51 / 88
本編
48ー義輝Sideー
しおりを挟む「行ったね。義輝はそっちを選んだんだね。」
「そうだね。今回は彼を選んだよ。」
「今更だけど…義輝の知り合いの人間ってまともなの崇陽くらいしか居ないよね…」
なんてしみじみと言っている陽斗を鼻で笑ってやった。
「類は友を呼ぶってヤツだろ。俺は特に困った事もないし…どうでも良い。」
「開き直っちゃったよ…」
などと言って呆れた顔をしている。確かに俺の知り合い…人間の知り合いには控えめに言って殆どクズしかいない。
斯く言う俺もその中の1人である。
その中でも1番まともな神無月 崇陽というアルファの伝を使えばまともな者と繋がる事もできるだろう。
後腐れなく使うならばやはりクズの方が良い。そう思っている時点で自分自身も同じ穴の狢…ただ違うのは俺が使われる事はほぼ無い。
崇陽とはビジネスパートナーなのでお互いにWin-Winな契約を交わしている。
その契約に応じて崇陽の要望に応える事はあるだろうが…それだけだ…
他の者からは全く使われた事はない…寧ろ俺が使いまくっている。人間は本能で鬼を恐れているので、崇陽みたいな奴の方が珍しい。
しっかりと分別をわきまえて接してくるので俺は嫌いじゃない。寧ろ好感が持てる。
あの笑いもしない仏頂面が番には蕩けるような笑みを浮かべるのだ。アレを見た時は少し驚いたな。そして、面白かった。
いや、だって…顔すら合わせずに崇陽の番は雰囲気に怯えて泣きそうになりながら震えていた。
崇陽が少し不憫にも思えるが…近くに居て、いつでも触れられる距離に居るのが嬉しいのか、番とは裏腹に崇陽自身は幸せオーラを纏っていた。
あの温度差には笑ってしまったな…
「さて、帰るか…」
「もう俺、疲れたんだけど?休みが欲しい!休みを下さい!」
「まだまだ働いてもらうけど?これだけで『疲れた』なんて言ってもらっては困る。休みは無い。以上だ。」
陽斗の願いを一刀両断して歩き始めると慌てたようについてきた。そして、叫ぶようにこう言った。
「鬼か!いや、俺も鬼だけど!義輝、お前は鬼だけど悪魔なの?」
「大丈夫、大丈夫。死にはしないだろ?」
「パワハラ野郎じゃん…」
「俺に紋章を捧げたのが運の尽きだな。諦めろ」
そう言って陽斗の言葉をバッサリと切り捨て鼻で嗤ってやると、ブーたれながらも俺の後ろをついてくる。
その陽斗にもう一度、今度は笑いかけてやった。
「あーあ…この鬼の手綱をちゃんと握ってコントロールしてくれるのをあの子に願うしかないのか…」
そう呟くと肩を落として陽斗は困ったように笑っていた。
*
0
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!
SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、
帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。
性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、
お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。
(こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
愛欲の炎に抱かれて
藤波蕚
BL
ベータの夫と政略結婚したオメガの理人。しかし夫には昔からの恋人が居て、ほとんど家に帰って来ない。
とある日、夫や理人の父の経営する会社の業界のパーティーに、パートナーとして参加する。そこで出会ったのは、ハーフリムの眼鏡をかけた怜悧な背の高い青年だった
▽追記 2023/09/15
感想にてご指摘頂いたので、登場人物の名前にふりがなをふりました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる