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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟むその事からさらに数日後…例の携帯電話が再び鳴った。崇陽は着信相手を見るなり怪訝そうに顔を顰めたが…取り敢えず出る事にしたのか…
鳴り響く携帯電話を手に持つと僕へと視線を寄越し「少し席を外すが…廊下に居るから何かあったら呼べ。外には出るなよ?」と釘を刺し僕が頷くのを見届けてから廊下へと続く扉を開いた。
外へ出るにしても廊下を通らなければ出られない。それに出る用事もない。買い物だってこのマンションの敷地内で事足りる。
買い物へ行くのだって崇陽と一緒に行くのだから、その心配は杞憂だろう…
ドラマからアニメなど幅広く配信している有名なアプリを開き、大きな液晶テレビの画面で見るのは迫力がある。
しかし、崇陽の事が気になりテレビの内容が全く頭に入ってこない。
廊下で話している内容が聞こえないかな…と思って廊下の声に集中してみたがー…テレビの音量が邪魔をしている上に声もくぐもっていて結局、聞き取れなかった。
最近、僕に隠れてコソコソ何かをする事が多くなっている。これは気のせいなどではない。
僕に聞かれたらマズい事なのだろうという事は頭では理解しているが…納得しているのかと言われれば全く別のお話だ。
あの携帯を使った所を見たことない僕は、まだ知らぬ崇陽の秘密がある。その事に酷く悲しい気持ちになった。
この心境の変化は出会った頃を思うと全く予想もしていなかった。あの日…自分の気持ちに気づき、それを認めてから随分変わってしまった。その自覚はある。
怖いはずの雰囲気にも大分慣れたはずだ…いや、それはまだ僕に向けられた事がないからなんだろうけれど…
そこまで考えて思い至る…
ーまさか、僕以外に相手がいるのでは?…
そう思った瞬間、背筋に嫌な汗が流れる。『いや、待て…早まるな』と冷静な頭の中の自分が訴える。
あの携帯を使用する以外の時は全く普段と同じではないか…焦る必要はない…
いや、でも…もし、それが仕方なく僕の相手をしているからなのではないか?
いや、しかし…と考えれば考えるほど思考が纏まらず…不安な気持ちを抱えたままさらに数日間、過ごす事になる…
崇陽は僕の様子が少しおかしい事に気づいたのだろう。どうしたのかと聞かれたが、首を横に振って言いたくないと自己主張した。
すると、何か言いたげな顔をしていたが…僕の様子を見て逡巡した後にコレはダメだと思ったのか深く聞くのを諦めてくれた。
その夜、寝付きが悪く普段起きない時間に目が覚めると、隣で眠る崇陽の姿が視界に入る。
何だか無性に切なくなった僕は起こさないように慎重に近づくと、ソっと崇陽の頭を抱えるように抱きしめた。
「お願い…僕を捨てないで…」
小さい声で囁くように希ったその言葉は寝息を立てる崇陽には届く事はないのだろう…
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