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 現在マストーリ家は、有する影響力に反して、かなりの貴族から疎まれている。

 ……その理由を作ったのは、私ネストリアのわがままだった。

 私は早くに両親を亡くしている。
 それも、次期当主となる男の子が生まれていない次期に。

 そしてその状況から、マストーリ家を存続させるには、他の家から貴族を入り婿として向かい入れるのが普通だ。
 つまり、本来であれば私は、婚姻を結ばなければならないはずだった。

 ……だが、その時幼かった私は、自身の婚姻を嫌がってしまった。

 婚姻相手の殆どが四十代が平均とかなり高齢であったこと。
 また相手が出世欲しか頭にない人間達だったこと。
 そして、その当時既に私は、次期義兄になるアルフォスに恋心を抱いていたこと。

 それらの要因は、当時幼かった私に婚姻を嫌がらせるには、充分なものだった。
 だから私は、自分の死期を悟り、私の婚姻を進めようとする父に猛反発した。

 だが、本来ならばその私の反抗が受け入れることは無かっただろう。
 何せ、父は決して愚鈍ではなく、このまま後継を指名せず自身が死ねば、私や侯爵家の人間達がさらに酷い目にあうことを悟っていたから。

 ……しかし、その当時既にアルフォスが才能を開花させ始めていたこと、そして私がそれを見抜ける程度に頭が働いたことが、さらなる悲劇を生んだ。

 父に諭されても、婚姻を受け入れられなかった私は、アルフォスの才能を父に話し、彼を養子に入れることを提案したのだ。
 その時、アルフォスを養子に進めた私の胸の内にあったのは、彼が貴族になれば、自身と結婚できるかもしれないという願望だけだった。

 そしてそんな私の願望が、アルフォスを地獄に突き落とすことになった。

 平民を養子にする、その提案を最初渋っていた父だが、アルフォスと対面した瞬間、彼を養子にすることを直ぐに受け入れた。
 そのことを私は最初無邪気に喜んでいたが、父がすぐに私は自分がしたことを後悔することになった。



 …… 父が平民を養子にすることを渋った理由、それをもっと良く考えていれば良かったと。
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