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僕...帰れますか?

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先輩の部屋着を借りて、ぶかぶかだって袖をブラブラするとなぜかまた襲われそうになったけど、怪しい雰囲気になる度に僕のお腹の虫のアラート機能が働き、なんとか目の前には食事が!
結局先輩の家には材料もなくて、宅配サービスで注文してくれた。

蓮先輩の冷蔵庫にはミネラルウォーターなんかの飲み物くらいしか見当たらなかった....

「いただきますっ」
『どうぞ~』

あむあむ。体に染みるーーっっ

広いテーブルなのに横に座って密着度の高い先輩も気にならないほどにお腹が空いていた。

『美味しそうに食べるね~』
「とっても美味しいです!先輩は一人暮らしだと食事とか大変そうですよね。」

『んーウィダーとか栄養剤系で生きていけるし特に問題ないかな。』
「え...?そんな...  」

食事は1人では味気なくて食欲が湧かないのかもしれない....
これからは一緒に食べることの楽しさを先輩に感じて欲しいな!
と決意を新たにしている夏希だが実際は蓮は食事にも興味が湧かないだけの作業として捉えている。

「先輩!これからは学校とかでも一緒に食事する機会を増やしましょう!」

『ん?機会というか、これからはずっと一緒だよ?』

当たり前ですけどという先輩の表情だが僕はよく理解できない。

「はへ?学年も違いますしずっと...とは?」

『だって夏樹はもう俺が養うし、学校なんて行かなくていいから』

「ひぇ??!?!」

あれれ、なんだか僕たちさっそくすれ違ってない?!

「えっと...僕たちはこれから学生同士の青春恋愛1ページを開きますよね?」

『んー?それで?』

「1ページとしてはですね! 一緒に登下校、一緒に学食、テスト前に図書館勉強しちゃったり、放課後は一緒に買い食いして、しばらく付き合ったら、“今日ウチくる?“のやつですよー!」

僕の高校生で可愛い彼女とやりたかったリストを興奮気味に伝える。

『もう夏樹ウチにいるし、ウチの子にするから、ずっとここがウチになるよ?』

え?!なんか通じてない!先輩....周りに怖がられて避けられて、これまでまともな人付き合いが出来てないからコミュ障なのかも....蓮先輩!僕は見捨てませんからね!
と明後日の方向で決意を固める夏樹。

「えっとですね?世の中のカップルというものは仲を深めるステップがありましてですね」

『夏樹これ以上深めたいの?あんなに深く突き刺してあげたのに。』

先輩が少しニヤニヤした表情で見てくる。そんな普通じゃ下品な顔すら鑑賞できますっ
「ひゃぁぁ///そっ そゆことじゃなくてぇ」

思い出して体の奥がずきゅっとなる僕。
それを見逃さずに僕の背に手をあて、ぐっと引き寄せられ、首筋をぺろっと舐められる。
「ひゃっ はぁぁんっ♡やぁ...♡」

また気持ちよくなっちゃう...
だ..だめだまた流されちゃう!
と蓮先輩の美しい顔の前に手を当てストップをかける。

先輩はむっとした表情を浮かべる。


『夏樹が手順を踏みたいっていうなら
海外に行こうか。海外なら同性婚できるから、書類上も俺のになるでしょ?』

おっとっと。先輩ってば付き合うイコール結婚をイメージしちゃう小学生の恋愛観!!!コミュ障が重症だよ....けど僕は見捨てませんよ!!

「えっとですね。結婚はもっと先のステップになるんですよ?」

『そんなの誰が決めたの。どうせそうなるなら早い方がいいでしょ。夏樹諦めなよ?夏樹が拒んでも外に出すつもりはなかったから家に鎖もあるけど、痛いの嫌でしょ?』

く...くさり?!蓮先輩まさか、コミュ障を通り越してペットとの扱いの区別ができてない?!?重症ですよ....
これは一般論で伝えても通じない可能性があるな...説くのではなくて気持ちで伝えよう!

僕は蓮先輩の目を見つめ手をとりぎゅっと握る。

「蓮先輩...僕、恋人ができたらやりたかったこと、先輩としたいんです...早く結婚しちゃうと恋人として楽しめる期間が短くなっちゃいます///」

『..........はぁ。』

先輩が手を顔にあて悩むしぐさをしている。


「蓮先輩みたいな素敵な恋人は自慢したくなっちゃいますから///」

『っ....... 俺を惑わすのも夏樹だけだねー。
んーじゃあ学校と結婚は百歩譲ってあげるけど、ウチに住むのは決定ね?』

「えーー!!!家の門の前に恋人が迎えにくるシーンができなくなっちゃいますよ!」

『俺のマンションのエントランスでやろうね~』

「むむ....なんか違う! というか!僕母とか家族と一緒に住んでるので同居はちょっと...」

『んー?電話した感じは、夏樹の家族大丈夫だと思うけど。』

「え?電話? 結構心配症なんですよ!妹なんていつもうるさいし...」

『夏樹の荷物取り行く必要もあるし、家に一緒に行って許可もらってあげるー』




『その前に煽った責任とって?』

と僕は食事を全部食べ終わる前にお姫様抱っこでベッドに運ばれるのであった。






そう...結婚ありきに話が進むこのカップルの基準値を突っ込むものはいないのである....
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