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背後からの声 (マリア視点)
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呆然とする私に対し、アルフォード様は震える声で続ける。
「それだけじゃない。誕生パーティーのパートナーに頼んだり、騎士にして欲しい、そう言ったりもした」
誕生パーティーのパートナーに頼むこと、そして騎士にして欲しいという言葉。
その全ては、貴族間で愛を告げるときに使われる、奥ゆかしい告白だった。
どうやら、想像していた以上に、アルフォード様はサーシャリア様にアタックしていたらしい。
そう驚きつつも、私はアルフォード様に問いかけることはできなかった。
その告白の結果を。
……何というか、それだけ必死にアピールして断れるのは悲惨すぎた。
それでも、何とか私はフォローの言葉をひねり出す。
「ほ、ほら、その時サーシャリア様が知らなかっただけですよ。複雑な家庭環境で過ごされていましたし」
「……そうなら、良かったんだが」
「え?」
「……勘違いされるから、無闇にこんなことしない方がいい、断れた後に毎回サーシャリアはそう言うんだよ」
その瞬間、私はただ絶句することしかできなかった。
そんな私にうつろな目を向け、アルフォード様は告げる。
「だから俺は、サーシャリアが勘違いではないと知るまで続けようと決めていてな。……今はもう、ただ癖でやってしまっているだけだが」
……やばい、相当にこじらせてしまっている。
アルフォード様から、目を背けた私は想像以上の状況に震えることしかできなかった。
今になって、私も理解していた。
今まで、アルフォード様の鈍さに私は驚いてきたが……サーシャリア様はそれ以上に鈍い方だった。
いや、よく考えてみるとそれも決しておかしな話ではなかった。
何せ、サーシャリア様は自身の好意以上にわかりやすいアルフォード様の思いに気づいていないのだ。
その鈍さが常人を逸脱しているのは、当然のことだ。
……そして、このままではそんな二人が結びつく未来が、私には想像もできなかった。
そこまで考えて、私は頭を振って正気を取り戻す。
そんな事態を避けるために、自分は居るのだと。
そうして、私は意を決して口を開く。
「アルフォード様は、もっとサーシャリア様に意識して欲しくないんですか?」
「……そんな方法があるのか?」
「はい!」
そう言いながら、私が提案しようとしていたのは、契約婚約についてサーシャリア様に知らせることだった。
サーシャリア様は現在明らかに、アルフォード様を意識している。
そこで、アルフォード様の婚約が偽造だと知れば、その中が急速に進むはずだ。
とはいえ、話を進めるには慎重でなければならないだろう。
何せ、ヘタレが染み着いてしまったアルフォード様は、安全策である友人という立場を補強しようとしている。
その立場を強めてくれる婚約者という立場を簡単に捨てるとは思えない。
だから、まずその気にさせる。
「ええ、それも異性として意識してもらえること間違いない」
「……異性?」
アルフォード様の表情が変化したのは、その時だった。
そして、アルフォード様は少し言葉に悩むような表情で、口を開く。
「待ってくれ、マリア。俺は……」
「……えっと、こんなところで何をしているのかしら」
私の背後から、ソシリア様の声が響いたのはその瞬間だった。
「それだけじゃない。誕生パーティーのパートナーに頼んだり、騎士にして欲しい、そう言ったりもした」
誕生パーティーのパートナーに頼むこと、そして騎士にして欲しいという言葉。
その全ては、貴族間で愛を告げるときに使われる、奥ゆかしい告白だった。
どうやら、想像していた以上に、アルフォード様はサーシャリア様にアタックしていたらしい。
そう驚きつつも、私はアルフォード様に問いかけることはできなかった。
その告白の結果を。
……何というか、それだけ必死にアピールして断れるのは悲惨すぎた。
それでも、何とか私はフォローの言葉をひねり出す。
「ほ、ほら、その時サーシャリア様が知らなかっただけですよ。複雑な家庭環境で過ごされていましたし」
「……そうなら、良かったんだが」
「え?」
「……勘違いされるから、無闇にこんなことしない方がいい、断れた後に毎回サーシャリアはそう言うんだよ」
その瞬間、私はただ絶句することしかできなかった。
そんな私にうつろな目を向け、アルフォード様は告げる。
「だから俺は、サーシャリアが勘違いではないと知るまで続けようと決めていてな。……今はもう、ただ癖でやってしまっているだけだが」
……やばい、相当にこじらせてしまっている。
アルフォード様から、目を背けた私は想像以上の状況に震えることしかできなかった。
今になって、私も理解していた。
今まで、アルフォード様の鈍さに私は驚いてきたが……サーシャリア様はそれ以上に鈍い方だった。
いや、よく考えてみるとそれも決しておかしな話ではなかった。
何せ、サーシャリア様は自身の好意以上にわかりやすいアルフォード様の思いに気づいていないのだ。
その鈍さが常人を逸脱しているのは、当然のことだ。
……そして、このままではそんな二人が結びつく未来が、私には想像もできなかった。
そこまで考えて、私は頭を振って正気を取り戻す。
そんな事態を避けるために、自分は居るのだと。
そうして、私は意を決して口を開く。
「アルフォード様は、もっとサーシャリア様に意識して欲しくないんですか?」
「……そんな方法があるのか?」
「はい!」
そう言いながら、私が提案しようとしていたのは、契約婚約についてサーシャリア様に知らせることだった。
サーシャリア様は現在明らかに、アルフォード様を意識している。
そこで、アルフォード様の婚約が偽造だと知れば、その中が急速に進むはずだ。
とはいえ、話を進めるには慎重でなければならないだろう。
何せ、ヘタレが染み着いてしまったアルフォード様は、安全策である友人という立場を補強しようとしている。
その立場を強めてくれる婚約者という立場を簡単に捨てるとは思えない。
だから、まずその気にさせる。
「ええ、それも異性として意識してもらえること間違いない」
「……異性?」
アルフォード様の表情が変化したのは、その時だった。
そして、アルフォード様は少し言葉に悩むような表情で、口を開く。
「待ってくれ、マリア。俺は……」
「……えっと、こんなところで何をしているのかしら」
私の背後から、ソシリア様の声が響いたのはその瞬間だった。
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