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7章:12歳になったらしい

72話:パーティーの名前は個性的

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「皆さん!今日は塔城家のパーティーにようこそですわ!!!」

マイク越しにそう言ったのは怪盗の格好をした今日のパーティー主催者の舞璃花様。

舞璃花様の言葉に周りが盛り上がる。

その盛り上がりに改めて驚く。

塔城家のパーティーはテーマに沿って会場を変えていく。

今日のテーマは『怪盗の秘密集会』だ。

何となくこの前の事と関係あるのかな~とは思ったけれど気にしないことにした。

会場は見える程度に薄暗くけれどどこか煌びやかな雰囲気がある。

そして、料理は宝石のように輝き美味しそうだ。

「すごい盛り上がりね。流石、塔城家ね!ね!璃杏様!」

私の右隣でニコッと太陽のような笑みを浮かべる華美様。

今日はひとつに束ねて緩くウェーブしていてとても可愛い。

「はい!そうですね!」

私も笑みを返す。

「本当に素敵ですね。それと、華美姉様。あまり大きな声を出さないでください。塔城家の方々が話しています。」

私の左隣で華美様に注意をする雪都様。

今日の目的でもある星舞家の長男である雪都様。

今日は片方オールバックの髪型でいつもと違った雰囲気が漂っている。

ふむ・・・いつも爽やか系な感じだけど今日はクール系な感じだな。

カッコイイですな~!!

さすが美形!なんでも似合う。

「あ、あの、璃杏様僕の顔になにか着いていますか?」

見つめすぎていたらしく困った顔をして聞く雪都様。

はっ!しまった!!

「あ、ああ、あのごめんなさい!!つい、いつもと雰囲気が違ってカッコイイなーと思って見てました!!ごめんなさいいい!!」

ガバッ!と勢いよくお辞儀をして謝る。

が、しかし、返事が返ってこない。

え、ど、どうしよう!?怒ってる!?怒ってる??!!

恐る恐る顔を上げると顔を赤くして固まっている雪都様がいた。

!!!や、やっぱり!怒ってる!!顔を赤くするほど怒ってるぅぅぅ!!!

ど、どうしようぅぅぅ!!

「ふふっ。璃杏様。気にしなくて大丈夫ですわよ。雪都は怒っていませんもの。」

一人心の中で慌てているとそう声をかけてくれた華美様。

「そ、そうなんですか?ふぅ。よかった~。でも、何故固まっているのですか?」

不思議に思い聞いてみる。

「ほほーう。気づいていないパターンですのね!」

そう言って私の肩に手を置いた華美様。

「大丈夫よ。あまり気にしないで。」

意味ありげに微笑んだ華美様に不思議に思いつつ頷いた。

数分後雪都様が復活した。

「あの、大丈夫ですか?」

心配だったので雪都様に大丈夫か聞いてみる。

「え、あ、はい。大丈夫です。」

一瞬戸惑ったもののいつもの様に優しく微笑んでそう言ってくれた。

私はほっと息をついた。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

初めの挨拶が終わり今は好き好きにパーティーを楽しんでいる。

初めの方に舞璃花様と挨拶をしてからエールを送りそのまま雪都様の方へと行く舞璃花様を見送った。

今は華美様と料理の並べられたテーブルにいる。

すごく視線は感じるものの無視をする。

時々陰口が聞こえるけれど・・・だんだん慣れてきた。

「璃杏様は何を召し上がりますの?わたくしはこのお肉とお野菜をまずいただきますわ!」

楽しそうに料理を選ぶ華美様。

微笑ましく思いながら私も料理を選ぶ。

んー・・・何にしようかな~?

肉団子と、あ、この肉団子指輪みたいになってる!!

食べやすいように小さめにしてあるのにそれにひと工夫して指輪にするとか凄いな~。

サラダと~ふぉ!このサラダ絵画になってる!!すっごーい!

勿体ないけど隅の方の野菜をとる。

隅の方が欠けた絵画になったけどまだ、まだ、絵になってるから大丈夫!!うん!

最初はこれぐらいでいいかな~。

「璃杏様!あそこの隅の方で食べましょ!」

そう言って片手にお皿を持ち私の腕を引っ張りながら歩き出す華美様。

隅の方に連れられて華美様と一緒に話す。

そして、肉団子を一口食べる。

!!!お、美味しぃぃぃぃ!!!

噛んだ瞬間口の中に広がる肉汁が最高~!!

お城で食べたフルーツも最高だったけど塔城家の料理も最高!!

「ふふっ!璃杏様は美味しそうに召し上がりますのね!!作った方もそんなに美味しそうに召し上がってくれたのなら嬉しいですわね!」

微笑ましそうにそう言った華美様。

「えへへ。ありがとうございます?」

少し照れくさくなり私は頬をかいて笑う。

「あ、そうだ!礼央様とはどうなりましたか?この頃華美様にお会い出来ませんでしたし気になっていたんです!!」

ふと婚約パーティーの日に仲良くなった2人のことについて思い出した。

なので、ここで聞いてみる!!

と、私がそう聞いたと同時に華美様が顔を真っ赤にした。

うっひゃあああ!!!??どうしたの!?え!?

「あばばば!!ど、どうしたんですか!?ね、熱??熱ですか!?」

急に赤くなった華美様に驚いて私は慌てながらふと、思った。

あ、あれ?なんかこんな感じのシチュエーション前世でどっかで見た気が。

こう、誰かの話をしたら顔を赤くして・・・はっ!!こ、これは!

ラブ的な何かですかね!?

「も、もしかして何かあったんですか???」

私は少しずつ興奮気味に華美様に聞く。

「へ!?な、何かって・・・な、何もありませんわ!!ほ、本当に!た、ただ、何だか最近・・・その、あの・・・っ~~~!!!もう!そんな事はいいんですわ!!」

顔を赤くしながら何やらモゴモゴ言っていたけれど急に大声を出し私を指さしてきた。

「り、璃杏様はどうなんですの!?」

ん?んんん??私!!?

え、私は、恋愛イベは何も起こってないですよ!?

「な、何故、私、なんですか?何も無いですよ?」

私が首をぶんぶんと横に振って否定をするとスンっと真顔になり「そうなんですのね。」と言ってどこかを見始めた。

私もつられて華美様の方を見る。

華美様の目線の先には雪都様と舞璃花様が楽しそうにお話をしている姿があった。

「雪都。さっきから舞璃花様と話してばかりですわ。主催者だから仕方ないのでしょうけど。」

じとーっと見ながらそんなことを言う華美様。

「でも、楽しそうですね!!良かったです。」

「そ、そうね・・・。」

舞璃花様は頬を少し赤くしながらも楽しそうに会話をしている。

雪都様も楽しそうに話をしている。

雪都様が優しく微笑めば舞璃花様は照れたように微笑む。

その光景はとても絵になって最高だ。

・・・・・・でも、なんで、今。

雪都様と舞璃花様が微笑みあっている姿を見て少しだけ胸が痛んだ気がした。

よく分からない気持ちになったものの最後に雪都様と軽く会話をした。

そして、無事に個性的な名前の塔城家のパーティーは終わった。
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