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第57話 みんなでポーションを改良しよう配信(2)
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ポーションを一旦別容器に移した私は、そのままガラス瓶製作に取り掛かる。
味に関しては正直な所、そこまで大差は出てこないと思う。
メキスさんも蒸留という手段を使ってでも味を美味しくしようとしているみたいだけれども、どんなに美味しくしようが『ちょいマズい』か、『飲んでも良いか』くらいの味にしかならないだろう。
子供達にとっては、そこまで味の変化は分かってもらえないと思う。
だから、味以外に変化を付ける。
ポーションは液体と、それを入れるガラス瓶の2つで構成されているので、味以外の変化だと、当然、こっちの容器であるガラス瓶の改革になる。
ポーションの歴史上、味の変化と比べると、ガラス瓶の改革はあまりされていない。
精々が、冒険で多少雑に扱っても大丈夫になるくらい、かなり頑丈に作っておいてるくらいである。
だから味なんかと比べて、こっちのガラス瓶に関してはまだまだ工夫のし甲斐がある。
「(子供達が好きなモノと言えば、触って面白いモノ)」
おもちゃのスライムのような感触が斬新だったり、あるいは戦隊もののロボットのように変形させて合体させたり。
そういう、触っていて面白いといえるようなモノが、子供達は大好きなのだ。
----要するに、娯楽。
----大人も、子供も、みんなが娯楽大好きなのだから。
「それじゃあ、ガラス瓶を錬金して行こうか」
私は頭の中で思い描いているガラス瓶の設計図通りに、手に持っているガラス瓶の形を変形させていく。
ポーションが入っていたガラス瓶を、真ん中を少し凹ませたガラス瓶に変形。
瓶に凹みをつけるのはこの後の作業にも関係あるが、それよりも重要なのは持ちやすさのため。
ポーションは子供の手と比べると、少し大きめのサイズ。
さらにガラス瓶ということもあって、飲もうとしても滑ってしまう可能性もあった。
そこで凹みを付ける事で、指が入る場所を作り、子供の小さな手でも持ちやすいように設計した、という訳なのである。
「さて、次はポーションの改良と行きましょうか」
ガラス瓶の改良は、いったん終了。
続いて、ポーション自体にも一工夫加えておく。
まず、ポーションの味を薬効を損なわない程度に、冒険者組合から提供された花の蜜を加えて、軽く味を甘くしておく。
まぁ、焼け石に水なくらいで、やらないよりかはマシ程度。
そしてここに、風属性の魔術で二酸化炭素----シュワシュワとハジける泡を加えておく。
シュワシュワとハジける泡----そう、炭酸である。
私はポーションに泡を発生させて、炭酸飲料化しているのだ。
味で大きな差が出ないとは言っても、炭酸かそうでないかは、味に大きな差が出るといっても良い。
ポーションの審査なので、どうしても、同じような味の審査になりがちだろうし、こういった、ちょっとした工夫でもあれば、印象が良くなると思うし。
「そして、この炭酸を逃がさないように、ビー玉で蓋をして、っと」
私はそう言いながら、錬金でビー玉を作り出した蓋をする。
----そして、完成っ!
私渾身の、お子様向けポーション!
その名も、炭酸入りポーション、ラムネ瓶!
「これで優勝、目指すぞ~!!」
そして私は、時間内に20個のポーションを完成させ、提出するのであった。
いや、かなりギリギリだったみたいで、私が最後だったみたいだけど、間に合ったから良かった。良かった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
----彼女の名前はメキス。第8回『錬金術師大会』の決勝に挑む、ただの錬金術師。
いま現在、メキスはこの大会に優勝すべく、ポーション作りにまい進していた。
『錬金術師大会』には既に3回も優勝しているけれども、この第8回大会は絶対に優勝したいと、いつも以上に思っていた。
何故なら----今回なら、全力で戦えると思ったからだ。
メキスが大会に参加していた理由は、業界の広さを知るため。
錬金術師としての自分の実力がどれくらいなのか、他に優秀な錬金術師が居れば教えを請うための交流の場として、参加していたようなモノ。
しかしながら、それは叶わなかった。
何故なら、今までの大会は、めちゃくちゃショボかったから。
錬金術師の大会が他にないから参加していたけれども、そもそも私が参加してないからって、薬師が優勝候補筆頭になるような大会の、どこが凄いと言えるのか。
だから前大会優勝者である薬師のチアンに引導を渡して、大会4回優勝を持って、この大会からは身を引くつもりだった。
----しかし、この第8回大会はレベルが段違いだった。
特に、冬ブロックに割り当てられていたススリアという錬金術師。
きっかけこそ、大会出場できるかの検査で気になったからという事だが、彼女を知れば知るほど、その錬金術の凄さに憧れた。
配信のアーカイブで見た彼女の手際の良さに、メキスは惚れこんでいた。
----だから、このポーション作りという決勝のお題も、彼女は真剣に取り込んでいる。
ススリアの凄さは、メキスも良く知っている。
だからこそ、あのススリアとどれだけの差があるのか、それを知っておきたいのだ。
