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サポちゃん、頑張る!
君の名前はスキルサポート
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「見た目はどうしようかな~? 可愛い系? キレイ系? それとも癒し系? うーん、お兄さん迷っちゃうなぁ。困ったな~」
「何やってんだ? 主神様」
「あれ~? カー君じゃないの」
玉座に座りうんうん悩む様子の主神の後ろに現れたのは聖獣カーバンクルであった。
「いやね、久しぶりに『チュートリアル』ってスキルを与える子がいるんだけど、レベル2になったらサポートシステムを付けてあげないといけないんだよね」
「付ければいいだろ?」
カーバンクルには主神が何に悩んでいるのかさっぱり分からなかった。
「このサポートシステムは技能的な支援じゃなくて、情報的な支援にするつもりなんだよね~。だから、喋れるようにしないといけないの」
「だから、喋れるようにすればいいんじゃないのか?」
カーバンクルには益々分からなかった。発声機能のあるシステムくらい主神ならすぐに作れるだろうに。
「だって、どうせ喋れるなら人型にしようと思ったんだけど」
「思ったけど?」
「見た目をどうしようって考えたら結論が出なくて。もう2日も考えてるのに全然答えが出ないんだよ~。もう眠くって眠くって~。ふぁあ……」
「……アホか」
まあ、呆れても誰も責めないだろう。
「カー君はどんな子が好み? 可愛い系でもキレイ系でも癒し系でもお淑やか系でも、なんでも作れるよ?」
「聖獣に人間の好みを聞かれてもなぁ。分かんねえよ」
「えー。非協力的だなぁ。うーん、仕方が無い。あみだで決めるか! 答えは神のみぞ知るってね!」
「いや、神様はあんただろ」
主神は紙を1枚取り出すと5本の縦線と数十本の横戦を引いてあみだクジを作った。
「横線、多すぎだろ……」
「ふふふ、これだけあれば絶対に答えは分かるまい。よーし、じゃあここからスタート! ……うわあ、線が多すぎて面倒くさーい」
主神は顰め面であみだクジをなぞった。カーバンクルからすれ面倒くさいのは当然のことで、寧ろなぜ気づかないのかと冷静に主神の様子を観察していた。
そして、答えがでたようだ。
「よーし! 決まった! サポートシステムの容姿は……お澄し美少女系で! って、どんなの?」
「いや、聞かれても知らねーよ?」
疑問符を頭に浮かべる主神とは裏腹に、主神が描いたあみだクジが輝き始め何やら人の形を象り始めた。どうやらサポートシステムの容姿は本当に決まったようだ。
「お兄さんもびっくり。まさか自動的に容姿が決まるとは。悩み損かな?」
「……もうちょっと自分の能力を把握した方がいいと思うぞ?」
1人と1匹の前に現れたのは1人の少女だった。
年は10歳くらい。少女らしく若々しい白い肌、頬には仄かに赤みがさしている。藤色の透き通るような美しい髪。クセのない真っ直ぐなその髪は膝ほどまで長く、絹糸のような光沢があった。
体躯も手指も細く、激しい運動などしたことのない貴族のご令嬢のようだ。身に纏うのは彼女の髪よりも少し色の濃い若紫色のドレス。間に白を挟んで淡い色の仕上がりとなっている。
空色の大きな瞳は真っ直ぐに主神を捉え、口角は上がりも下がりもしていない。無表情といって差し支えないだろう。
「うわー、お兄さんが想定していたよりずっと可愛いなぁ。笑うともっと可愛いのに」
「お澄しなんだろ? 基本あれがデフォルトじゃね?」
「名無しより報告。命名をお願いします。名無しより以上」
「え? あー、名前ね。えーと、レベル2ではスキルの使い方とかを教えてあげてほしいから……うん、君の名前は『スキルサポート』だ!」
「それって名前なのか?」
「スキルサポートより報告。名前が登録されました。スキルサポートより以上」
「うん、これから頑張ってね!」
「スキルサポートより報告。命令を受諾。スキルサポートより以上」
