上 下
93 / 123
8章:学園に入学したらしい

92話:陽夏凛さんと結恵さん

しおりを挟む
「えっと、つまり結恵ちゃんは陽夏凛という人物と結恵という人物を分けて璃杏ちゃんと会っていたと。そして、それに璃杏ちゃんは気づいてなかったと・・・あ~だから、あの時あんな反応してたのね。」

紅葉は1人納得して頷いている。

私はまだ混乱に陥っていた。

「ん?え?く、紅葉どういうこと???」

混乱しながら紅葉に聞くと呆れた顔をしながら言った。

「えっと。そうね。璃杏ちゃんの中では陽夏凛と結恵という人物は違う人だと思ってたのよね?」

紅葉に聞かれて私は頷く。

「でも、実はね。2人は同一人物なの。陽夏凛は結恵ちゃんのもうひとつの姿なのよ。」

陽夏凛さんは結恵さんのもうひとつの姿。

ということは、陽夏凛さんは結恵さんで結恵さんは結恵さんで・・・??こ、混乱してきた!!

「あ~そんなに難しく考えなくていいわよ。まあ、陽夏凛ちゃんも結恵ちゃんって理解すればいいから。」

混乱していたのがわかったのか、そうフォローをしてくれた紅葉。

何度も何度もごめんね。

「まあ、そんな訳で、とにかく、狗社隼真の気配を追いたいんだけど・・・・・・周りに満ちすぎて分からないわね。」

眉をひそめてそう言った紅葉。

「ええ。憎しみが強くて分かりにくいわ。璃杏ちゃん。今まで隠しててごめんね。」

申し訳ない顔をして謝った陽夏凛さん基結恵さん。

「ううん!気にしないでください!それに、少し、陽夏凛さんと結恵さんは似てるな~って昔から思ってたんです!なんかスッキリしました。」

安心させるため笑いかける。

結恵さんも笑いかけてくれた。

「ねぇ。璃杏ちゃん。本当は、璃杏ちゃんに頼ってばっかりはダメだから、この事は私達で解決しようとしてたわけだけど、そうもいかなくなってきたわ。だから、私達は璃杏ちゃんの力を借りたいと思ってるわ!でも、璃杏ちゃんの力を借りる代わりに、私達は璃杏ちゃんを全力で守るわ!」

真剣な顔で紅葉は言った。

・・・・・・紅葉・・・カッコよすぎか!!

「ええ。私達は狗社隼真には敵わない。それでも、狗社隼真の居るべき場所へ還すことが出来る。璃杏ちゃんの大切な人が狗社隼真に捕まっているとしたら大変よ。でも・・・ここまで濃いと見つけ出すのに時間がかかりそうだわ。」

真剣な顔をして言った結恵さんはそのあと困った顔をして、頬を手に当て困ったポーズをした。

「璃杏ちゃん・・・力を全部解放したらもしかしたら、いる場所が分かるかもしれないわ。ネックレスを出してくれる?」

紅葉はそう言って手を出した。

私は頷いて首にかけているネックレスを取り出す。

・・・・・・あ、あれ?

私は首にかけてあるはずのネックレスが無いことに気づいた。

私の様子を怪訝に思ったのか紅葉と結恵さんはどうしたのか聞いてきた。

私は青ざめながら2人に告げた。

「ネ、ネックレスが・・・ない。」

「「ええええ!!!」」

2人の驚きの声が見事にハモった。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

私達は急いで私が来た道を引き返した。

「なにやってるのよ!」

先頭を走りながら紅葉が私に説教する。

「ご、ごめんなさいいいいいい!!!はあ、はあ。」

私は紅葉に精一杯謝る。

走るの速い!

なんたる失敗!!私のばかあああああぁ!!

走るの速い!!

お父様から貰って紅葉と出逢えた大切なネックレスだったのに~。

走るの速い!!!

無くすなんて~ぅぅぅぅう。

走るの速い!!!!

「り、璃杏ちゃん。大丈夫?」

心配そうに私の顔を見ながら走る陽夏凛さん。

心配してくれてありがとうございます!!

「だ、だい、じょう、ぶ、で、すっ!!はあ。」

息切れしつつも何とか返事をする。

「・・・・・・ねぇ。璃杏ちゃん。あそこにいる4人って璃杏ちゃんの知り合い?」

先頭を走っている紅葉が私にそう聞いてきた。

私は紅葉について行くのが精一杯で返事をすることが出来なかったが、視線を向けるとそこにはここに来る前に一緒にいたよく知る4人がいた。

それは勿論、湖乃美ちゃん・真陽琉様・華美様・礼央様が歩いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

乙女ゲーのヒロインに転生しましたが、悪役令嬢によって攻略済みの世界でした~スローライフ希望なのでそれでオッケーです!~

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ゲーマーである主人公・花藤瀬利(かとうせり)は、大学からの帰り道に事故に合い、気が付くと、瀬利が発売当日から毎日遊んできた、『黎明のアルケミスト』という女性向けゲームのヒロインに生まれ変わっていた。 わくわくしながらゲームの世界に浸る瀬利だったが、攻略対象のキャラクター達に違和感を抱く。  メイン後略の彼も、ユーザー一番人気の彼も、果ては隠し攻略キャラの彼さえも、全ての攻略キャラがライバルヒロインキャラにベタ惚れだったのである。  瀬利より一足先にライバルヒロインへと転生していた少女・比菱あかりによれば、トゥルーエンドに存在する自らの死を回避するべく行動していたら、攻略キャラすべてがあかりに好意を抱くように変わってしまっていたのだという。  しかし、瀬利が好きなのは本編の乙女ゲームシナリオではなく、おまけのミニゲームのほう。 攻略対象そっちのけでゲームの世界に浸りスローライフの日々を送る……と思っていたのだが、サブキャラでもなくモブキャラですらない、本編に登場していない幼馴染と恋愛フラグが……? 【この作品は完結済みであるPixiv版を加筆・改稿して掲載しています。ご了承ください】 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『pixiv』にも掲載しています。】

【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?

