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8章:学園に入学したらしい

最終話:想いを君に

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私は雪都様と向かい合うように布団から体を出してベッドサイドに座った。

雪都様も丸椅子に座って、緊張した雰囲気を醸し出しながら下を向いて目を閉じている。

私もだんだん緊張したきて、何言われるのか不安になってきた。

私はガッチガチになりながら雪都様が話し出すのを待つ。

雪都様は深く息を吐きゆっくりと目を開いて顔をあげる。

その姿があまりにも美しすぎて見惚れてしまった。

雪都様は私を見て、少し笑う。

「ふっ。なんで、璃杏様も緊張なさってるんですか。悪い話では無いので安心してください。」

優しく微笑んで雪都様は自分の手のひらをきつく握る。

「・・・・・・僕は、璃杏様のことが好きです。自分より人のことを優先するところは心配ですけどそれでも誰よりも優しいところとか、たまに、ドジるところとかふわりと笑った所とか全て大好きなんです。いつでも僕を救ってくれたのは璃杏様だったんです。
璃杏様を笑顔にさせるのも楽しませるのも、悲しい時にそばに居るのも全て僕でありたいんです。いつも救われた分、今度は僕があなたを守る番です。だから・・・・・・あなたの一生を僕にくれませんか?璃杏。」

頬を赤くしながら雪都様は、私を見つめる。

かくゆう私は顔を真っ赤にして、口をパクパクしていた。

顔が熱いし、すっごいドキドキしてるし、何より嬉しすぎる。

私は深い深呼吸する。

「・・・・・・あの。ありがとうございます。すっごく嬉しいです。私も雪都様のこと大好きです!雪都様は救われてるって言ってくれましたけど、私だってよく雪都様に救われていると思ってますよ!出会った時からずっと。私は人見知りで噛むこともよくあるんですけど、それでも優しく話しかけてくれたり、華美様のことを気遣っていたりしてとても家族思いなところも素敵ですし、その、困っている人を助けていてとてもかっこいいなって思います。
私もずっと隣にいるなら雪都様がいいです!」

私は最後の方は目をつぶって勢いで言い切った。

さすがに恥ずかしいぃぃぃぃ!!!

告白ってこんなに恥ずかしいものだったの!?顔が更に熱くなるのがわかる。

ひとり恥ずかしさで頭の中で騒ぎまくっていると、背中に腕が回され抱き寄せられた。

「!!!??」

突然のことに驚き声にならない声が出た。

「・・・・・・はあ~。よかったです。・・・ありがとうございます。璃杏。これからもよろしくお願いします。」

深い安堵の息を吐いた後、私を離してはにかんだ笑顔を向ける。

今まで見たことの無い顔にドキリとする。

「は、はいっ!こちらこそよろしくお願いします!!」

私はガバッと頭を下げる。

と同時に鈍い痛みがまた走った。

「っ~~~!!!いったあ~!」

恐るべし!たんこぶ!!!

私は涙目になりながら後頭部をおさえる。

「大丈夫ですか!?璃杏様!」

心配した声が聞こえる。

あ、戻ってる。

鈍い痛みを感じながらそんなことを考える。

さっきまで呼び捨てで呼んでくれていたけど、慌てたのかいつもの呼び方になっていた。

なんだかそれが面白くて笑えてきた。

「ふっふふ。あはははっ!!」

私がお腹を抱えて笑うこと数分。

涙を拭いながら雪都様をみる。

何故か雪都様は少し拗ねた顔をしていた。

「なにをそんなに笑っていたんですか?」

唇を尖らせつつ聞く。

「い、いえ、あの~呼び捨てから様呼びに戻っていたので・・・つい、ごめんなさい。」

私は雪都様に謝る。

「・・・なんだか、恥ずかしいですね。指摘されてしまうと。」

恥ずかしそうに笑った雪都様。

と、雪都様はなにか思案する顔をしたあと言い放った。

「璃杏も僕のことを呼び捨てに呼んでください。」

ニコッと笑う雪都様。

「え!?・・・よ、呼び捨て、ですか!?」

私は動揺して仰け反る。

「はい。」

にっこりと威圧も含めながら雪都様は言う。

「うっ・・・・・・ゆ、雪都?」

私は顔が赤くなるのを自覚しながら雪都様を見る。

雪都様は一瞬何故か固まり、そして、片手をベッドにつき、もう片方の手を私の頬に添える。

それは一瞬だった。

雪都様はすぐに離れて悪戯っ子の笑みを浮かべ、そのまま保健室を出て行った。

私はぼーっとしながら唇を触る。

一瞬だったけど、感触は確かで・・・私は、今しがた雪都様にき、き、きき、キスされた!?

茹でダコのように赤くなるのが分かる。

数分間深呼吸を続けて何とか気持ちを落ち着かせて、ふと、考える。

雪都様の言葉や行動がどうも既視感がある気がする。

若干違う部分もあったけど・・・。

私は腕組みをして、考えたあと直ぐにその謎は解決した。

「あ、そうだった。ここ、乙女ゲームの世界だったあぁぁぁぁ!!!!あまりにも、『恋泡』と違う内容がありすぎて、すっかり忘れてたあああ!!!」

不覚にも程があるよおおお!!

でも、でも、エンディングは卒業の時だから!!まだ、時間がある!

またここから、湖乃美ちゃんと運命のお相手の恋路を見守らなくては!

私は意気込んで鼻息荒く立ち上がる。

立ち上がったと同時に足になにか当たった。

さっきまで雪都様が座っていた椅子だ。

私は思わずニヤけそうになる頬を抑えて顔を引きしめる。

雪都様と、り、両思いになれたことは嬉しいけどっ!まずは、頭のたんこぶを何とかせねばっ!!

私は後頭部にできたたんこぶを擦りながら、意気込んだ。

また、新しい物語が動き出す。
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