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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む「俺の両親の話だったな…ほぼ潰したと言っても完全には潰していないから安全しろ」
という崇陽の言葉をどう受け止めたものかと考えあぐねていると、崇陽はさらに言葉を続けた。
「完全に潰してしまったら…こちらに負担が掛かってくる。それこそ蒼に危害を加えてくるかもしれないだろう?だから、こちらに構っている暇がないくらいには潰した。ギリギリのラインで保っている状態をこちらの匙加減で調整している…」
顔色ひとつ変えずにサラッと言ってのける崇陽に心が恐怖で震えた。敵に回すと恐ろしい人だと改めて再確認する事になった…
「もう絶縁している…と俺は思っている。あちらはどうか知らないが…少なくとも俺はそう思っているし、これからもあちらの事情に関わるつもりはないし、あちらの会社を立て直す気もない。」
そこで一度、言葉を区切り繋いでいた手を離すと崇陽は触れるか触れないかの力加減で僕の唇を指でなぞる。
そして、僕の項…噛み跡が残るソコをスルリとその指で撫でると僕にこう言った…
「悪いがー…蒼、お前が挨拶をしたいと言っても俺はお前をアイツらにあわせたくない…いや、あわせる事もしないだろう」と…これは崇陽の本心であり、両親が『オメガ』の事を良く思っていないという事も分かった。
恐らく崇陽はその両親のせいで僕が傷つかないように最低限度の配慮をしてくれているのだろうと理解した。
「だから、挨拶をしようとかあいに行こうなんて考えずに…俺に黙って勝手な行動はしないでほしい」
そう言って僕を見た。僕が勝手にあいに行こうとしないか心配なんだろう。
崇陽には悪いがソレは取り越し苦労もいいところ…僕にそんな行動力はないし、コミュニケーション能力も皆無だ。
できれば必要な時以外は極力、他の人と関わりたくない…そう思っている。
崇陽は僕が普通に生活していたと言っていたけれど…それは違う…
だってずっとあの場所が恐かった…あの場所の人と接する事も凄く怖かった…
だから、施設の人たちの機嫌を損ねないように、自分が酷い目にあわないように…あの施設から自立できる年齢になるまで頑張って生きてきた。
恐らく崇陽と出会っていなければ今頃、人との関わりは必要最低限であり、あまり人と関わらなくて済むバイトを探してあの小さなボロアパートで独り寂しく過ごしていたに違いない。
それくらい人を避けたいと思っているのに、崇陽の機嫌を損ねてまであいに行くなんて事は絶対にない…だから安心して欲しい…そう言った時に崇陽は微かに目を見開き僕を宝物を守るように優しくギュッと抱きしめてきた。
*
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