悪役令嬢と攻略対象(推し)の娘に転生しました。~前世の記憶で夫婦円満に導きたいと思います~

木山楽斗
恋愛
頭を打った私は、自分がかつてプレイした乙女ゲームの悪役令嬢であるアルティリアと攻略対象の一人で私の推しだったファルクスの子供に転生したことを理解した。 少し驚いたが、私は自分の境遇を受け入れた。例え前世の記憶が蘇っても、お父様とお母様のことが大好きだったからだ。 二人は、娘である私のことを愛してくれている。それを改めて理解しながらも、私はとある問題を考えることになった。 お父様とお母様の関係は、良好とは言い難い。政略結婚だった二人は、どこかぎこちない関係を築いていたのである。 仕方ない部分もあるとは思ったが、それでも私は二人に笑い合って欲しいと思った。 それは私のわがままだ。でも、私になら許されると思っている。だって、私は二人の娘なのだから。 こうして、私は二人になんとか仲良くなってもらうことを決意した。 幸いにも私には前世の記憶がある。乙女ゲームで描かれた二人の知識はきっと私を助けてくれるはずだ。 ※2022/10/18 改題しました。(旧題:乙女ゲームの推しと悪役令嬢の娘に転生しました。) ※2022/10/20 改題しました。(旧題:悪役令嬢と推しの娘に転生しました。)

悪役令嬢に転生したと思ったら悪役令嬢の母親でした~娘は私が責任もって育てて見せます~

平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲーム『聖と魔と乙女のレガリア』の世界に転生してしまう。 しかも、私が悪役令嬢の母となってしまい、ゲームをめちゃくちゃにする悪役令嬢「エレローラ」が生まれてしまった。 このままでは我が家は破滅だ。私はエレローラをまともに教育することを決心する。 教育方針を巡って夫と対立したり、他の貴族から嫌われたりと辛い日々が続くが、それでも私は母として、頑張ることを諦めない。必ず娘を真っ当な令嬢にしてみせる。これは娘が悪役令嬢になってしまうと知り、奮闘する母親を描いたお話である。

不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜

晴行
恋愛
 乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。  見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。  これは主人公であるアリシアの物語。  わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。  窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。 「つまらないわ」  わたしはいつも不機嫌。  どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。  あーあ、もうやめた。  なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。  このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。  仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。  __それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。  頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。  の、はずだったのだけれど。  アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。  ストーリーがなかなか始まらない。  これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。  カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?  それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?  わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?  毎日つくれ? ふざけるな。  ……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?

派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗
恋愛
私は、恋愛シミュレーションゲーム『Magical stories』の悪役令嬢アルフィアに生まれ変わった。 彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。その性格故に、ゲームの主人公を虐めて、最終的には罪を暴かれ罰を受けるのが、彼女という人間だ。 当然のことながら、私はそんな悲惨な末路を迎えたくはない。 私は、ゲームの中でアルフィアが取った行動を取らなければ、そういう末路を迎えないのではないかと考えた。 だが、それを実行するには一つ問題がある。それは、私が『Magical stories』の一つのルートしかプレイしていないということだ。 そのため、アルフィアがどういう行動を取って、罰を受けることになるのか、完全に理解している訳ではなかった。プレイしていたルートはわかるが、それ以外はよくわからない。それが、私の今の状態だったのだ。 だが、ただ一つわかっていることはあった。それは、アルフィアの性格だ。 彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。それならば、彼女のような性格にならなければいいのではないだろうか。 そう考えた私は、地味に謙虚に生きていくことにした。そうすることで、悲惨な末路が避けられると思ったからだ。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

【完結】「双子の兄が『ここは乙女ゲームの世界で自分は卒業パーティで断罪される悪役令息だ』と騒ぐので、妹の私が男装して学園に入学しました」

まほりろ
恋愛
ある日僕は思い出した……ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界で僕が卒業パーティーで断罪される悪役令息だと言うことを……。 僕が生きていたらゲームの強制力で断罪されて、公爵家が取り潰されてしまう。 「僕が死ねば……破滅フラグを壊せる……そうなれば公爵家は取り潰しにならなくてすむ……」 ……みんなごめん……さよなら…………僕が死んだ世界で幸せに生きて…………。僕は手にした剣を手首にあて…………ゆっくりと刃を引いた…………。 「ぎゃぁぁぁあああああ!!痛いぃぃぃぃ!!」 こんなあらすじですが内容はコミカルです。アホ王子とビッチ令嬢へのざまぁもちゃんとあります。 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、pixivに投稿しています。 [pixiv小説] 2021/04/14~2021/04/20の[小説] オリジナルウィークリーランキングに入りました!24位! 「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

処理中です...