁ、ご機嫌取りですか。王子なんかに憧れる訳がないでしょう?物語の様に私を助けてくれたならともかく、ねぇ?
それに、第一王子は俺様で第二王子は女好きって聞いたことがあります。そんな王子との婚約なんて嫌に決まっているでしょう?
さぁ、早くその手を退けてくださいな?ロリコン変態糞野郎様?」
そう言いながら鼻で嘲笑うと、父は今度こそ崩れ落ちたのだった。
………やべぇ、こんな丁度良いところに頭があったら踏みつけたくなるんだけど。
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