僕たちの軌跡

スメラギ

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本編

12*

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 氷夜は優しい笑みを浮かべると、もう1回ギュッと抱き締めた。そして、慰めるように背中を1回撫でて身体を離そうとした。

 分かっている…。そう言っているように思えた。

 しかし、僕の身体はソレを咎めるように動く。まるで離れて行かないで、そう言っているようにも見えただろう。

 「政義?」
 「嫌だ…離れて行かないで…」

 そう言って、氷夜を見上げた。行動だけではなく、言葉でもソレを伝えると氷夜が息を飲んだのが分かった。
 少しの振動だけでもくすぶっているこの燃え上がるような熱が爆発しそうになる。

 「んっ、はぁ…氷夜…身体が熱い…おかしくなりそう…早くシて…」

 情けなく声を上げる僕に、氷夜の喉がゴクリと鳴った。そして、何かを耐えるように短く息をつくと、再び僕を見る。

 「大切な政義と初めて身体を重ねるのだから、ちゃんと布団で優しくしたい。」

 分かるか?と言うふうに僕の前髪を優しく掻き分けると、チュッと優しく額に接吻をしてきた。
 その刺激だけでヒクンと動く僕の身体は、文崇とともに迎えた発情期と全く違っていた。

 余計な事を考えていたのが悪かったのか…氷夜は目を細めると、少し意地悪に笑みを浮かべて僕の顎を優しく掬い取るように掴み、顔を上に向けると、今度は唇に接吻をしてくる。

 その接吻は徐々に深くなっていく。身体の中の空気がなくなりそうになった頃、離れたソレは妖しくテカっていた。
 肩で息をする僕をソッと危なくない場所に凭れさすと、氷夜は素早く布団を敷いた。
 敷き終わってこちらに戻ってくると、僕を優しく横抱きした。

 そして、布団の方へと歩いていき、ゆっくりと膝をつくと、深い接吻を僕に与えつつ、布団の上にゆっくりと横たわらせてきた。

 覆い被さるように組み敷かれた僕は誘うように氷夜を見上げる。

 すると、氷夜は先程よりも悪い顔をしてニンマリと笑うと僕にこう言った…。

 「昔の男・・・なんて直ぐに忘れさせてやる。こういう・・・・行為をする時には俺以外を思い出す事がないようにするから…覚悟しとけ。まぁ、徐々に、な?」

 表情とは裏腹に密のように甘く囁かれた言葉に、僕の後ろからドプリと体液が滲み出てきた。
 やわやわと焦れったく触ってくる氷夜に僕は両手を伸ばして訴えた。

 「はぁ…ン…早くっ…氷夜のモノにしてっ…」
 「久しぶりの発情期なんだから、せめて1回目は身体に負担がかからないようにしてやりたい。」

 そう言って、接吻をしながら僕の着物を徐々に剥ぎ取っていく。首筋を滑っていた唇は鎖骨をなぞり、胸をなぞって悪戯にペロペロと舐めてくる。時折、チュッと音を立てて接吻してくる。

 その感覚に身体は正直に反応した…

 「あっ…んんっ…」

 執拗な胸への愛撫に堪らず氷夜の肩に手を置き爪を立てた。痛みを感じていないのか…それとも僕の力が思ったよりも抜けているのかは分からないが、氷夜の動きも表情も変わらない…。

 不満気な僕の様子を見て氷夜はフッと笑うと、胸のソレに強く吸い付いてくる。

 「ぁあっ…」
 「可愛らしい、おいただな」

 そう言うとようやく胸から顔を離した。その氷夜の行動にホッとしたのも束の間…
 今度は何の躊躇いもなく男の象徴とも言うのか…僕の小ぶりなソレを口に含んでしまった…。

 スッポリと氷夜の口の中へ消えて行くソレに目を見開く…

 誰にもヤられた事のないソレに戸惑ったのも一瞬で、強い刺激により一気に快楽に呑まれる。

 「えっ…ちょっ、氷っ夜ぁあ!んんっ…な、にこれぇ…ゃ、しらないっ…んんっ…しらないっ…こんなの、しらないっ…ンぁあっ…」

 与えられた事のない刺激に咽び泣くように感じて声を上げる事しかできなかった。
 


 ジュブジュブと氷夜の口の中を行ったり来たりする僕のモノ…見え隠れするソレに気持ちが高揚し、腰が震え始める。

 与えられる刺激に身悶えているにも関わらず、氷夜は片手で胸の頂きまで触り始めた。

 その刺激に耐えられなくなった僕は何の言葉も紡げぬまま、氷夜の口の中に白濁を吐き出してしまった…。

 僕が静止の声を上げる前に氷夜はまたもや何の躊躇いもなくソレを飲み下すと、さらに扱き上げてくる始末。

 間を置かずに上げた事のない嬌声にも似た喘ぎ声を上げた僕は、頭が真っ白になっり、小ぶりなモノから透明な液体が飛び散った。

 そして、それと殆ど同時に全身から完全に力が抜けて肩を掴んでいた手も外れて敷布団の上に落ちた。

 投げ出すように落ちた僕の身体はだらしなく布団の上に投げ出されており、両足もだらしなく開いている。
 氷夜は舌舐めずりをすると、僕の足を持ち上げて上半身を少しおった。

