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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
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しおりを挟む「ーー様、これはーーです」
「黙れーーはーーだ」
という誰かの話し声で意識が浮上する。目を開き何度か瞬きをすると視界がクリアになった。
視線だけを動かすと目に入るのは凄くオーラのある男の人の後ろ姿…ベッドに腰掛けるように座っている。
直ぐにアルファだと分かった。年は自分とそんなに変わらない気がする。
僕が目覚めたのに気づいたのはもう一人の男の人だった。雰囲気からこちらもアルファだと確信する。
「お目覚めになられたようですね」
「だ、れ?っ…ゲホゲホっ…」
「ご無理はなさらない方がよろしいかと…項を噛んだ力が強すぎたようで、傷口が深く感染症を引き起こしています。傷口を消毒し処置は施していますが…」
そう言って苦笑いを浮かべている。柔らかな男の人とは違いベッドへ腰掛けてムッツリしている男の人は何も喋らない。
振り返ってこちらの様子を伺っている。恐ろしく顔の整った人である…
不機嫌そうな表情を隠そうともしないアルファは思考が追いつかずフリーズしている僕の身体を支え起こした。
その動作は見た目と反してとても優しく、僕の負担にならないように細心の注意を払っている様にも思えた。
そして、その男の人に身を預ける体勢で座る事になった僕の目の前には水の入ったコップが差し出された。
彼の顔を見ると首を傾げてコップを軽く揺する。どうやら、持てるのかと聞きたいらしい…
意を決して受け取ろうと腕を動かした途端に首が引きつるような感覚があり、激痛が走った。
「っ…」
その声を抑える事ができなかった。すると目の前のアルファー・・・彼はそれを見てコップを持ち直すと、気にした様子もなく中に入っていた水を自らの口に含んだ。
呆気にとられる僕を他所に彼の顔が近づいてくる…
「んんっ…ふ、んんっ…」
顔が近づいてきたと思ったら状況を把握するよりも早く口を塞がれ舌を差し込まれた。そして、口内に水が流れ込んでくる。
ワンテンポ遅れて口移しされている事を理解した。
僕が流し込まれたソレを素直に飲み込んでいるのを確認すると微かに目尻が優しくなったように思える。
僕の願望がそう見せたのかは分からないけれど…そう見えた。
最後は悪戯に口内をひと舐めされて、『くちゅり』とわざとらしく音を立てて僕の口を塞いでいた彼の口が名残惜しそうに離れていった。
*
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