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  「あっ………」

 反射的に国王へと言い返してしまった私は、次の瞬間反射体に口を塞いでいました。
 本当は私には愚痴を国王に語るつもりなどなかったのです。
 ………何せこれは本当にどうしようもないことなのですから。
 国王にこの悩みを打ち明けたところでどうしようもないこの現状が変わることはないのです。
 いえ、それどころか国王に打ち明けることは無用に心配をかけてしまうことになるでしょう。
 そしてそれは私にとって非常に不本意なことです。
 だから私は先程の言葉をごまかそうと口を開きかけて。

 「どうしたんだい?アランと喧嘩でもしたのか」

 「っ!」

 ………けれども次の瞬間、国王の検討違いな言葉に私は酷い苛立ちを覚え、一瞬自分を自制できなくなりました。
 国王からすればその言葉はただの世間話でしかないでしょう。
 でも今の私はその事を理解しながらもなお自分の怒りを抑えることが出来ず、次の瞬間私は八つ当たりであることを理解しながら口を開いていました。


 「そんなことあるわけがないでしょう!もう私とお兄様は会うことだってできないのだから!」

  「っ!」

 ………その私の感情的な言葉に全てを悟った国王の顔は大きく歪むことになった。









 ◇◆◇








 大きく歪む国王の顔を目にした瞬間私の心に溢れてきたのは自分自身にたいする情けなさだった。
 自分の感情を支配できず、こんな風に親代わりの一人で恩人であるこの人に八つ当たりする自分がただただ情けなかった。
 ………けれどもそう思いながらも想像以上に応えていたらしい私は、自分の口を止めることができなかった。 

 「私は平民でお兄様、いえ、アラン様は次期公爵家当主。……もう話すことですらままならない」

 今まで私が必死に覆い隠そうとしていた思いはもう止めることはできなかった。

 「そんな状況でアラン様との縁談なんて不可能でしょう。例えアラン様が私のことをしたってくれていても。

 ーーー私がアラン様をどれほどしたっていても」

 ………そして気づけば私は今まで必死に心に隠していた思いさえも国王へと暴露していた。
 叶わないと理解して、必死に隠してきた思いを。

 全てをさらけ出した後、もう私には顔を上げる勇気はなかった。

 「………ナーセリア様を見殺しにして、復讐何てナーセリア様の望まない愚行を犯した私には当然の末路」

 「っ!リーリア!」

 ただ、どうしようもない虚無感に私は最後にぽつりと言葉を漏らしその場から逃げるように立ち去った。
 後ろから響く国王の声を無視しながら。




 ………そしてその時大きく心を揺さぶられている私は気づくことはなかった。

 部屋の中には、私でも国王でもないもう一人の人間がいたことに………
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