アルファな彼とオメガな僕。

Main Story〜アルファな彼とオメガな僕｡〜

25

　
　目覚めるとベッドの上だった。僕の自室ではなく寝室にある大きいベッドに横たわっていた。そして、横には大切なものを守るように僕に腕を回している崇陽さんが寝ていた。

　ちなみに身体はキレイに清められている。あらぬ場所への多少の違和感はあるものの痛みはなかった。

　そして、悲しきかな…全てではないものの断片的に情事中の事を覚えている。

ー恥ずかしすぎる…

　両手で顔を押さえ、静かに悶絶した後、フッと顔を上げると崇陽さんの寝顔が目に写る。

　普段は鋭く怖い目つきの崇陽さんが目を閉じて寝ていると、あどけなさがあり歳相応の顔に見える。

　眠り姫改め眠り王子がいたらこんな感じなのだろうか…なんてアホみたいな事を考えながら崇陽さんの頬へと手を伸ばす。

　目を閉じただけでここまで変わるのかとマジマジ見すぎたのがいけなかったのか崇陽さんの目が開いた。

　僕の性格の問題なのか目が合った瞬間、ビクッと身体が揺れた。伸ばしていた手が不自然な位置で止まっていた。
　ハッと我に返り手を引っ込めようとすると、その手を掴まれた。

ー怒った？もしかして逆燐に触れたとかで殺られる？…

　というマイナス過ぎる考えがグルグルと頭の中を回っている。しかし、現実は違っていた。
　崇陽さんはその手を自分の頬へと近づけると僕の手に『ちゅっ』と軽くキスをして甘えるようにスリスリと頬擦りをした後、再び目を閉じて寝息を立て始めた。

ー寝惚けてただけ？…

　今、起きた事を理解すると自分の顔に熱が集まる。恐ろしいほど顔の整ったイケメンがやると破壊力が凄いというのは本当らしい…

ー今すぐ顔を隠してしまいたい。恥ずかしい…

　先程よりも眠りが浅いようなので、動いたら恐らく起きるだろう…起こすのも申し訳ないので動けずに居る。
　どうする事もできずにジッと崇陽さんの寝顔を眺める。普段は絶対にできない。怖すぎて顔すらまともに見てないような気がする。

　いつもなら直ぐに起きてせかせかと僕のお世話をしてくれている崇陽さんが眠りが浅いとはいえ無防備に寝ている姿は何だか可愛くも見える。

ー疲れてるのかな？…

　発情期はオメガと交わるのは勿論だけど、それにプラスしてご飯など日常的なお世話もある。しかも、シーツの他にも洗濯だって沢山あるはずだ…
　でも、僕が起きると全て終わっており、キレイなシーツで寝ているだけだ。発情する前に入った脱衣所の洗濯機の中にも籠の中にも洗濯するべき物は入ってなかった。

　発情中は身体とシーツはキレイだし、全裸で適温な寝室のベッドで寝ている事の方が多いけど、発情期後半になれば脱がしやすいとはいえ服は着せてくれている。
　発情期後半に差し掛かったのか簡易的ではあるが、今だって崇陽さんの服を着せられている。ちなみに当たり前だが、ショーツは自分のを履いている。

　ブラウスとショーツだけなので、かなり心もとないけれど全裸よりはマシだと思うしかなかった…


　
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