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第4章『ダンジョンの試練、最強の黒鬼と雪ん子に師匠?!/雪ん子(オーバーロード)の章』

第146話 第3回戦:【ネタバレ】必ずファイントが勝ちます(3)

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「確か、『対象となる相手の姿や性質、能力を、自分自身を変質させることで全く同一の存在として模倣する。しかしルトナウムの性質により、必ず何かが基となった物と相反する』でしたっけ?」

 額に青筋を立てたファイントは、怒気を強く含んだまま、偽ファイントを問い詰める。

「えぇ、そうね、そうね----まさしく、その通りですわね☆ あなたは私に良く似ている、それこそコピーかってくらいにまでそっくり、私その物☆」
【えぇ、勿論よ♪ なにせ、それが私なのだから♡ まぁ、職業ジョブの違いとかはあるかもしれないけど、性格は一緒のはずよ----私達は共にじゆうを楽しむ、悦楽者ね☆】

 その事を、ファイントは否定しない。
 なにせ、その通りだから。

 悪である事を、自由気ままにいられることを第一と考えるのが、ファイントという召喚獣である。
 そのためならば、例えご主人であろうとも、自由を妨害して来るなら殺すくらいの気持ちはある。

【さぁ、私、一緒に遊びましょ? こんな、つまらなーい模擬試合なんか、2人で抜け出して、思いっきり外で暴れましょ?
 金も、殺戮も、そして悦楽も----私達にかかれば、造作もないことのはずよ☆】
「えぇ、そうね……確かに、私もそう思うわね」

 そう、めちゃくちゃ楽しそうな提案である事は、ファイントも理解していた。
 そして同時に----


「でも、私はあなたと相いれないわ」


 ----ファイントは、偽ファイントの手を斬り落としていた。
 自分の腕に、"青い炎の刀・・・・・"を纏わせて。

【----っ!!】
「斬り落とされて怖がるんじゃなくて、面白い力だと思うような顔をするのは、私らしいかもしれないわね。これは、あなたのご主人から覚えた力よ」

 ファイントにとって、この対決3回戦は2周目----1周目で、日野シティーミティーの力によって、負けたという記憶がある。
 その時にファイントはその経験と共に、彼女の青い【オーバーロード】の力を使って動かす髪のスキルを、青魔法として習得ラーニングしたのである。

 さっきの刀は、【スタンブレード】に覚えた【オーバーロード】のスキルの一部を付与しただけ。

【アハハッ……! まさか、【オーバーロード】の力を、青魔法として覚えるなんて! 流石、私!】
「うるさいわね、もうあなたは私じゃないのよ」

 ファイントは自分と冴島渉にかかっていた音と影の力を、同時に消し去る。
 【オーバーロード】の力は、本当に便利だなぁ、とファイントはそう思いながら続ける。

「あなた、言ったわよね? ご主人の事を泥野郎って」
【えぇ、言ったわよ? なにせ私達は天使よ、人間の事を泥野郎というのは不思議じゃないわ☆】

 偽ファイント----《ルトナウム》赤鬼の記憶には、確かにそうあった。

 天使とは、神が生み出した自然を愛し、人々に施しを与える存在。
 人間とは神が自分の形を模した泥の人形であり、不完全な存在。
 だからこそ、天使は不出来な弟をあやすように、人間を救わなくてはならない。

【人間は救うべきだわ、天使ならね☆ でも、私は悪の天使♪ 皆が『やれ』と言われる義務を、自由の名のもとに『やらない』と言い張るのが私、ファイントよ☆】
「それについては、同感だわ」

「----そして、もう喋りたくないと判断したわ」

 間髪入れずに、ファイントは偽ファイントを殴り飛ばしていた。


「私がこの世で、最も嫌いな正義ふじゆうを教えてあげるわ。
 それは、"天使であること"。

 『悪であるから』という理由だけで、この私を追放した神。そして同調した天使達。

 私はね、出来る事ならば天使である事を辞めたいくらいなのよ」


 そう、ファイントにとって一番嫌いなのは、天使。
 『悪の天使』だからと自分を追放した、神と天使。
 ファイントにとって、正義ふじゆうの存在であり、自分が一番嫌う相手。

「あなたはご主人を泥だと言った。私もそう思っていた時期もあるし、別に言うのは自由。
 けどね、それを言うって事は天使であると認めてるようなもの。私の前で天使を名乗るなら----"殺されなさい"」

 悪意と憎しみを込めて、ファイントは偽ファイントを睨みつける。


 ===== ===== =====
 強力な殺意を 解放しました
 特殊条件を 解放しました

 【青魔導を識る者】が 進化します
 
 ……
 …………
 ……………………

 【青魔導を識る者】は進化し 【オーバーロードを識る者】を 会得しました


 【オーバーロードを識る者】;四大力【オーバーロード】を知り、それを自らの青魔法として受け入れた末に生まれた奇跡のスキル。全ての青魔法に【オーバーロード】の力が適用されます
 ===== ===== =====


「あらあら、せっかく学習ラーニングしておいた敵さんのスキルが無駄になっちゃったわ☆
 でも良いわ、ぜーんぶあなたで試しますからね☆」

 ファイントは不気味に笑いながら、【オーバーロード】で強力となったスキルを、憎き相手へと振るうのであった。
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