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8章:学園に入学したらしい
89話:湖乃美が見たもの
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【湖乃美side】
私がはじめて黒川先生を見たのは璃杏様と職員室に行った時でした。
その時の黒川先生は噂通りの優しい笑みを浮かべていました。
女性の先生方はよく黒川先生に話しかけていました。
とても優しそうな人気の先生という印象を受けました。
百織先生に用事を済ませてから璃杏様と職員室を出る時でした。
不意に視線を感じて後ろを振り返ると視線を感じたところに黒川先生がいました。
その時の黒川先生を私は忘れられません。
あの時・・・黒川先生は・・・璃杏様を殺すような目で睨んでいたんです。
それに、睨んだ黒川先生の周りから濃いモヤが溢れ出したんです。
私は怖くてすぐに視線を逸らしてそのまま璃杏様と職員室を出ました。
あの時の黒川先生は・・・・・・悪魔のようでした。
人を殺すことを恐れない・・・そんな雰囲気がありました。
そして、この森には黒川先生の周りにあったモヤと同じような感じがするんです。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
湖乃美は話終えたあと、深く息を吐いた。
真陽琉はその話を聞き考え込んでしまう。
真陽琉の中では黒川先生は優しく冷静な先生だという印象がある。
そんな表情をする先生とは思えない。
けれど・・・湖乃美が嘘をついているとは思えない。
そんな2つの思いが真陽琉にあった。
「・・・・・・・・・僕は、黒川先生がそんな人とは思えない・・・でも、僕は・・・貴女を、湖乃美を信じたい。」
真陽琉は湖乃美の瞳を真っ直ぐに見つめた。
湖乃美は少し目を見開いたあと微笑んだ。
「ありがとうございます。真陽琉様。」
その微笑みに真陽琉は見惚れるもすぐに我に返る。
「あ、えっと、ど、どういたしまして?あの、そろそろ集合場所に行こう?」
ひと通り見回ったため真陽琉はそう湖乃美に言った。
「ふふっ。はい。璃杏様と華美様と礼央様にも話してみようと思います。」
可愛らしく微笑んだあと強い眼差しでそう言う湖乃美。
「うん。いいと思う。それで、雪都様を助ける方法を見つけ出そう!」
「はい!」
2人は最初に集まった場所へ歩き出した。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
湖乃美と真陽琉が目的地に到着すると華美と礼央もその場所にいた。
2人も一通り見回ったらしい。
「なにか収穫はありましたか?」
そうにこやかに聞く礼央。
「はい!ありました。」
湖乃美は礼央の質問に笑顔で答える。
「あとは、璃杏様が来ればいいのですけれど。」
華美は璃杏が走っていった方を見つめる。
璃杏が戻ってくる気配はない。
「多分、一人で行動しているのでその分長引いてるんじゃないかな?と思います。」
真陽琉は華美の見つめている方向を見つめながら言う。
「そうですわね!」
湖乃美達はそのまま璃杏が来るのを待ち続けた。
30分が経過した頃。
「・・・・・・遅い・・・ですわね?どうしたのかしら?」
心配そうな不安そうな顔をする華美。
そんな華美を安心させるように手を握る礼央。
「大丈夫ですよ。」
そう微笑みながら華美に言う。
「にしては遅すぎませんか?」
心配そうな顔をする真陽琉。
「・・・・・・・・・・・・」
湖乃美は黙ったまま璃杏が走って行った森を見つめる。
「やっぱり・・・あの!もしかしたら、璃杏様に何かあったかもしれません!!この道を沿って黒いモヤが濃くなっているんです!」
不意に顔を華美達の方に向けて言い放った湖乃美。
その言葉に3人は目を見開く。
「もしかしてその先に、璃杏様がいるの?」
驚いた声音で聞く真陽琉。
「璃杏様がいるかは分かりません。ですが、このモヤは殺意や憎しみからできた・・・モヤです。黒川先生と同じです。」
その言葉に華美と礼央は驚く。
「黒川先生が・・・なにかしたのですか?」
「やっぱり!あの教師は裏があったんですわ!!!でも、その・・・殺意や憎しみって誰に対してですの?もしかして・・・雪都?」
不安そうに聞く華美。
「いえ・・・多分・・・・・・・・・・・・璃杏様だと・・・思います。」
絞り出すような声でそう告げた湖乃美。
「そ、それなら!早く璃杏様を助けないと行けないですわ!!!!」
そう言って走り出そうとする華美を礼央が止めた。
「待ってください!闇雲に走っては意味がありません!時間の無駄になります!!なので、湖乃美さん・・・黒いモヤが濃くなっている所を教えてくれないかな?」
そう言って礼央はニヤリと笑った。
「は、はい!もちろんです!」
少しその笑みに引きつった顔をしつつも真剣な顔で返事をした湖乃美。
