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 「う、嘘をつけ!私は騙されないぞ!」

 何時もならは等に現実に戻るような言葉を私に告げられても、今回王子は何故か妄想から戻ろうとしませんでした。

 「はぁ……」

 一体何が王子をそこまでして駆り立てるのか、私は理解できず思わずため息を漏らします。
 なんでも良いので早く帰りたくて仕方がありません。

 「マーク様、私は貴方との婚約を一度として嬉しく感じたことはありません。ですのでこれで解放させて頂きたいと思います」

 「……っ!」

 だから私ははっきりと王子を否定してみせました。
 今まで王子の婚約者になりたいと思ったことなど無かったと。
 出来ればこれからは関わらないでほしいと。

 「………」

 そしてその全てを語り終えた時、王子はただ無言で俯いていました。
 その王子の姿にようやく現実を理解したと判断した私は最後に、咎めるような口調で口を開きました。

 「マーク様、貴方があそこまで強引な手を使わなくても、私が陛下に頼み込み混んでいたので、婚約破棄の意志だけを伝えてくれればすんなりと婚約破棄できましたわよ」

 ………けれども、その一言は余計なものでしかありませんでした。

 「……分かったぞ」

 「………え?」

 俯いた状態で何事かボソリと呟いた王子。
 その姿に私が異常を感じた時にはもうすでに遅く。

 「ナーセリア!お前は脅されているのだな!」

 ………次の瞬間、王子の暴走が始まりました。
 もう嫌。
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