 恥ずかしい場所が氷夜の眼前に晒されている状況であるにも関わらず、今の僕は羞恥心よりも、氷夜のモノにしてほしいという欲望の方が勝っていた。

 氷夜は脹脛ふくらはぎから足の付根まで舌を這わせると、後ろの入口の辺りを舌先で擦ってくる。
 時折、完全に口を付けて吸い付いてくるのだから、その刺激に僕の身体は反応し続けている状態だった。

 困ったもので、出した事のない嬌声みたいな声を出した辺りからずっと自分の口から殺しきれなくなった声が漏れ続けている。

 入口の浅い部分をピチャピチャと舐めて吸ってを繰り返す氷夜の舌を後ろの入口は飲み込もうとパクパクと開閉を繰り返している感覚があった…。

 氷夜はつぶさに僕の反応を見ている。目が合う度にドキドキする僕の身体のナカは今まで感じた事のない熱さを感じている状態だった。
 一際強く吸い付くと氷夜はソコから顔を離した。その氷夜の口元は僕のナカから出ているモノで艷やかに光っていた。

 「政義。」
 「んぅ…あ、なにっ…」
 「指を挿れるが…痛かったら直ぐに言ってくれ」
 「んっ…わかったぁ…」

 氷夜は僕の返事を聞いて、入口をクルクルと数回擦った後、ゆっくりと人差し指を挿入してきた。
 その指はナカをゆっくり優しく広げるように動かしながら入ってくる。しかし、舌よりは深いが、まだ浅いところを行ったり来たりしているので、焦れったくて仕方がなかった。

 「あっ…おく、おくに、…いれてっ、ぁ…」
 「もう少しだけ広げたらな…」

 そう言って氷夜は自身の上半身を僕の方に倒してくると、首筋に勢いよく吸い付いてきた。
 分かりやすく跳ねた身体は誤魔化せない…。

 「ぁん、…い、じわるぅ…っ!!」

 そう言った直後、胸の頂きをピンと弾かれ、もう片方は氷夜の口の中に消えてしまった。
 舌先で転がされ氷夜の腹筋辺りに後ろの入口に近い部分を押し付ける形になってしまう。

 氷夜は口を付けたままクスリと笑うと、やらしく勃ったソレの先を唇で優しく食むと、名残惜しいと言わんばかりにゆっくりと口を離して僕を見た。
 
 「少しの苦痛も味わってほしくないからな…」
 「ン、はぁ…あっ、んんっ…」

 そう言いながら氷夜はナカに入っている指を少しだけ動かす。その少しだけ奥に近づいた氷夜の指を後ろの入口は美味しそうに咥え込んでいた…。



 氷夜に接吻をせがみ、与えられる刺激に喘いでいると、僕のナカで蠢いていた指は知らぬ間に3本に増えていた。その3本の指でナカ、先程よりもずっと奥を広げるようにバラバラに動かしている。

 時折、僕が1番反応する場所を攻められて氷夜の指を咥えたままビュクビュクと白濁を何回か吐き出している…。
 さらに僕のナカから溢れ出た体液は入口付近で泡立っており、おさまりきらないソレは、お尻の谷間を伝って敷布団の上に水の溜を作っている状態だ…。

 グチャグチャになっている僕を愛おしそうに見ている氷夜の剛直は僕の発情期につられて既に硬く勃ち、直ぐにでも挿れたいくらいに辛いはずなのに、僕の身体を大切に扱ってくれている。

 文崇はそれなりに・・・・・気遣ってくれては居たが、直ぐに僕のナカに挿れて来て、直ぐに腰を振り始めていた。そうなってしまえば僕の事などお構いなしだった…。
 そして、陽穂ようすいは全く気遣ってはくれず、乱暴に僕を組み敷き抱いた。凄く痛かったのを覚えている。身体と心が…。

 だから、こんな行為は知らない…僕は知らなかった。

 氷夜は本当に・・・僕の身体が与えられる刺激についてこられるようになるまで待ってくれる。

 戸惑っている内に暴かれ、訳が分からぬままに貫かれる事がない氷夜との行為は僕の中にあった行為に対する常識・・・・・・・・を覆していった…。
 
 
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