ヒビキとクロードの365日

あてきち

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5月

5月13日『メイストームデー』

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 ヒビキ「クロード……」※肩を落とし、俯いたまま話すヒビキ。

クロード「ヒビキ様? どうされたのですか? 随分と暗い雰囲気ですが」

 ヒビキ「クロード。俺達、今日でお別れだね」

クロード「な、ななな、何をおっしゃっているのですか、ヒビキ様!?」

 ヒビキ「どうしようもないんだ」※悲しそうに首を左右に振るヒビキ。

クロード「一体何があったというのですか!?」

 ヒビキ「だって今日5月13日は、別れ話の日『メイストームデー』だからね!」

クロード「……は?」

 ヒビキ「『メイストームデー』は、『立春』から88日目頃に霜が降りなくなることから生まれた言葉『八十八夜の別れ霜』にちなんで生まれた記念日だよ。ただし、通常の八十八夜はさっきも言った通り『立春』(2月4日頃)から88日後のことを指すけど『メイストームデー』は『バレンタインデー(2月14日)』から88日後であることに注意が必要だね」

クロード「――、――」※口をパクパクさせるばかりで声が出せないクロード。

 ヒビキ「『メイストーム』とは直訳すると『5月の嵐』。別れ話をされた方にとってはまさに青天の霹靂にして、嵐のような厄災の日といっても過言ではないだろうね」

クロード「……あ、あの、ヒビキ様。あの……あの……」

 ヒビキ「といっても名前の由来は、日本の3月から5月は寒暖差が激しいから台風並みの暴風雨や竜巻が発生しやすくなることにちなんだものだろうけどね」

クロード「あ……ああ……あ……」

 ヒビキ「2月14日のバレンタインデーをきっかけに付き合い出し、3月14日のホワイトデーを乗り越えて、日本では馴染は薄いけど4月14日の二人の愛情を確かなものとする日であるオレンジデーさえも乗り切ること約3ヶ月。そろそろお互いのアラや欠点が見え始める時期。ある意味恒例の恋愛イベントも終わって、別れるにはちょうどいい時期ともいえる今日、こんな記念日があると別れ話を切り出しやすいのかもしれないね」

クロード「わ、別れ……ヒ、ヒビキ様と……別れ……」

 ヒビキ「まあ、恋愛の別れの日だから俺達には全く関係のない記念日なんだけど」

クロード「……はっ! そ、そうでした! 私とヒビキ様の関係は、主従関係なのですから『メイストームデー』など関係ありません!」

 ヒビキ「――? うん。それさっき俺が言ったよね?」

クロード「そ、そうです。別れを切り出されたからってそれを受け入れる必要なんかなかったんだ。いざとなれば無理矢理口を塞いででもそんな言葉は言わせなければ」

 ヒビキ「クロード。今、何て言ったの? 変な悪寒がしたんだけど……?」



★★★★★
その他の記念日『愛犬の日』
※ジャパンケンネルクラブが1994年に制定。
※1949年のこの日。同団体の前身『全日本警備犬協会』が設立された。

クロード「ヒ、ヒビキ様。今日は愛犬の……」
 ヒビキ「大丈夫。分かってるよ、クロード」
クロード「ヒビキ様!」
 ヒビキ「クロードはオオカミだものね。愛犬とは関係ない。分かってるよ」
クロード「ヒビキ様ああああああっ!?」
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