「----頑張りますよ、私」
----彼女はメキス。錬金術師として格上の相手に挑もうとする、ただの錬金術師。
味に関しては正直な所、そこまで大差は出てこないと思う。
メキスさんも蒸留という手段を使ってでも味を美味しくしようとしているみたいだけれども、どんなに美味しくしようが『ちょいマズい』か、『飲んでも良いか』くらいの味にしかならないだろう。
子供達にとっては、そこまで味の変化は分かってもらえないと思う。
だから、味以外に変化を付ける。
ポーションは液体と、それを入れるガラス瓶の2つで構成されているので、味以外の変化だと、当然、こっちの容器であるガラス瓶の改革になる。
ポーションの歴史上、味の変化と比べると、ガラス瓶の改革はあまりされていない。
精々が、冒険で多少雑に扱っても大丈夫になるくらい、かなり頑丈に作っておいてるくらいである。
だから味なんかと比べて、こっちのガラス瓶に関してはまだまだ工夫のし甲斐がある。
「(子供達が好きなモノと言えば、触って面白いモノ)」
おもちゃのスライムのような感触が斬新だったり、あるいは戦隊もののロボットのように変形させて合体させたり。
そういう、触っていて面白いといえるようなモノが、子供達は大好きなのだ。
----要するに、娯楽。
----大人も、子供も、みんなが娯楽大好きなのだから。
「それじゃあ、ガラス瓶を錬金して行こうか」
私は頭の中で思い描いているガラス瓶の設計図通りに、手に持っているガラス瓶の形を変形させていく。
ポーションが入っていたガラス瓶を、真ん中を少し凹ませたガラス瓶に変形。
瓶に凹みをつけるのはこの後の作業にも関係あるが、それよりも重要なのは持ちやすさのため。
ポーションは子供の手と比べると、少し大きめのサイズ。
さらにガラス瓶ということもあって、飲もうとしても滑ってしまう可能性もあった。
そこで凹みを付ける事で、指が入る場所を作り、子供の小さな手でも持ちやすいように設計した、という訳なのである。
「さて、次はポーションの改良と行きましょうか」
ガラス瓶の改良は、いったん終了。
続いて、ポーション自体にも一工夫加えておく。
まず、ポーションの味を薬効を損なわない程度に、冒険者組合から提供された花の蜜を加えて、軽く味を甘くしておく。
まぁ、焼け石に水なくらいで、やらないよりかはマシ程度。
そしてここに、風属性の魔術で二酸化炭素----シュワシュワとハジける泡を加えておく。
シュワシュワとハジける泡----そう、炭酸である。
私はポーションに泡を発生させて、炭酸飲料化しているのだ。
味で大きな差が出ないとは言っても、炭酸かそうでないかは、味に大きな差が出るといっても良い。
ポーションの審査なので、どうしても、同じような味の審査になりがちだろうし、こういった、ちょっとした工夫でもあれば、印象が良くなると思うし。
「そして、この炭酸を逃がさないように、ビー玉で蓋をして、っと」
私はそう言いながら、錬金でビー玉を作り出した蓋をする。
----そして、完成っ!
私渾身の、お子様向けポーション!
その名も、炭酸入りポーション、ラムネ瓶!
「これで優勝、目指すぞ~!!」
そして私は、時間内に20個のポーションを完成させ、提出するのであった。
いや、かなりギリギリだったみたいで、私が最後だったみたいだけど、間に合ったから良かった。良かった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
----彼女の名前はメキス。第8回『錬金術師大会』の決勝に挑む、ただの錬金術師。
いま現在、メキスはこの大会に優勝すべく、ポーション作りにまい進していた。
『錬金術師大会』には既に3回も優勝しているけれども、この第8回大会は絶対に優勝したいと、いつも以上に思っていた。
何故なら----今回なら、全力で戦えると思ったからだ。
メキスが大会に参加していた理由は、業界の広さを知るため。
錬金術師としての自分の実力がどれくらいなのか、他に優秀な錬金術師が居れば教えを請うための交流の場として、参加していたようなモノ。
しかしながら、それは叶わなかった。
何故なら、今までの大会は、めちゃくちゃショボかったから。
錬金術師の大会が他にないから参加していたけれども、そもそも私が参加してないからって、薬師が優勝候補筆頭になるような大会の、どこが凄いと言えるのか。
だから前大会優勝者である薬師のチアンに引導を渡して、大会4回優勝を持って、この大会からは身を引くつもりだった。
----しかし、この第8回大会はレベルが段違いだった。
特に、冬ブロックに割り当てられていたススリアという錬金術師。
きっかけこそ、大会出場できるかの検査で気になったからという事だが、彼女を知れば知るほど、その錬金術の凄さに憧れた。
配信のアーカイブで見た彼女の手際の良さに、メキスは惚れこんでいた。
----だから、このポーション作りという決勝のお題も、彼女は真剣に取り込んでいる。
ススリアの凄さは、メキスも良く知っている。
だからこそ、あのススリアとどれだけの差があるのか、それを知っておきたいのだ。
「----頑張りますよ、私」
----彼女はメキス。錬金術師として格上の相手に挑もうとする、ただの錬金術師。
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