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30 (ラスラープ目線)
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「この頃の王家の振る舞いはやり過ぎだとは思わないか?」
「は、はぁ……」
マーキリの自信に一瞬私は自信を抱いたが、マーキリの不穏な言葉にその期待はいつのまにか薄らいでいた。
王家に対しての不満、それはもちろんラ私にだってあるし、侯爵家ならば尚更だろう。
何せ陛下のせいで侯爵家の動きはほとんど封じられているのだから。
現在、マーキリはそのことにはっきりと気付いている様子ではないが、流石に王家が何かしてきていることについては気づいている。
だから王家に対して不満を感じていようが、何らおかしくはない。
……だが、だからといってこうはっきりと王家に対する不満を言うことなど決してしてはならないことだった。
現在の国王は貴族だけでなく、民衆達からもかなりの支持を得ている。
それだけの力を有している。
そして、そんな状況で迂闊に王家を貶めるような発言がタブーであることをマーキリが理解できていないはずが無いのだ。
けれどもマーキリは王家に対する不信と取られてもおかしくないような発言をした。
それはマーキリが今から行おうとしている行動が、決して褒められることのない行為であることを示しているのではないかと考え、私は無意識のうちに警戒を強める。
「だから、陛下にはこの世からご退場頂こうと思う」
「…………は?」
………しかし、次の瞬間マーキリが告げた計画はその私の想像さえ遥かに下回るものだった。
◇◆◇
それからマーキリは驚くのも仕方ないと、唖然とした私の態度を咎めることはなく、国王暗殺の全貌を私に告げた。
というのも、どうやら前々から国王に対して不満を持っていたらしい王妃が前々から国王に毒物を摂取させていたらしい。
そのせいかか、国王の体調はかなり悪いらしく、国王が無くなるまではあともう少しらしい。
………けれども、私にはそうは思えなかった。
あの化け物が、あっさりと死ぬとは私には信じられなかったのだ。
だからマーキリと別れたあと、私はとある決断を下した。
「こ、公爵家にこのことを伝えないと……」
そう、もう侯爵家とは手を切るという。
恐らく今が頃合いなのだろう。
侯爵家はもう恐らくおしまいだ。
だとすれば破滅まで私が侯爵家に付き合う義理などない。
それに侯爵家の裏切りを公爵家辺りに知らせに行けば公爵家とも縁を作れる。
だから私は特に迷うことなくそう決断した。
けれども、その時私は気づくことはなかった。
今の状況であれば最善手だと思い込んでいた自分の行動。
………それが私の破滅を招くことを。
「は、はぁ……」
マーキリの自信に一瞬私は自信を抱いたが、マーキリの不穏な言葉にその期待はいつのまにか薄らいでいた。
王家に対しての不満、それはもちろんラ私にだってあるし、侯爵家ならば尚更だろう。
何せ陛下のせいで侯爵家の動きはほとんど封じられているのだから。
現在、マーキリはそのことにはっきりと気付いている様子ではないが、流石に王家が何かしてきていることについては気づいている。
だから王家に対して不満を感じていようが、何らおかしくはない。
……だが、だからといってこうはっきりと王家に対する不満を言うことなど決してしてはならないことだった。
現在の国王は貴族だけでなく、民衆達からもかなりの支持を得ている。
それだけの力を有している。
そして、そんな状況で迂闊に王家を貶めるような発言がタブーであることをマーキリが理解できていないはずが無いのだ。
けれどもマーキリは王家に対する不信と取られてもおかしくないような発言をした。
それはマーキリが今から行おうとしている行動が、決して褒められることのない行為であることを示しているのではないかと考え、私は無意識のうちに警戒を強める。
「だから、陛下にはこの世からご退場頂こうと思う」
「…………は?」
………しかし、次の瞬間マーキリが告げた計画はその私の想像さえ遥かに下回るものだった。
◇◆◇
それからマーキリは驚くのも仕方ないと、唖然とした私の態度を咎めることはなく、国王暗殺の全貌を私に告げた。
というのも、どうやら前々から国王に対して不満を持っていたらしい王妃が前々から国王に毒物を摂取させていたらしい。
そのせいかか、国王の体調はかなり悪いらしく、国王が無くなるまではあともう少しらしい。
………けれども、私にはそうは思えなかった。
あの化け物が、あっさりと死ぬとは私には信じられなかったのだ。
だからマーキリと別れたあと、私はとある決断を下した。
「こ、公爵家にこのことを伝えないと……」
そう、もう侯爵家とは手を切るという。
恐らく今が頃合いなのだろう。
侯爵家はもう恐らくおしまいだ。
だとすれば破滅まで私が侯爵家に付き合う義理などない。
それに侯爵家の裏切りを公爵家辺りに知らせに行けば公爵家とも縁を作れる。
だから私は特に迷うことなくそう決断した。
けれども、その時私は気づくことはなかった。
今の状況であれば最善手だと思い込んでいた自分の行動。
………それが私の破滅を招くことを。
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