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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く

13:魔法修行②-1

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 さらに2ヶ月が経過した。暑かった日差しは最近柔らかくなり始め、風が吹くと少し肌寒いような気もする。最近は冬に備えて狩った動物の皮をなめしたりして服や寝る時に使う掛け布団なども作っている。
 もちろん俺にそんな技術はないのでエリィに頼りっぱなしだ。エリィが持ってきたマジックバックには色々と必要な材料も入っており、母親が残してくれた冒険者用グッズが非常に役に立っている。いつかお礼を言ってみたいものだ。

 エリィも属性魔法の基礎は大体固まっており、魔力布衣による防御術も以前とは比べ物にならないぐらい成長している。
 森での狩りもそうだが、最近は湖の周りをランニングしたり、筋トレも挟むことによって体力も付いてきた。そういえばしっかりと野菜、肉や魚、果物も3食キッチリ食べて栄養も補給しているせいか、エリィの成長は目を見張るものがある。小さな膨らみはどんどんデカくなっているし、尻も美しいラインを醸し出している。顔もスタイルもいいとか、別の意味で最強ではないだろうか……。
 まぁいい、修行は次の段階へ進んでいっても問題はないだろう。

「さてとエリィ、今日から別の修行を行う」
「……はい師匠!」

 一瞬嫌そうな顔に見えたのは気のせいだろう。ここ最近エリィがぶっ倒れても、俺の魔力を譲渡することによって強制的に修行を続けているが、むしろ修行し続けられるとこの方が喜びのはずだ。
 俺も毎日死に続けているおかげで、全盛期の30%ぐらいには魔力量が回復している。体力向上も一緒に行ってはいるが、本当にこの身体は当たりだったんだろう。
 一日中エリィに魔力を分け与えてもまだまだ余るぐらいだ。

「今回の修行は、魔力を動かすのをスムーズに行う魔力線路レールと言う基礎に近いものだ」
「なるほど?」
「今も防御のために魔力布衣を行って部分的に集中させているのを、素早く正確に出来る様にするものだ」
「それは……つまり今までのような魔力操作ですか!?」
「うむ、そうだな。もう防御の練習で、ある程度流すのは手慣れているはずだから、そこの精度を上げていく。まずは見ていろ」

 俺はまず魔力布衣を発動させた。エリィの修行をしつつ自分の修行も欠かしたことはないので、エリィよりも精錬された魔力を纏うのは朝飯前だ。そして足を開き両手を水平に上げると、まずは右腕側に魔力を集める。
 そして右腕側に集めた魔力をそのままの量で左腕側へ移動、さらに左足から右足と移動させ体を一周させる。
 エリィも目に魔力を集中させてちゃんと観察できているのだろう。俺の魔力がスムーズに動くたびに感嘆の声を上げた。

「おぉ……凄い……!」
「最初からここまでのスピードは求めないから安心しろ。いつもの修行みたいに最初はゆっくり始めて、段々スピードを上げていけばいい」
「あの……修行ですね……」

 あの修行が一番効率がいいのをわかってないのか? まぁアレを辞めるつもりはないし、今後はエリィから俺にやってもらうようにもなるので、その身で体験し続けてもらうけどな。
 とりあえず魔力線路レールを試させたが、あの修行を続けていたおかげかスムーズに魔力を移動させることは出来た。
 そしたら今度は、魔力を動かす時に増幅させたり減少させたりする方法だ。線路レールと呼ばれるのはここに意味があり、魔力を動かす際に線路レールの幅を広くしたり狭くすることによって体内で使用する魔力量を調節する。
 まずはいつも通り右腕側に魔力を集めさせ、それを暫定的に100とし、別の手足に動かすタイミングで100から30、70、40、150など動かすと同時に増減させていく。
 完璧とは言わないが、数時間も練習すると魔力量を調整しつつもスムーズに移動できるようになってきた。夕方には次の段階に行けるだろう。
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