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本編
44ー義輝Sideー
しおりを挟む黙っている俺を受け入れていると勘違いしたのか女はバカバカしい持論を展開し始めた。
毎日、気持ち良くしてあげる
絶対に飽きさせない
番ってくれたら損はしないわ
自分は可愛いから連れているだけでステータスになる
など、他にも沢山の戯言をほざいていたが…最初の方しか聞いてない。他は全て聞き流した。
(お前と番った時点で損でしかない…気持ち悪い女だな…)
この女は分かっているのだろうか…自身が言葉を紡ぐ度に隣の劣等種の顔色が変わっていっているという事を…
「あのさぁ…意味の分からない事を熱弁してる時にごめんねぇ。」
そう言って女の言葉を遮ると、女はキョトンとして俺を見る。
「僕、最愛のオメガがいて、もう番ってるんだよね~。だから、君は要らないんだ。分かるかなぁ?」
首を傾げてそう言うと、女は分かりやすく顔を歪めた。
「なんで?なんで?なんで?私が番ってあげるって言ってるんだよ?」
「逆に聞くけどさ~、何でそんなに自信持てるわけ?ちょっと恐いんですけど~」
「アルファに選ばれるオメガなんだから!」
「たかが劣等種に選ばれただけで随分と偉くなったんだねぇ?可哀想だねぇ。いや、ある意味、幸せなのかな?」
バカにしているのが一応、分かったのか、怒りに顔を歪めているが…全く怖くない。不快ではあるけど…
「君は皆が羨ましがる地位にいたいダケでしょ?優越感に浸りたいダケなんだよね?」
バカにしたように鼻で笑ってやると、悔しそうに唇を噛み締める。どうやら図星らしい…ある意味、分かりやすくて助かる。
「ふーん。なら、もう、君の処分は決まったかな。劣等種とセットで…って考えていたけど…相手を変えてあげるよ。」
嘗て陽穂というバカな下層の鬼がいた。それの子どもにあたる改心しなかった鬼をあてがう事にする。
改心しなかったとは言っても、その鬼たちは俺が直々に調教した。
その甲斐があって、全く逆らわない従順な者に成長を遂げた。
その鬼たちの後見人に俺がなった。
そして、とある場所で念の為に隔離している。とは言ってもガッツリ隔離をしているわけではないが…
強制的に庇護鬼として使う事もできるが…俺の庇護鬼は4人で十分だ。数が多ければ良いというわけではない。これは俺の持論だけど…
まぁ、庇護鬼に近い感じではあるけど、ガッツリ庇護鬼ではない彼らをあの子に付けるよりも、とある場所のスタッフとして働いてもらっていた方が使い勝手が良い。だから、その場所で使っている。
まぁ、その際にいろいろと条件はつけているけれど…
適材適所というヤツだ。ただ単にあの子に付ける程の信頼を持っているわけでもない。というのも理由の1つだけど…
敢えて関係性を説明するならば、上下関係で繋がった『ご主人様』と『ペット』のような認識の方が近い気がする。
あくまで比喩だ。本当にペット扱いなんてしてはいない。
ちゃんと仕事に見合った報酬も渡しているし、『神木』にブチ込まれた施設で一生を過ごすよりは断然良いと彼らも言っているし、とある場所のスタッフとして働いてもらいつつ、凄く緩~く隔離生活を送ってもらっている。
ま、念には念を入れて鬼たちには俺以外には外せないいろいろと多機能で特殊なチョーカーを着けさせてもらっているが…今はその話はどうでも良い。
その中の誰かの嫁にしてしまって数人の鬼を相手にしてもらう事としよう。そして、早急にプロジェクトを進めてしまおう。
頭でそんな事を考えていると、俺の庇護鬼である2人は俺の考えている事が分かったらしい…何とも言えない表情を浮かべていた。
2人がそのような顔をしなくても、俺が陽穂の事を言えないようなクズであり外道である事なんて、とうの昔に自覚している。
今更、正そうなんて思わない。まぁ、クズはクズでも陽穂とは違う目的があるので、同じベクトルではない。それだけだ…
話は戻るが、ちなみにとある場所には罪を犯したオメガも数人いるので、こちらを劣等種にあてがう事にした。
*
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