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 ……最終的に渋々サーベルを諦めた私は代わりに用意していたある魔道具とともに王子の元へと行くことになりました。
 その際、お兄様が私の護衛をと言ってくださったのですが、お兄様が行けばめんどくさいことになると考えた私は一人で向かうことにしました。

 「……失敗、したかもしれませんね」

 けれども王子の元へと案内されながら、私はお兄様に着いて来てもらわなかったことを後悔していました。

 ……何故なら私は、王族や貴族などで罪を犯したものを拘束する牢へと案内されていたのですから。

 「はぁ……本当にめんどくさいですわね」

 この場所へ連れてこられたということはまた王子が部下に強制して私を捉えようとしているということなのでしょうか。
 そこまで考えて私は思わずため息を漏らしました。
 実は私がそんな風に王子に牢獄に入れられそうになったのは今回が初めてではありません。
 ……何故か鎧でガッチガッチに身を固めた文官に命じて私を牢獄の中に閉じ込めようとしたことがあるのです。
 そしてその後、何故か王子が現れ文官をボコボコに殴り倒して、性行為を強制してきました。

 「お前を助けにきてやったぞ!だから何も心配いらない」

 ……とか、意味のわからないことを言いながら。
 まぁ、その前に私は自分を取り押さえようとした文官を殴り倒し、責任不足ということで性格の悪い王妃をひっ連れてきて身代わりにし、側から様子を伺っていたので何の被害もありませんでしたが。
 王妃に関しては実の息子に迫られ、その後吐き気を催した顔で自身のことを見て来る息子の姿に心を病んだとか聞きましたが、王子を腐らせた原因の一人なので自業自得に違いないでしょう。
 高慢で他人を見下し、平民を何の理由もなく虐めるというそんな人間でしたし。

 まぁ、そんなことがあり私は一度この場所で不当に牢獄に入れられそうになったことがあります。
 だからこそ、私は警戒を解くことなく案内人の一挙一動を確認しながら着いていき。

 「ここです」

 「………あれ?」

 ……何事もなく目的地、牢獄の中にあったやたら豪華な部屋に着いた時驚愕を隠すことができませんでした。
 いえ、そもそも何故牢獄にこんな部屋があるのか、それが一番の謎です。
 だから私は警戒を続けたまま、案内人の開けた扉を潜って、その中の光景に言葉を失いました。

 「来たか、ナーセリア!」

 ……何故なら、そこにはやたら豪華な牢獄に入った王子の姿があったのですから。
 成る程、ここ王族専用の牢獄でしたか……
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