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兄の兄が回転?!
しおりを挟む諦めると心構えをした途端、兄の兄が徐々に元気になっていった。
回復すれば僕は兄にとって用無しになる。
目的があり協力関係があったからこそ、共同生活を始めたのだ。
もともと僕の早漏問題も心配するほど気にしていたわけじゃない。
そうやって兄へと募る想いを諌めていた。
兄は就寝の際、真っ裸で眠るようになった。
元気になり始めた兄の兄が健やかに回復するには、兆しが見え始めた時と同じように過ごすことが大事だ──と兄が懇懇と僕を説得したからだ。
それに付き合わされる僕は好きな兄の腕の中で眠るという拷問に耐えながら日々を過ごしていた。
「まだこの感覚に慣れていないからな。初めての経験だ」
涼し気な表情でそそり勃つ兄の兄を兄が眺めている。
ついに全快フル勃起。
「そうですか」
僕はドキドキとする気持ちを隠す。この顔で初めてとか可愛いと思ってしまった。
遅れてきた思春期のようで微笑ましい──などと思っていた僕が浅はかだった。
「特訓はもう終わったじゃないですか!」
「朋のお陰だな。次は朋の番だろう? むしろ始まったばかりだ」
ぶんぶんと兄の兄を回転させながら逃げ回る僕を追いかけてくる。兄は勃起したことが嬉しくてはしゃいでいるようだ。
見れば、まるでヘリコプターのプロペラのように回転していた。人間離れした技に恐怖すら感じる。
ロボだからできるのか、兄だからできるのか人間離れしたアクロバティックな技に笑ったらいいのか、泣き叫んだらいいのか僕はパニック状態だ。
「兄さん!? そんなことしたらどこかへ飛んでいっちゃいますよ!!」
テレビで見たことがある。
強風でヘリコプターのプロペラが飛んでいくという大惨事が起きていた。兄の兄がそんなことになったら大変だ。
そもそも着脱可能なら特訓した意味はないが、そこまで人間をやめていないと思いたい。
「問題ない。しっかりと思い描くように可動している。ほら、素晴らしい動きが可能になった」
腰を激しく揺すり高速回転しはじめた。縦横無尽に回転する扇風機のような様相に驚くしかない。
「可動ってロボですか?! そんな動きができるのは兄さんだけですから!」
「この硬度なら朋の気になっているキュンキュンしている場所に触れてみるのも可能かもしれないな」
「はい? まさかそれを僕の中にいれるつもりじゃないですよね?!」
「当然だ。無機物を大事な朋の身体に入れるはずはない。これは朋とともに育成した成果物であり、有機物だ!」
「馬鹿ですかっ?!」
飛びかかってきた兄をかわすこともできず、壁に身体を押しつけられ僕は絶体絶命だ。
回転は止まったが天をつくようにそそり勃つ兄の兄は健在で必死に抵抗する。
「嫌なのか?」
当然嫌だ。怖すぎる。尻が裂けるかもしれないのだ。でも、嫌なのはそういう物質的な考えだけじゃない。
僕の身体の中を調べるだけだと兄は考えているのかもしれないが、これは肉体関係に相当する行為だ。
コミュケーションをとる上でも大事な行為だと考えているけれど、それは恋人や夫婦関係であることが前提の話なのだ。
唇が触れそうなほど近い距離に兄の顔がある。
大きな鼓動が耳に響き、顔まで熱くなってくる。なんだか視界までぼやけてきた。
大事なことだから、これだけは聞かなければならない。
「兄さん、好きな人いますよね!?」
できれば『いない』と言ってほしい。
そう願いながら返事を待った。
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