「こちらから向こうへ線のように濃くつながっています。急ぎましょう!」
湖乃美のその言葉と同時に4人は走り出した。
私がはじめて黒川先生を見たのは璃杏様と職員室に行った時でした。
その時の黒川先生は噂通りの優しい笑みを浮かべていました。
女性の先生方はよく黒川先生に話しかけていました。
とても優しそうな人気の先生という印象を受けました。
百織先生に用事を済ませてから璃杏様と職員室を出る時でした。
不意に視線を感じて後ろを振り返ると視線を感じたところに黒川先生がいました。
その時の黒川先生を私は忘れられません。
あの時・・・黒川先生は・・・璃杏様を殺すような目で睨んでいたんです。
それに、睨んだ黒川先生の周りから濃いモヤが溢れ出したんです。
私は怖くてすぐに視線を逸らしてそのまま璃杏様と職員室を出ました。
あの時の黒川先生は・・・・・・悪魔のようでした。
人を殺すことを恐れない・・・そんな雰囲気がありました。
そして、この森には黒川先生の周りにあったモヤと同じような感じがするんです。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
湖乃美は話終えたあと、深く息を吐いた。
真陽琉はその話を聞き考え込んでしまう。
真陽琉の中では黒川先生は優しく冷静な先生だという印象がある。
そんな表情をする先生とは思えない。
けれど・・・湖乃美が嘘をついているとは思えない。
そんな2つの思いが真陽琉にあった。
「・・・・・・・・・僕は、黒川先生がそんな人とは思えない・・・でも、僕は・・・貴女を、湖乃美を信じたい。」
真陽琉は湖乃美の瞳を真っ直ぐに見つめた。
湖乃美は少し目を見開いたあと微笑んだ。
「ありがとうございます。真陽琉様。」
その微笑みに真陽琉は見惚れるもすぐに我に返る。
「あ、えっと、ど、どういたしまして?あの、そろそろ集合場所に行こう?」
ひと通り見回ったため真陽琉はそう湖乃美に言った。
「ふふっ。はい。璃杏様と華美様と礼央様にも話してみようと思います。」
可愛らしく微笑んだあと強い眼差しでそう言う湖乃美。
「うん。いいと思う。それで、雪都様を助ける方法を見つけ出そう!」
「はい!」
2人は最初に集まった場所へ歩き出した。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
湖乃美と真陽琉が目的地に到着すると華美と礼央もその場所にいた。
2人も一通り見回ったらしい。
「なにか収穫はありましたか?」
そうにこやかに聞く礼央。
「はい!ありました。」
湖乃美は礼央の質問に笑顔で答える。
「あとは、璃杏様が来ればいいのですけれど。」
華美は璃杏が走っていった方を見つめる。
璃杏が戻ってくる気配はない。
「多分、一人で行動しているのでその分長引いてるんじゃないかな?と思います。」
真陽琉は華美の見つめている方向を見つめながら言う。
「そうですわね!」
湖乃美達はそのまま璃杏が来るのを待ち続けた。
30分が経過した頃。
「・・・・・・遅い・・・ですわね?どうしたのかしら?」
心配そうな不安そうな顔をする華美。
そんな華美を安心させるように手を握る礼央。
「大丈夫ですよ。」
そう微笑みながら華美に言う。
「にしては遅すぎませんか?」
心配そうな顔をする真陽琉。
「・・・・・・・・・・・・」
湖乃美は黙ったまま璃杏が走って行った森を見つめる。
「やっぱり・・・あの!もしかしたら、璃杏様に何かあったかもしれません!!この道を沿って黒いモヤが濃くなっているんです!」
不意に顔を華美達の方に向けて言い放った湖乃美。
その言葉に3人は目を見開く。
「もしかしてその先に、璃杏様がいるの?」
驚いた声音で聞く真陽琉。
「璃杏様がいるかは分かりません。ですが、このモヤは殺意や憎しみからできた・・・モヤです。黒川先生と同じです。」
その言葉に華美と礼央は驚く。
「黒川先生が・・・なにかしたのですか?」
「やっぱり!あの教師は裏があったんですわ!!!でも、その・・・殺意や憎しみって誰に対してですの?もしかして・・・雪都?」
不安そうに聞く華美。
「いえ・・・多分・・・・・・・・・・・・璃杏様だと・・・思います。」
絞り出すような声でそう告げた湖乃美。
「そ、それなら!早く璃杏様を助けないと行けないですわ!!!!」
そう言って走り出そうとする華美を礼央が止めた。
「待ってください!闇雲に走っては意味がありません!時間の無駄になります!!なので、湖乃美さん・・・黒いモヤが濃くなっている所を教えてくれないかな?」
そう言って礼央はニヤリと笑った。
「は、はい!もちろんです!」
少しその笑みに引きつった顔をしつつも真剣な顔で返事をした湖乃美。
「こちらから向こうへ線のように濃くつながっています。急ぎましょう!」
湖乃美のその言葉と同時に4人は走り出した。
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