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第4話

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 「うん、なるほどね……だから私を国王殺しの罪に問おうとしたのか……」

 裁判所を後にしてから数分後、まるで以前と変わりない状態で存在する無人の自室を見て、私は思わずそう呟いていた。
 目の前に広がる私の自室、それはこの国で大きい部屋だろう。
 私の活躍は伊達ではなく、そのため与えられる部屋もそれ相当のものにならざるを得なかったのだ。

 ……だが、本来であればこの部屋も荒らされている、もしくは没収するための人間が扉の前に立っていてもおかしく無いのだ。

 何せ、王殺しとは通常全財産を没収され公開処刑されるような大罪なのだ。
 私が追放されただけのことについては、私の活躍を考えれば減刑だと考えられるかもしれない。
 だが、まるで私の財産に手を出されていないというのは明らかに異常だった。

 「まあ、大体察してはいたのだけれども……」

 けれども、その異常を目にしても私の心には一切動揺はなかった。
 何せ私は何故自分の部屋に手を出されていないのかを理解していたのだから。

 ……つまり、国王達は最初から今回の裁判で追放できるとは考えていなかったのだ。

 当たり前だが先代国王の死が病死であることを知る人間は多い。
 そしてそんな人間がいる中、私を罪に問おうとするのは不可能に近いのだ。
 だとしたら国王達は何故こんな茶番を演じたのか?

 その理由はおそらく私の評判を下げるためだ。

 国民には先代国王の死が本当かどうかなんて分からないし、それは他国の人間だって同じだ。
 だから敢えて大々的にこんな裁判を起こすことで私のイメージダウンを狙い、私の足を引っ張ろうとしたのだろう。
 だから私の自室は一切荒らされていなかったのだ。
 ……どうせ私が罪に問われないことは分かっていたから。
 さらには、私の罪を追放だけにした本当の理由は罪を重くしすぎると逆に国民からの反発を招くかもしれないと考えたからに違いない。

 「本当にどうしようもない……」

 ……そしてそこまで理解して私は深々とため息を漏らしていた。

 本当にどうしてこんなことをそんな理由でできるのかが理解できない。
 私の知名度を落としてもアレスターレに不利益になるだけでしかないのに。
 それを理解できないから国民からの評判が常に悪いのだ。

 「……本当に追放を選んでよかったわ」

 そして私はもうあんな人間達に関わらないで済むことに対して心の底から安堵してそんな言葉を漏らして、それから自室の荷物を整えるために動き出した。
 確かに今、国王達は私の財産のことを完全に忘れているだろう。
 けれども、いつ思い出して略奪に走るかは分からない。
 何せ国王達は他の能力は劣るくせに、欲だけは人一倍の人間なのだから。
 だから私は手早く荷物を異次元収納と呼ばれる荷物を別の次元に収納できる魔術で収納する。
 そして全ての荷物を収納した私は王宮を後にすることにした。
 急なことのせいで、色々と挨拶が出来ていない人間はいるが、おそらく彼らも私の事情を組んでくれるだろう。……多分。

 「……私が居なくなったら仕事量多くなるし、恨まれそうな気がするわ」

 だが、今から悩んだところでもうどうしようもない。
 私はそう判断して、窓から部屋を抜け出そうと窓のガラスに手をかけて。

 「ほら、マーセリア。私の言った通りになっただろう?」

 「あっ……」

 ……次の瞬間、突然私の自室に入ってきた人間、アレスターレ第二王子サーレイの姿に私の顔は青ざめることとなった。
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