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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く

25:逃走-1

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「よしエリィにブルー。今からちょっと違う事をしてーー」
「師匠! 凄い綺麗です!!」
「いやー、星みたいで綺麗だねぇ」

 どうやら自分達の修行そっちのけで、俺の魔力コントロールを観察していたらしい。2人とも魔力凝視をしながら、俺の浮いている魔力玉を綺麗だと感じているのか。
 確かにこの光景は綺麗だろう。確かに綺麗だが……2人とも修行を忘れてるな?

 2人ともわいわいしながら俺の魔力玉に魅入っている。土壁を破壊するぐらいの努力をしたわけでもなく、疲れたわけでもなさそう。
 単純にサボってるだけということか。

 ……ほーう、いい度胸だな? 修行そっちのけで、やれと言ったことをやらずにサボってたんだな? それじゃ、是非修行の成果を見せてもらおうじゃないか。

「よし、2人とも今からコレを2人にぶつけるから防いでみようか」
「「……はい?」」
「元々操作用だからそんなに魔力も込めてないからヘーキヘーキ。それに2人もまだまだ元気だろ? 寝るまでに魔力も使い切らなきゃだからさ。いくよ?」

 2人が俺の顔を見ながら後退りしている。いかんいかん、どうしても人に向けて魔法を放つ時は笑顔になってしまう。ちゃんと朗らかなニコニコ顔を意識しないとな。

 そんな事を考えていたら、まず初めにブルーが逃げ出した。どうやら湖に潜って難を逃れようとしているらしい。もちろん即座に進路上へアースウォールを展開し、逃げ道を塞ぐ。だが、その隙を突いて今度はエリィが逃げ出した。

「させるか!」

 反対方向に逃げ出したエリィには地面から蔦を生やし捕獲を試みる。足を捕まえようと地面を高速で這わしたがジャンプして避けられた。
 だが、ジャンプしたのは悪手だったな!? 空中なら避けることもできまい!
 地面から蔦でエリィの腕を捕まえた時、壁の方から大きな魔力を感じた。

「アクアレーザー!」

 ブルーが壁を魔法で破壊し逃げ切ろうとしている。とっさに壁の強化をしたが、一点集中の魔法の前に壁が耐えられずヒビが入った。次の魔法には耐えられないかもしれないので、ブルー自体を取り押さえようと地面から腕を生やして触手のように伸ばす。
 すぐに気付いたブルーが別の魔法で迎撃しようと動いた時、エリィの方からも声が聞こえてきた。

「ファイアカッター!」

 蔓に対して炎の魔法で対抗、風魔法で切れるとは限らないので炎の刃を全身から射出し蔓を切り裂いた。
 とっさの判断にしては上出来だ。だが、それなら切ることのできないモノにするだけだ。

「ダークテンタクルス」

 闇属性の捕縛魔法。相手の魔力を吸い取って身体的にも魔力的にも自由を奪う。タコの吸盤が無くなったようなフォルムの触手が地面から生えてきて、対象に絡みついて力を奪っていく。
 肌に触れれば一番効率よく吸収できるが、この後の事を考えて吸収率は抑えておく。その代わり逃げられないように自律型にして、相手の動きなどに対応できるようにしておこう。

 そうしてる間に、今度はブルーが土から生えた腕「ソイルアーム」をどんどん撃退している。まぁそいつは水属性魔法をぶつけ破壊すると、今度は倍になって襲ってくるんだけどな。
 気付いたら20本ぐらいになってんじゃん。

「し、しょぉ……あっ! そこは……ダメぇ……」

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