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5章:5歳になったらしい

41話:光魔法のレッスン

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「─────!!───よ!」

誰かの声が聞こえる。

鈴の音のような声が。

「──────!!!!・・・・・いい加減に・・・・起きなさいよおおおおお!!!!!」

ゴオオオン!!!

衝撃的な痛みで私の意識が完全に覚めた。

「っっ!!いったああ~。」

見事に当たったおでこを片手で抑えながら起き上がる。

「うぅぅ~。起こし方雑過ぎない!?普通桶で起こしますかね!?」

起きたと同時に私は目の前にいる紅葉に文句を言った。

そんな私にはあ?という顔をしながら睨み返してきた紅葉さん。

「何言ってんのよ?何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回もっ!起こしているのに!!全然起きないじゃないの!!この寝坊助!」

ビシィー!と指を私に突きつける紅葉。

「ハハハ~それは・・・お疲れ様です。起こしていただき誠にありがとうございます。」

私はから笑いをしたあと土下座をしながらお礼を言った。

「な!?べ、別にいいわよ!ていうか土下座なんてしなくていいわよ!馬鹿!!」

いやーそんなに起こしてくれてたとは・・・だれも思わないじゃん?

そして何気に馬鹿って言われた!!

「そんなあからさまに落ち込んでないでさっさっと着替えて!」

腰に手を当てて言う紅葉。

「はーい。」

紅葉に返事をして私はクローゼットに向かう。

いつもなら陽夏凛さんが起こしに来て着替えや髪を結んでくれるんだけど今日は断った。

何故なら今日は紅葉と光魔法のレッスンをするからです!!

それに、今日は丁度陽夏凛さんにも用事があったらしく一日休みを取っている。

だから今日は朝だけ私ひとりで支度をする。

本当は双美さんが来る予定だったんだけど朝だけは断った。

紅葉いるしね!

私はそそくさとラフな格好の服に着替え一つに結ぶ。

そんな私の様子を見て紅葉は不思議そうな顔をして聞いてきた。

「璃杏ちゃん。何でそんなにすんなり着替えられたり髪の毛結べるの?普通の令嬢なら手間取ったりするでしょ?ほら、だっていつも侍女にやって貰ってるし見てるだけでも難しいと思うのよね。なんで?」

私の体がピキっと固まる。

「え、えっと・・・その・・・。」

ど、どうしよう?転生者で元地味女子高生の平民だったので1人で着替えられるんだ!・・・なんて言えるわけがない!!!

「えっと・・・こ、こっそり1人で着替えれるように練習してたんだ!」

ニコッと少し引き攣りつつも笑ってみる。

紅葉は暫く疑わしそうな目をしていたけれど諦めたらしく何も言わなかった。

「ま、いいわ。朝ごはん食べてさっさっと外行くわよー!」

「はーい!」

紅葉の言葉に元気よく返事をして部屋を出ていった。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

朝ごはんを食べ終えてただいま森の中のひらけた部分にいる。

なんでも、光魔法はあまり知られては厄介だから人目のつかない森の中で練習をやるのだそう。

「じゃあ、まず璃杏ちゃんの魔力がどれほどのものか試すわね。封印している魔力も解除するわ。あ、そう言えば言い忘れてたんだけどその玉私との契約の玉と同時にその中に璃杏ちゃんの魔力を封印しているの!だから璃杏ちゃんの魔力の色?みたいなものかしらがその玉に色についているのよ。」

そう言われて私はネックレスに入っている玉を見る。

そう言えばずっと紅葉に聞こうと思っていたんだっけ。

会うことがほとんどなかったからすっかり忘れていた。

契約の玉の色は真珠のような綺麗な白色だけれど私の持っている契約の玉の色は銀色と瑠璃色のマーブル模様をした色をしている。

綺麗な色だ。

「じゃあ、今から解除するわね。」

そう言って紅葉は契約の玉が入ったネックレスに手をかざして何かを唱える。

唱え終わったのと同時にネックレスが眩しく白く輝き出した。

眩しすぎたため私は思いっきり目を瞑る。

数秒後光がおさまり目を開けた。

ネックレスを見ると契約の玉の色は真珠のような綺麗な白色をしている。

それに、私の体もどこか暖かい。

「よし!これで解除は完了!今は少し慣れないかもしれないけど時間が経てば慣れてくると思うから安心して。あ、そうだ。一つ注意事項を言っておくわね。その契約の玉に封じた魔力は私が解除しないと解放されない。けどね、あまりにも感情が昂ったりしたら封印が解除されちゃうから気をつけて。私は適切な時に適切に解除するからそこは安心してくれて構わないわ!」

顔を近づけて注意事項を言ったあと胸を張ってドヤ顔した紅葉。

そんな様子は紅葉らしくて結構微笑ましかったりする。

「うん!紅葉がいれば安心だね!私も気をつけるようにするよ!」

親指をぐっと立てて紅葉に返事をする。

「ええ!お願いね!それじゃあ魔力を試す前に光魔法について説明するわ。」

そう言って紅葉は20歳ほどの人間の女性に変化した。

容姿は変わらないものの胸や身長が大きくなりメガネを掛けて教鞭を持ちスーツっぽい服装をしている。

「璃杏ちゃんは習ってると思うけどもう一度言っておくわね。光魔法って言うのは万能薬みたいなものよ。人の傷や病だって治せるし。気持ちとかも幸福にさせちゃったりできる。闇魔法とかも弾き返せるしバリアみたいなものだけど、バリア系は闇魔法の方が有能な魔法ね。」

「え?そうなの?」

それは驚きだ。

闇魔法って人の心とか操ったりするだけかと思っていた。

「まあ、今は闇魔法は悪いものとか思われてるけどそうでも無いのよね。闇魔法は確かに人の心を操ったり出来るし呪ったりすることが出来るわ。でも、その分他の魔法の攻撃は高確率で弾くことが出来るわ。便利でもあるけれど不便でもある魔法ね。光魔法の話に戻るけど光魔法も便利でもあるけれど不便でもある魔法よ。人を幸福にさせることでそれに溺れて抜け出せなくなることがあるわ。それを利用して悪いことを企む奴らもいる。まあ、今のところ光の精霊と契約してる人なんて璃杏ちゃん。除けばゼロだし光魔法を使える人だって少ない。しかも、低位か中位の魔法だから幸福なんて与えられないけどね。まあ、でも、特訓すれば何とかなるわ!!魔力が入るほどの大きな器があればの問題だけどね。璃杏ちゃんは全然心配するほど小さくないから安心して!じゃあ、今から魔力がどれくらいなのかと低位の光魔法をやるわね!!少し待ってて!」

そう言って妖精サイズに戻りどこかへと飛んで行った紅葉。

一体全体何をするんだろうか。

少しドキドキしながら私は紅葉の去っていった方向を見つめた。
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