ヒビキとクロードの365日

あてきち

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6月

6月15日『暑中見舞いの日』

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クロード「ふぅ。やはり夏は嫌いです。全身毛だらけの私は、全裸になったとてこの暑さは堪える……別に今、全裸というわけではないが。いや、ホント」

 ヒビキ「我が家のソファーでダラケながら何一人で呟いてるの、クロード? あと家の中だからってパンツ一丁なのはどうかと思うよ? というか結構きわど――」

クロード「ぎゃああああ! み、見ないでください! すぐに着替えますから!」

※クロード愛用のパンツの種類はご想像にお任せします。

クロード「お、お待たせしました……おや? 部屋の中が涼しい」

 ヒビキ「暑いんならエアコンくらい付ければいいでしょ」

クロード「エアコン? おお、壁に掛けられた白い箱から冷気が。魔法道具か何かでしょうか? ……部屋が乾燥して鼻が乾いてしまいます。消しませんか?」

 ヒビキ「夏のクロードってメンドクサイ」

クロード「ぐぅ!? と、ところで、その手の紙は何ですか? 手紙のようですが」

 ヒビキ「ああ、これを渡そうと思ってたんだ。アナスタシアさんから『暑中見舞い』が届いたよ。今日6月15日は『暑中見舞いの日』だからね。まあ、実際に送るにはちょっと早いんだけど」

クロード「暑中見舞い? お見舞いですか……別に病気ではないのですが」

 ヒビキ「暑中見舞いというのは、暑中に知人へ安否を尋ねるために家を訪ねたり、手紙を出したりすることだよ」

クロード「相手を気遣う素敵な風習ですね。それはそうと、今日が『暑中見舞いの日』だというのに、まだ送るには早いのですか?」

 ヒビキ「7月7日(小暑)から8月7日(立秋前日)までに送るのが一般的だね。1950年のこの日、郵政省が『暑中見舞い用郵便葉書』(現在:夏のおたより郵便葉書≪愛称【かもめ~る】≫)を発売してこの記念してこの記念日が制定されたんだ」

クロード「では、そのかもめーるとやらは毎年この日から発売されているので?」

 ヒビキ「クロード。『かもめーる』じゃない。『かもめ~る』だよ」

クロード「細かい……それで、今日が発売日なのですか?」

 ヒビキ「今年は5月30日から8月23日が販売期間だよ」

クロード「『暑中見舞いの日』とかどうでもいい感じですね」

 ヒビキ「まあ、電話やメールができる現代では、単なる社交辞令になっている面もあるから、暑中見舞いにそこまでの意気込みはないと言えなくもない」

クロード「とはいえ、年々夏の最高気温は更新されるばかり。むしろ現代こそ暑中見舞いが必要なのではないでしょうか?」

 ヒビキ「そうだね。それじゃあ、俺達もかもめーるを買いに行こうか」

クロード「ヒビキ様。『かもめーる』ではなく『かもめ~る』です」



★★★★★
その他の記念日『オウムとインコの日』
※語呂合わせ『オウム(06)インコ(15)』
※鳥類を飼育する人達へ啓蒙活動を行う団体『TSUBASA』が制定。


クロード「確か、ヒビキ様の世界では鳥が手紙を配達する輸送手段があったような」
 ヒビキ「伝書バトだね。オウムもインコも無理だからね」
クロード「鳥は鳥でしょう? 訓練すれば可能なのでは?」
 ヒビキ「ちょっと本気でやめようか。『デスマーチ・コマンダー』」
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