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7章:12歳になったらしい

64話:いざ、城下町へ

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ダンスレッスンと前世で言う国語や数学などをやり今日の日程が終わり外はすっかり夕方の空になっていた。

コンコンコンッ

机の上で突っ伏していると扉を叩く音がした。

「はーい。」

返事をした後に扉が開く。

部屋に入ってきたのは陽夏凛さんだった。

陽夏凛さんの手の中になにか白い物がある。

そして、何故か陽夏凛さんは凄くニヤニヤしている。

???????何故だ?

「璃杏様~雪都様からお手紙ですよ~!!」

すっごく嬉しそうに手紙を渡す陽夏凛さん。

意味がわからないけれど何となく質問しない方がいい気がしたのでお礼を言って手紙を受け取る。

上質そうな封筒に星舞家の紋章が象られた封蝋が押されていた。

その隅下には綺麗な字で《月鍵璃杏様》と書かれていた。

綺麗な字だなー・・・・・・うっ、なんか、私の字ってあんまり綺麗じゃないから申し訳なくなってきた~!!

それに、なんか、女子として負けた気分になってきた。

私はペーパーナイフで封を切り手紙を出して読む。

♔♕♖♗♘♙

月鍵璃杏様へ

お手紙ありがとうございました。

ぜひ、城下町の件ご一緒させてください。

明後日に行ってもよろしいでしょうか?

