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Short Story〜旦那様な彼と奥様な僕。〜
03
しおりを挟むその後、崇陽は頼んでいた買って帰って来た品物を手際よく片付けていく。僕はその間に夕飯の仕上げをする。
夕飯の支度が終わった頃、早めに済ましておこうと二人で先に食べていると由良が起きてきた。
「まんまー!」
ドア枠に掴まり、こちらを見てそう言った由良は少し怒っているようにも見える…。
『自分も!』と言ったようにフンスフンスと鼻息荒く怒りこちらに向かって来ようとする…が、すかさず、崇陽が抱き上げた。
いつの間に…、と思ったがー…崇陽なので由良が起き上がった音を拾っていたのかもしれない…。
僕は時計を見て時間を確認すると、丁度よい時間帯だったので、立ち上がってミルクの準備をする。
準備ができて、いざ、由良を受け取ろうとしたが、逆に哺乳瓶を崇陽が僕の手から優しく取り上げた。
「先に食ってろ。」
そう言って僕に微笑むと、手慣れた手付きで由良にミルクを飲ませていく…。
『その笑顔は反則だ…』と内心ときめいてしまった…。
由良は自分で哺乳瓶を両手で持ち飲むのだが、少しまだ腕力が足りないので、落としそうになる。崇陽はソレを由良が落とさないように軽く手を添えて支えているだけだ。
崇陽の膝に座り、ングングと飲んでいく飲みっぷりは凄い。僕は崇陽の言葉に甘えて先に食事を済ます事にした。
そして、僕が食べ終わる頃ー…由良は「ゲプゥッ」と豪快なゲップをしてご満悦そうに口元を歪めている…。
その表情は幼いながらに崇陽の片鱗を見せていた…。
そして、今度は僕が代わり、崇陽が食べ始める。由良は降ろされたのが不満だったのか、「あー!」と奇声を上げた。
これには思わず崇陽も苦笑いである…。
どんな顔をしても僕の旦那様はイケメンなのだ…。由良も将来、そうなるだろう…。今から少し心配である…。
「ぱー!」
と叫ぶように言って両手を懸命に上げて抱っこをせがむ。ホッコリする程の可愛さだ…。
「パパは今、まんまを食べている。まんまだ。ママとあっちで遊んでいろ。」
顔に似合わず幼児語を連発する崇陽に少し笑いそうになってしまった…。顔と言葉がここまで合わない人もそうそう、いないだろう…。
「ぱー!やー!!」
そう言ってグズり始める。どうやら数時間、会わなかった崇陽を恋しく思っているようだ。
「ふぇぇ」と本格的に泣き始めそうになった頃、崇陽は吐かせるわけには、いかないと思ったのか…、『仕方ないなぁ…』と言わんばかりに軽々しく由良を抱き上げて膝に乗せた。
「パパが食べ終わるまで大人しく出来るか?」
「うぃ!」
「よし。」
そう言って安定感抜群の抱っこで由良を固定した。由良も嬉しそうにしている。
ママである僕はちょっと落ち込んだ…。
いや、だって…由良が崇陽の方ばかりに行くから…。手持ち無沙汰になった僕はショボくれて後片付けをする事にした。ついでに端末を操作してお風呂の準備をしておく。
僕は由良と一緒に入った事はない…。崇陽曰く、『蒼の裸を子どもとはいえ、アルファに見られるのが嫌なんだ』とか言っていた…。
ちなみに、発情期の時には崇陽の側近である和人ー…冬樹一家に見てもらっている。逆もある。
由良も冬樹家には慣れているので、余程の事がない限り夜泣きで帰ってくる事はない…。ある意味…大物である…。
*
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