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おまけ(使用人Aの視点)
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(番の存在を知らない使用人Aの目線)
私は子爵家出身で、使用人としてメーカー帝国の宮殿に勤めて7年になる。帝国陛下も住まわれている宮殿に使えることができて日々誇りに思っている。
陛下は冷酷とは言われるが、その政治、武力ともに采配は天賦の才といわれるほどであり、この帝国を安定統治してらっしゃる。
そのお力には全帝国民が信頼、畏怖している。外交の時などは口角は少々上げているような気はするが、基本その瞳は冷めきっており、完璧な容姿も相まって、存在が作り物のようだ。
近寄りがたい存在・・・というか同じ人間?と思えるほどに、おそばにお仕えしても現実味のないお方である。
そんなアラン様だが、なんと他国訪問の際に婚約者を見つけたというではないか。
女性に興味がある様子などこれまでこれっぽっちもなかったわけだが、晴天の霹靂である。
さらに、なんと悪女として殺人未遂まで犯して婚約破棄されたというハーモスト・ミシェルが相手というではないか。
陛下は何をお考えなのか・・・・陛下が一目ぼれなんてあり得ないだろうから、政治的な駒や何か活用をお考えなのかもしれない。
陛下が門にご到着されそうということで、私たちは不安な気持ちを抱えたまま出迎えにいった。
『皆表を上げることを許す』
陛下の許しを得て、顔をあげた。
え!?陛下の斜め後ろで少し不安そうに視線をさまよさせている、か弱そうな雰囲気の美少女がいる。
きゅるきゅる潤っているバイオレットの瞳に、ワインレッド髪の毛を柔らかくまとめている。淡いブルーのシフォンを使ったドレスは品があり、彼女の柔和な雰囲気をより引き立てている。
え!!!悪女どこよ!?
その美少女は自分をミシェルと名乗っている・・・彼女が!!?噂のイメージと全然違う・・・まさか大演技の末、陛下が騙された・・・?
しまいには使用人に頭を下げている。さらに何やら握り拳を作って元気に変わったポーズをしている。淑女ぽさは・・・ない。
そして何よりミシェルのことがすっ飛ぶくらいの衝撃が、陛下の変貌ぶりだ。
ブルート様に向ける反応はいつも通りのクールな表情を崩されないが、ミシェル様へ向ける甘々の視線と声音・・・・
え???!!!こっちも誰よ!!!!!!
しまいにはお姫様抱っこをかましている。これはもう夢なのかしら・・・
二人とももしかして影武者・・・・?
ブルート様から声がかかるまで皆使用人全員無言でその場で呆けていた。
目の前の出来事をうまく消化できず・・・私はそのあとどう屋敷の職場に戻ったのか記憶が曖昧だった。
私は子爵家出身で、使用人としてメーカー帝国の宮殿に勤めて7年になる。帝国陛下も住まわれている宮殿に使えることができて日々誇りに思っている。
陛下は冷酷とは言われるが、その政治、武力ともに采配は天賦の才といわれるほどであり、この帝国を安定統治してらっしゃる。
そのお力には全帝国民が信頼、畏怖している。外交の時などは口角は少々上げているような気はするが、基本その瞳は冷めきっており、完璧な容姿も相まって、存在が作り物のようだ。
近寄りがたい存在・・・というか同じ人間?と思えるほどに、おそばにお仕えしても現実味のないお方である。
そんなアラン様だが、なんと他国訪問の際に婚約者を見つけたというではないか。
女性に興味がある様子などこれまでこれっぽっちもなかったわけだが、晴天の霹靂である。
さらに、なんと悪女として殺人未遂まで犯して婚約破棄されたというハーモスト・ミシェルが相手というではないか。
陛下は何をお考えなのか・・・・陛下が一目ぼれなんてあり得ないだろうから、政治的な駒や何か活用をお考えなのかもしれない。
陛下が門にご到着されそうということで、私たちは不安な気持ちを抱えたまま出迎えにいった。
『皆表を上げることを許す』
陛下の許しを得て、顔をあげた。
え!?陛下の斜め後ろで少し不安そうに視線をさまよさせている、か弱そうな雰囲気の美少女がいる。
きゅるきゅる潤っているバイオレットの瞳に、ワインレッド髪の毛を柔らかくまとめている。淡いブルーのシフォンを使ったドレスは品があり、彼女の柔和な雰囲気をより引き立てている。
え!!!悪女どこよ!?
その美少女は自分をミシェルと名乗っている・・・彼女が!!?噂のイメージと全然違う・・・まさか大演技の末、陛下が騙された・・・?
しまいには使用人に頭を下げている。さらに何やら握り拳を作って元気に変わったポーズをしている。淑女ぽさは・・・ない。
そして何よりミシェルのことがすっ飛ぶくらいの衝撃が、陛下の変貌ぶりだ。
ブルート様に向ける反応はいつも通りのクールな表情を崩されないが、ミシェル様へ向ける甘々の視線と声音・・・・
え???!!!こっちも誰よ!!!!!!
しまいにはお姫様抱っこをかましている。これはもう夢なのかしら・・・
二人とももしかして影武者・・・・?
ブルート様から声がかかるまで皆使用人全員無言でその場で呆けていた。
目の前の出来事をうまく消化できず・・・私はそのあとどう屋敷の職場に戻ったのか記憶が曖昧だった。
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