上 下
107 / 123
8章:学園に入学したらしい

106話:訪れた平和な世界

しおりを挟む
美結は璃杏を離すと、後ろ側へ倒れた。

「璃杏様!?」

すぐ近くにいた雪都が璃杏を受け止める。

「すー・・・すー・・・。」

雪都が璃杏の顔を覗き込むと規則正しく寝息をたてて璃杏は眠っていた。

その姿にその場にいた全員は安堵した。

璃杏が眠ったと同時に華美が目を覚ました。

「ふわあああ~・・・・・・あれ・・・私。はっ!璃杏様と雪都は大丈夫でしたの!?」

ガバッと礼央の腕の中から起き上がり辺りを見渡す。

雪都と目が合い無事なのを確認して安堵したあと、雪都に支えられて眠っている璃杏を見て華美は顔を真っ青にした。

「ちょ、ちょっと璃杏様は大丈夫なんですの!?」

急いで立ち上がり璃杏の元へ近づき、眠っていることを確認すると安堵のため息をついた。

礼央は少し名残惜しそうに腕を見つめている。

「魔力切れを起こしたのかもしれないわね。精霊界だけじゃなく、人間界にも光魔法をかけたから負荷がかかったかかっちゃったのかもしれないわ。」

紅葉はそう言いながら璃杏のもとへ近づく。

頭を撫でて首にかかったネックレスに触れる。

「璃杏ちゃんの魔力の高さは尋常じゃないくらい高いわ。だからその分脅威になる。この事は黙っててくれると助かるわ。」

そうこの場にいる全員に言いながら紅葉はネックレスの契約の玉に普通の人より少し高めの魔力を残して玉の中に残りの魔力を封じ込めた。

「勿論。その事は黙っています。」

紅葉に力強く頷いた雪都。

「私も!私もちゃんと黙っていますわ!!」

ガッツポーズを作り宣言する華美。

「あんな強力な魔力を見たら国としても必要であるし、それが他国に流出したら戦争になりかねないから黙っていることは大切ですよね。まあ、魔力検査の時に判明していましたが国王も検査を担当したものも黙っているので国全体にバレることは無いでしょう。」

黒い笑みを浮かべて黙ることを了承した礼央。

「黙らない以外の選択肢なんてありませんよね。」

うんうんと頷きながら湖乃美も了承する。

「俺もこのことは秘密にするよ。」

真陽琉もうんうんと頷く。

「ありがとう。皆。・・・もちろん、狗社隼真も黙っているわよね?」

黒い笑みを浮かべて圧をかけながら隼真の方をむく紅葉。


「それはもちろんだよ!命の恩人でもあるんだから。」

紅葉の笑みにビクつきながらこくこくと頷き答えた隼真。

「さて、さすがに精霊界の中にはこれ以上長居するのはあまり良くないから出ましょうか。」

手を叩いて注目させたあと結恵が言った。

「そうですね。ここは人間の方にはあまり長居する場所ではありませんからそろそろ出ましょうか。」

美結も結恵の言葉に頷く。

その後、結恵の元に近づく美結。

「結恵。また、ここに来てくださいね。沢山お話したいです。」

にっこりと楽しそうに微笑んで言った美結。

「ええ。もちろん!」

結恵もにっこり微笑んで答えた。

「えっと、じゃあ、璃杏ちゃんは雪都くんが連れてきてもらってもいいでしょうか?」

にっこりと微笑んで雪都にそう言った結恵。

しかし、その笑みにはうっすらと企みが見え隠れしている。

そう言われた雪都は驚きつつも璃杏を支えているのは自分なのでそう言われたのだと理解して璃杏を抱き抱える。

そう、世間で言うお姫様抱っこをした。

「ふお!?お姫様抱っこ!!璃杏様は綺麗かつ可愛いから本物のお姫様みたいね!それに雪都は綺麗だから王子様みたいよ!!」

きゃーと言いながらほっぺに手を当てて騒ぎまくる華美。

「華美姉様。からかうことを言わないでください。」

華美の言葉に雪都は頬を赤らめつつ華美を嗜めた。

「さあ、行きましょうか。」

結恵の合図で全員歩き出した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私は脇役でしょう?

Snowdrop
恋愛
ある日、御洛 都は前世の記憶を思い出した。 そして気付く。 今世の自分、御洛 都が前世でみた乙女ゲームに出てくる『ヒロインの友達キャラ』 だということに。 だが待って欲しい。 このキャラ、高確率で死にますよ? 自殺か刺殺か交通事故死ですよ? そんなの回避させていただきます! ゲームでは貧乏くじを引くことになる都だが、そもそも攻略対象に興味はないしスルーだ!と決心するものの、結局スルーとは程遠く...

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

最強目指す脳筋令嬢は婚約破棄されたい

寿司
恋愛
 とある帰り道、交通事故で死んでしまった四宮雪路(しのみやゆきじ)は婚約破棄されて成敗される乙女ゲームの悪役令嬢、ユノ=ルーンベルグとして転生してしまう。でも、ま! いっか! 地球にはもう私と互角に渡り合える生物はいなかったし、この剣と魔法の世界でも私は最強目指して突き進む! 聖女? 婚約者? そんなものは後後! 聖女としては落ちこぼれで馬鹿にされがちだが、規格外過ぎる最強主人公が、乙女ゲームの攻略対象たちを巻き込みながら好き勝手大暴れする物語です。残念なイケメンと残念な美少女しかいません。乙女ゲームなのにカッコいいイケメンとラブラブイチャイチャみたいな要素は少ないですが、恋愛要素はあります。  小説家になろう様にも東山春雨名義で同小説を投稿しています。 ◇◇微妙にタイトル変更しました。また、書き進めている内に恋愛要素が強くなったのでジャンルをファンタジーから恋愛に変更しました。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

処理中です...