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7章:12歳になったらしい

67話:婚約パーティと不安な挨拶

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雪都様と出かけたあの日から日は過ぎてゆきついにやってきた。

そう、華美様と礼央様の婚約パーティの日が!!

雪都様の一緒に踊るという願いのため私は雪都様に恥をかかせてはならないとダンスレッスンに打ち込んだ。

前世であるダンスとは全く違ったダンス──社交ダンスは背筋を伸ばしたりステップはむずかしいし相手の足を踏まないようにしなければならない。

大丈夫。相手に合わせて動けばなんとか・・・何とかあああ~!!

あぁぁぁ緊張するよおおおー!!!

「もう!璃杏様が緊張してどうするですか~!!
今回の主役は華美様と礼央様なんですよ~!」

私の隣で呆れた顔をする陽夏凛さん。

「そ、それはそうだけど。その、ダンスで迷惑かけたらどうしようって思っちゃって。」

あははーと笑いながら言うと陽夏凛さんは私の肩に手を置いてニコッと笑った。

「大丈夫ですよ!!なんせ踊る相手はあの雪都様なんですから!!!ささ、楽しんできてくださいな。」

そう言って私の背中を押す陽夏凛さん。

陽夏凛さんとはここでお別れだ。

「うぅぅ。た、楽しんでくる。」

私がいるのは今日婚約パーティが開催される礼央様達王族が住んでいるお城。

お屋敷も大きいけれどお城はそれよりも大きい。

そして、パーティは午後の5時~9時まで開催される予定らしい。

子供な私達は7時から解散しても良いことになっている。

なので、踊りが始まるのは6時20分頃から始まる。

うぅぅ長い・・・長いよパーティ!!!

でも、これは華美様を祝福するためのパーティー!!プレゼントは持ったし、あとは、私の気合いだけ!!!ふんす!!

「じゃあ、行ってきます!!」

「はい。行ってらっしゃいませ!璃杏様!」

私は気合を入れながらお城の中に入って行った。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

お城の中に入り今は華美様と礼央様に挨拶をするんだけど・・・そこには長蛇の列が・・・。

これ、下手したら大名行列並みに凄いんじゃ・・・。

私で最後だったらしく、私の後ろには誰もいない。

数分間ぼーっとしながら進んでいると人はいるもののそれなりに少なくなってきた。

それに、声もうっすら聞こえてきている。

私は気になって列から顔を覗かせる。

「礼央様っ、華美様っ!!・・・ご、ご婚約、おめでとう、ございますっ!!」

泣きながらそう言う令嬢の涙はきっと、悲し涙なんだと・・・分かってしまう。

だって、睨んでるし!!!華美様のこと睨んでるし!!!

それに気づいているのにも関わらず笑顔で答える華美様はカッコイイ!!!

礼央様はさりげなくその令嬢睨んでるし・・・。

礼央様が華美様のことぞっこんなのは聞いてたけど・・・ここまでとは。

乙女ゲームとはやっぱり違うんだな。

あれ・・・でも、ゲームの強制の力とかあるのかな?

主人公とか攻略対象とか悪役令嬢とか親友令嬢とかそういうのはいるけれど、どのキャラもゲームとは少し違う部分が多い。

礼央様は華美様にぞっこん中だけど、いつかは気持ちとか変わっちゃうのかな・・・。

むうううう!!なんかそれはそれで腹が立つ。

・・・・・・でも、落ち着くのよ璃杏。

まだ、そうと決まったわけじゃない!!

だから、大丈夫・・・大丈夫。

「おーい!璃杏様?」

そんな考え事をしていると少し離れた場所から名前を呼ばれた。

意識を呼ばれた方向つまり、前の方をむく。

前には列が消えており前の方にいる華美様と礼央様がはっきり見える。

「・・・・・・あ、あれ!?列が消えてる。いつのまに!!?」

私は唖然とする。

「ふふふっ。何唖然としてるんですの?」

可愛らしく微笑む華美様。

その笑顔に自然と頬が緩む。

「え、えっとー。ボッーとしてたらいつの間にか列が消えていたのでビックリしちゃって。」

あははーと笑いながら華美様のいるところへ近づく。

そして、私は淑女の礼をする。

「この度ご招待頂き誠にありがとうございます。私、月鍵璃杏は華美様と礼央様のご婚約心からお祝い申し上げます。」

顔を上げ笑いかける。

「おめでとうございます!!」

「ありがとうございますわ。」

ニコッと微笑む華美様。

「ありがとうございます。」

爽やかに作り笑いをする礼央様。

私は袋に入っている箱を華美様に小さな花束を礼央様に渡した。

「どうぞ。お祝いです。礼央様はプレゼントを貰いすぎるのもあれかなと思ったので花束にしました。華美様にはいつも助けられているのでその感謝をと思い髪飾りをプレゼントしました。あ、でも、城下町で買ったのでそれほど高くはないです。なので、安心してつけてください。」

プレゼントの説明をする。

「あ、あの、開けてもいいかしら?」

少しワクワクした様子で聞いてくる華美様。

「はい!どうぞ。」

私の返事を聞いて紐を解いていく華美様。

「わああ!綺麗な髪飾りですわ!大切にしますわ!!ありがとうございます!璃杏様。」

嬉しそうに笑う華美様。

私も嬉しくて笑いかける。

「ありがとうございます。璃杏様。あと、弟の件も。」

そう申し訳なさそうに言った礼央様。

弟の件?と不思議に思っていると礼央様が説明してくれた。

「扇木和羽に闇魔法をかけられた零維のことです。」

その話にピンっときた。

そう言えばそんなことがあったなーと思い出した。

「いえ。気にしないでください。あれは、扇木和羽の恨みが生んだものですので・・・王様と零維王子あと、護衛の人は元気ですか?」

そう言えばあの時零維王子の他に王様も闇魔法にかかっていたはず。

「はい。大丈夫です。王様と護衛の者達は今は元気に働いていて零維もあれ以降反省して牢屋に近づくことは無くなりました。それに・・・・・・」

笑顔で話したと思えば真剣な表情になり声を小さくして言った。

「なぜか、私を含め牢屋にいるはずの扇木和羽を認識できなくなってしまったんです。居るはずなのに居ないんですよね。」

その言葉にまたもや思い当たる節が・・・。

神からの罰。

「えっと。あまり気にしない方がいいかと・・・それよりも、礼央様は牢屋に入ったんですか?」

「ええ。こんなに面白いことは無いでしょう?極悪人である扇木和羽がどんな悲痛な顔をしているのかと思ったのですが・・・分からないのでは仕方ないですね。」

私の質問に爽やかな笑顔でそう答えた。

あっれー?腹黒ではあるけどSっ気なかったと思うけど・・・あっれえぇぇ?

心のなかで頭をかしげつつ私も笑顔でそうですか。と答えておく。

「それでは失礼します。」

私は礼をしていた立ち去ろうとした瞬間手首を掴まれた。

驚いて後ろを振り向くと礼央様が黒い笑みを浮かべていた。

え?何故?

顔が引き攣る。

「そうそう。もうひとつ聞きたいことがあるんですけど・・・いいですか?」

黒い笑みをさらに深める礼央様。

そこには拒否したら許さねぇオーラが出まくっていた。

私はそのオーラに対抗出来る度胸もなくひたすらこくこく頷いた。
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