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本編
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しおりを挟む漸く解放された俺は風呂で身体をキレイにされてリビングのソファーに横たわっている。
「寝室の片付けしてくるからイイ子で待っててね~」と言われたので大人しく待っている。いや、動きたくても全く力が入らないので大人しくしているしかないのが現状だ…
俺が今、着ているのは義輝の物だ。ちなみに着ているのとは別に上着も借りてる。上着の首元に顔を合わせる埋めてクンクンと匂いを嗅いでいると、少しだけ安心する。
まぁ…本人の首元に顔を埋めて嗅ぐのとでは雲泥の差ではあるが…無いよりはマシである。
コレも発情期ならではのものだと思いたい…義輝が隣に居ないから全く落ち着かない…
☆
どれだけ待ったのかは分からないが…もう、どうにかして義輝の元へ行ってしまおうかと思っていた時にリビングの扉が開いた。
そして、ひょっこりと顔を出した義輝の顔をじっと見ていると近づいてくる。
俺は自然と両腕を上げると、義輝の方へ広げて抱っこしてのポーズを取る。
(コレは発情期のせいだ。そうに決まっている)
という風な言い訳じみた思いを心の中で繰り返してムリヤリ納得させた。
義輝はそんな俺の行動を咎める事もなく、普通に抱き上げて俺をその腕の中へとおさめた。
「ちゃんと大人しく居たんだねぇ…偉いねぇ」
なんて言いながら頭を撫でてくる義輝の首元に顔を近づけるとスンスンと匂いを嗅いだ。
(やっぱり安心感が全然違う)
そう思うと自然に擦り寄った。
「思考はしっかりしているようだね~」
「ん…」
「あ、そうそう」
「何?」
「修兵は今日から俺の『番』になったから~」
という義輝の発言に首から顔を離す。
「え?マジ?」
「うん。マジマジ。マジだよ~」
そう言って鏡を俺に手渡してきたので、そっと鏡の中の自分を覗き込むと、首には紋章が刻まれていた。そして、項に触れるとボコボコと跡がある。ソレが噛み跡だと気づくのに時間はかからなかった。
「あ…冊子で見た事ある…」
「『鬼の番』である証だねぇ。ちなみに冊子の物は『前神木』のモノだよ。鬼の個体によって紋章は異なるから不思議だよねぇ…」
なんて言って笑っている。
「ぇ…じゃあ、コレは義輝の紋章って事だよね?」と聞きながら自分の首を彩るソレに指を這わしていると、義輝はクスリと笑い目を細めた。
「そういう事~。覚えておいて…コレが俺のモノである証だからね~」
そう言ってスルリと首のソレを撫でていく。刻まれた紋章をなぞっていく指先に背中の辺りがゾクゾクとして、奥の方が微かにムズムズ疼いた。
その感覚に先程の快楽を思い出しそうになりギュッと義輝の肩を掴むと、おかしそうにフッと笑って手を離していった。
*
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