「いや、まあ、本人がいいならいいんだけどな……」
こうして固有スキル『チュートリアル』のサポートシステム『スキルサポート』が誕生した。
「何やってんだ? 主神様」
「あれ~? カー君じゃないの」
玉座に座りうんうん悩む様子の主神の後ろに現れたのは聖獣カーバンクルであった。
「いやね、久しぶりに『チュートリアル』ってスキルを与える子がいるんだけど、レベル2になったらサポートシステムを付けてあげないといけないんだよね」
「付ければいいだろ?」
カーバンクルには主神が何に悩んでいるのかさっぱり分からなかった。
「このサポートシステムは技能的な支援じゃなくて、情報的な支援にするつもりなんだよね~。だから、喋れるようにしないといけないの」
「だから、喋れるようにすればいいんじゃないのか?」
カーバンクルには益々分からなかった。発声機能のあるシステムくらい主神ならすぐに作れるだろうに。
「だって、どうせ喋れるなら人型にしようと思ったんだけど」
「思ったけど?」
「見た目をどうしようって考えたら結論が出なくて。もう2日も考えてるのに全然答えが出ないんだよ~。もう眠くって眠くって~。ふぁあ……」
「……アホか」
まあ、呆れても誰も責めないだろう。
「カー君はどんな子が好み? 可愛い系でもキレイ系でも癒し系でもお淑やか系でも、なんでも作れるよ?」
「聖獣に人間の好みを聞かれてもなぁ。分かんねえよ」
「えー。非協力的だなぁ。うーん、仕方が無い。あみだで決めるか! 答えは神のみぞ知るってね!」
「いや、神様はあんただろ」
主神は紙を1枚取り出すと5本の縦線と数十本の横戦を引いてあみだクジを作った。
「横線、多すぎだろ……」
「ふふふ、これだけあれば絶対に答えは分かるまい。よーし、じゃあここからスタート! ……うわあ、線が多すぎて面倒くさーい」
主神は顰め面であみだクジをなぞった。カーバンクルからすれ面倒くさいのは当然のことで、寧ろなぜ気づかないのかと冷静に主神の様子を観察していた。
そして、答えがでたようだ。
「よーし! 決まった! サポートシステムの容姿は……お澄し美少女系で! って、どんなの?」
「いや、聞かれても知らねーよ?」
疑問符を頭に浮かべる主神とは裏腹に、主神が描いたあみだクジが輝き始め何やら人の形を象り始めた。どうやらサポートシステムの容姿は本当に決まったようだ。
「お兄さんもびっくり。まさか自動的に容姿が決まるとは。悩み損かな?」
「……もうちょっと自分の能力を把握した方がいいと思うぞ?」
1人と1匹の前に現れたのは1人の少女だった。
年は10歳くらい。少女らしく若々しい白い肌、頬には仄かに赤みがさしている。藤色の透き通るような美しい髪。クセのない真っ直ぐなその髪は膝ほどまで長く、絹糸のような光沢があった。
体躯も手指も細く、激しい運動などしたことのない貴族のご令嬢のようだ。身に纏うのは彼女の髪よりも少し色の濃い若紫色のドレス。間に白を挟んで淡い色の仕上がりとなっている。
空色の大きな瞳は真っ直ぐに主神を捉え、口角は上がりも下がりもしていない。無表情といって差し支えないだろう。
「うわー、お兄さんが想定していたよりずっと可愛いなぁ。笑うともっと可愛いのに」
「お澄しなんだろ? 基本あれがデフォルトじゃね?」
「名無しより報告。命名をお願いします。名無しより以上」
「え? あー、名前ね。えーと、レベル2ではスキルの使い方とかを教えてあげてほしいから……うん、君の名前は『スキルサポート』だ!」
「それって名前なのか?」
「スキルサポートより報告。名前が登録されました。スキルサポートより以上」
「うん、これから頑張ってね!」
「スキルサポートより報告。命令を受諾。スキルサポートより以上」
「いや、まあ、本人がいいならいいんだけどな……」
こうして固有スキル『チュートリアル』のサポートシステム『スキルサポート』が誕生した。
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