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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む「寧ろ、五体満足で返して土下座をすればワンチャン許されるんじゃー…」
と男の人が言った瞬間、扉が破壊された。凄まじい音を轟かせた扉は吹っ飛び、壁に激突しひしゃげてホコリを立てている…
最早、人間技ではないソレに辺りがシンと静まり返る…
「ちょーっと、崇陽さぁ…俺の事、何だと思っているわけ?」
「仕方ないだろう?蒼が居なければ業務に支障をきたす事になるぞ…それでも良いのか?」
「全く…鬼を脅すとかどんな神経してるんだろうねぇ…」
「蒼を助ける為なら手段は選ばない。持てる手札を最大限に活かした…それだけの事だろう?」
という台詞が聞こえてきたと同時に身体が浮遊感に襲われる。ビックリしてしがみつくと、慣れ親しんだフェロモンの香りに包まれた…
「怪我はー…無いようだな。ひとまず安心か…」
そう言って強張っていた背中を撫でられた瞬間、緊張の糸が切れたのか、安心感からなのか…涙が出てきた。
自分で思っていたよりも不安だったようだ…自分の感情がコントロールできない現状に困惑する…
僕の様子を見た崇陽は一瞬だけ驚いたような顔をしたが、直ぐに無表情となり、氷のように冷たい表情で2人を見やる…
「それで?どういうつもりだ?」と言って2人を見る崇陽の声は聞いた事のない冷たい声音だった。扉が吹っ飛ぶまで言い合っていた2人のうち男の人の方は真っ青を通り越した顔色をしておりガタガタと震えていた。
「番が神無月様なんて聞いていないぞ…」
「ほう、知らずに連れ去ったのか?何のために?」
「俺はこの女に『番が居ない憐れなオメガ』と番ってあげてほしいと言われたんだ!対面するまで番っているかも分からなかった…お願いします。許してください…」
そう言って土下座をした男の人を蹴り飛ばした崇陽はその人を仰向けに蹴り転がし肩を踏み付けた。
「貴様の事情など俺にはどうでも良い」
吐き捨てるようにそう言うと、グッと力を入れたのが分かった。踏まれ苦痛に歪む男の人の顔を見た瞬間、血の気が引いた僕は崇陽の首へ縋るように腕を回し、抱きついてガタガタ震える事しかできなかった…
「あーあ、自分の番まで怖がらせて…可哀想に、この子震えちゃってるよ?」という間延びしたような口調でこの空間には似つかわしくない緊張感の欠片もない声が近くからした。
崇陽は苛立ちを隠そうともせず「ちっ…」と舌打ちをして高ぶった気を鎮めるように僕の首元に顔を埋め数回深呼吸をした。
先程よりは落ち着いたのか…崇陽は首元から顔を離し、再び男の人を見据える。
男の人を身代わりにして逃げるつもりなのか女の人は視界の端で少しずつ後退していくのが見えた。
崇陽は視線を向ける事もなく僕を抱いていない方の腕を軽く上げて誰かに合図を送る…
すると、黒ずくめの強靭そうな肉体の人たちが複数人で女の人を取り押さえ床に縫い付けた
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