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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟むオメガ専用の更衣室があって体育の時の着替えなどはそこを使う。唯一、崇陽さんと離れてしまう場所だ。
今日もこの更衣室を使ってのろのろと着替えて居ると無遠慮に扉が開く。着替え終わりかけた僕以外のオメガの人もギョッとして扉を見る。
いつか見た上流階級オメガさんだった…美しい顔を歪めて忌々しそうにこちらを見ている。僕は身体が硬直したまま動けなかったけれど、更衣室を使用していた他のオメガたちは知らぬ間に姿を消していた…
「ねぇ、言ったこと覚えてる?」という台詞に身体がピクリと反応した。
ソレを見た彼はさらに視線を鋭くする。嫌な予感がして逃げ腰になると、逃さないと言わんばかりに出入口の前に立ちはだかる。
「ねぇ、知ってる?オメガって発情期以外にも発情できるんだよ。例えフェロモンが出てなくても濡ちゃうからベータとかの性処理道具くらいにはなれるよ」
そう言って冷酷な笑みを浮かべて近づいてくる。全く以って良い状況とは言い難いソレに泣きそうになる…
ーもう、ダメだ!!
そう思って両手で頭を庇うように抱え込み、屈んだ瞬間、扉が勢いよく開いた。その体勢のまま扉の方を見ると振り返ったオメガ君の向こう側に体操服姿の崇陽さんが見えた。
僕が言葉を発するよりも素早く近づいてきて、ひょいと抱きあげられる。そして、ペタペタと一通り触り終えると「怪我はないようだな」と言って今度はオメガ君に視線をやった。
崇陽さんの瞳に映ったのが嬉しかったのか頬を赤く染め、自身の美貌を最大限に利用しつつ、先程とは全く違う甘えた声を出して歩み寄ろうとしてきた。
「貴様、何をしていた?」という低く通る崇陽さんの声に「神無月様、僕は貴方の為にっ…」そう言って憂いを帯びたような色気を放ち、ウルウルとした顔は庇護欲をそそるものだろう。
そんな姿など知ったことかというふうに無視をして「俺のため、だと?」と言葉を続けた崇陽さんの視線が微かに鋭くなる。
それに気づかない彼はそのままの表情を崩すことなく、さらに儚く見えるようにして言葉を紡いだ。
「はい。僕は貴方につりあえるようにいろいろと経験を積み重ねてきました。しかし、彼はどうでしょう?魅力的ですらないし、家の格式も不十分。彼はなんの努力をしたと言うのでしょう。」
という嘲りを含んだその声音に崇陽さんの顔が不愉快そうに歪んだ。直後、顔から血の気が引いたオメガ君がヘタり込んでしまった…そして、顔を真っ青にしてカタカタと震えている。
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