都合が合わない場合は連絡をください。

午後1時にお迎えにあがります。

よろしくお願いします。

星舞雪都より

♚♛♜♝♞♟

封筒の名前同様綺麗な字と配列で返事が書かれていた。

「・・・・・・良かった~。」

いい返事がもらえた安堵の声がでた。

安心感ですごく心の中がほっとする。

「ふふっ。良かったですね!!明後日は予定は無かったので全然行けますよ!!!城下町には二人で行くんですか?」

嬉しそうに声をかけてきた陽夏凛さん。

「え?うん。そうだよ。華美様に婚約祝いとしてなにか渡したいなって思って。」

「そうなんですか~!だから城下町に行くんですね!!華美様は高価な物はお菓子以外あまり受けつけてない様子ですしね。」

そうだったみたいな顔をして話す陽夏凛さん。

そんなご令嬢なんて初めて見ましたよーと呑気そうにいい廊下掃除をするため陽夏凛さんは部屋を出ていった。

誰もいなくなった部屋でぼんやりと考える。

「・・・・・・そういえば、友達と出掛けるのって初めてだな。」

そんな独り言を呟いた。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

雪都様とお出かけ当日。

目立ちにくい服を着てフード付ケープを着て準備が整った所で丁度馬車が来たと空桜さんが呼びに来た。

今回、護衛は空桜さんと雪都様の護衛が付くのだそうで遠くから見守るので安心してくださいと言われた。

護衛をするにしても騎士団の服では目立つので市民風の服を空桜さんは着ている。

そして、玄関を出ると星舞家の馬車が止まっていた。

馬車の前には雪都様とこれまたイケメンの護衛さんがいた。

「今回はお誘い頂きありがとうございます。璃杏様。」

爽やかに微笑んだ雪都様。

「い、いえいえ!こちらこそ、ありがとうございます‪。」

私はその微笑みに狼狽えつつ言う。

今の雪都様は私みたく目立ちにくい服を着ているもののすっごく目立つ。

それに、雪都様は年々美しさが増している気がする。

「えっと、護衛も紹介しますね。こちらは僕の専属の護衛をしてくれています。陽輝さんです。」

掌で指しながら言った雪都様。

「お初にお目にかかります。俺は霧先陽輝きりさきはるきと申します。よろしくお願いします。」

紳士の礼をしたあと、ニカッと太陽のように笑った陽輝さん。

赤い短髪の髪にオレンジ色の人懐っこそうな瞳をしたイケメン。

市民風の服も着こなしている。すごい。

私も淑女礼をして挨拶をする。

「よろしくお願いします。陽輝さん。こちらは私の専属の護衛をしてくれています。空桜さんです。」

「お初にお目にかかります。僕は百織空桜ひおりそらと申します。よろしくお願いします。」

空桜さんは紳士の礼をする。

「よろしくお願いします。空桜さん。えっと、女の人・・・ですか?」

恐る恐ると言った感じで聞く雪都様。

その言葉に空桜さんはえっ!?という顔をした。

私は思わず吹き出してしまう。

「ち、違いますよ!!れっきとした男です!!!!って、璃杏様!笑わないでくださいよ!」

涙目で訴える空桜さん。

可愛い。

空桜さんは今は確か21歳くらいだったと思うけれどそれでも童顔なのか可愛い顔をしている。

それはもう女の人に間違われるくらいに。

「ふっ、ふふふっ。む、無理。ふふっふははは。」

流石に間違えられまくってるとだんだん笑えてくる。

「す、すみません!空桜さん!え、えっと、そろそろ行きますか?」

笑い声を堪えつつ雪都様を見るととても慌てた様子を見せたあと困った顔をして聞いてきた。

「は、はい。」

雪都様の誘導で馬車に乗り込む。

空桜さんと陽輝さんは馬に乗ってついてくるらしい。

なので、雪都様と二人っきりだ。

そう、二人っきり・・・なにを、話したら、いいのでしょうか。

沈黙が続く中沈黙を破ったのは雪都様だった。

「あの、本当にありがとうございます。僕はその、女の人の物など詳しくないので何がいいのかわからなくてずっと悩んでいたので助かりました。」

そう言って微笑む雪都様。

その言葉に私はすごく安心した。

「えっと、どういたしまして。私も雪都様の役に立てることが出来たらいいなと考えていたので今回少しでも役に立てられるように頑張ります!」

頑張りますという意味も込めて両腕を曲げる。

「ふふっ。よろしくお願いします。僕も、頑張りますね。」

優雅に笑い、そう言った雪都様。

「は、はい!!えっと、その、雪都様と出掛けられて嬉しいです。なんかこれって・・・・・・すごく友達っぽくないですか!?友達と出掛けるのなんて初めてなので嬉しいです!」

あまりの嬉しさについつい友達と出掛けることについて話し込んでしまった。

だけど、何故か友達を連呼するたび雪都様がすごく複雑そうな顔をする。

・・・・・・なんで??

そんなこんなで当初の不安も忘れ雪都様と色々話しているうちに城下町についた。

馬車が止まり雪都様に誘導され馬車を降りる。

「では、夕刻頃にお迎えにあがります。」

そう御者さんが言い残し去って行った。

空桜さんと陽輝さんも馬を止めてこちらに来た。

「では、雪都様。こちらはしっかり見守っているので好きに歩いて大丈夫ですよ。」

そう言った陽輝さん。

「分かりました。ありがとうございます‪。陽輝さん。」

優しく微笑む雪都様。

「いえいえ。お礼なんて滅相もございませんよ!!」

そんなやり取りをする雪都様と陽輝さん。

空桜さんは私の頭にフードを被せつつ言った。

「璃杏様。フードはしっかり被ってくだい。とっちゃダメですよ!それから、絶対に絶対に危険な行動はしないでください!!いいですね?絶対ですよ!一人行動も控えてください!雪都様と一緒にいること。いいですね?目立っちゃダメですよ!!分かりましたか!?」

・・・・・・なんだ、この差!!

「もう!分かってるよ!!空桜さんまで陽夏凛さんみたいなこと言わないでよー!もうあんな行動はしないよ!多分!!」

貴方はオカンか!!

私の言葉にジト目で見てくる空桜さん。

「多分じゃダメです。絶対ですよ!」

私にそう言い聞かせる空桜さん。

「うっ、わ、分かった!絶対。」

私がそう言うとぱああと顔を明るくさせて頷いた空桜さん。

「じゃあ、行ってきます。」

私は空桜さんにそう言い雪都様の元へ行った。

「はい。行ってらっしゃいです。」

雪都様は私が来たのを確認して歩き出した。

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