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4章:4歳になったらしい
31話:薬という悪魔
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目を開けるとそこはいつもの場所だった。
豪華な天井にふかふかの手触りがいいベッド。
・・・・・夢・・・だったのかな?
私は体を起こして床に立った。
「おおー!戻ってる!」
私の視線の高さはいつも通りの高さだった。
「やった戻ってる!よかったー!・・・・そうだよね人間あんな急成長しないもんね!!」
ガッツポーズをしながら私は呟いた。
・・・・でも、なんか今日はやけに寒いな。
いや、でも今は暑い時期だし。
外は暑いけれど屋敷はとても居心地がいいくらいに涼しい。
エアコンや扇風機なんてないし。
寒いってことが冬以外にまずない。
じゃあ、なんでこんなに寒いんだ?
それになんか頭もクラクラするし呟いた時声がガラガラしていた。
試しにもう一度声を出してみる。
「あー・・・・あ゛あ゛ーーーーゴホッゴホッ!!」
うへえー声ガッラガラのカッスカスだー。
これじゃあ長生きしている歯のないじぃさんの声だよ!
ついに私も長生きしている歯のないじぃさんの仲間入りになっちゃったの!?うへーまじかーでも、長生きの伝授が分かりそう!!
コンコンッ
じぃさんのことを考えていると扉がノックされた。
「璃杏様ー?朝ですよー!起きてください!」
扉の向こうから陽夏凛さんの声が聞こえた。
「は・・・・!!」
返事をしようとした時私は気づいてしまった!!
・・・・今ここで「はーい!」と返事をしたところで今の私は誰も璃杏だとは思わない!!
ただの歯のないじぃさんだ!!
あばばば!!どうやって返事をしたら・・・・はっ!そうだ!!
私は息を吸う。
「ゴホッ・・・息吸うんじゃなかった。コホンっ・・・はーい!分かりました!!」
私はできるだけ高い声を出した。
でも・・・・ただ無理して高い声だしたきもいじぃさんになってしまった!無念!!
「?璃杏様どうなされたんですか?声がおかしいですよ?」
扉の向こうから心配そうな陽夏凛さんの声がする。
ひえぇぇ!!た、大変だ!!
疑われてるー!私は璃杏ですぅー!
「入りますよ?」
ガチャ
そう言って入ってきた陽夏凛さん。
私の顔を見た瞬間陽夏凛さんの片眉が上がった。
「あの・・・璃杏様・・・少し失礼します。」
そう言って陽夏凛さんは私の視線の高さまでしゃがんで私のおでこに触れる。
「・・・・熱いですね。」
私のおでこから手を離し陽夏凛さんは言った。
「ん?そうかな?・・・今日は寒い方だと思うんだけど。」
私は首をかしげながら陽夏凛さんに言う。
「あ、いえ違います!熱いのは気温じゃなくて璃杏様の体温です!」
へ?体温?熱いの?・・・・こんなに寒いのに熱いの?
・・・・・はっ!も、ももももしかして・・・私・・・。
「璃杏様・・・熱がおありのようですね。昨日色々ありましたしその疲れが出てしまったのでしょうね。今日は授業をすべてお休みしてゆっくりと体を休めましょう!羽流様と白百合様には言っておきます。それと、お医者様も呼んでおきますね。」
なぜこんなに寒いのか理解したと同時に陽夏凛さんがその事を証明するように言った。
ガビーン!!私・・・熱出たの!?
「お医者様が診察を終えたあとお薬を貰うのでしっかり飲んでくださいね!」
そう言って私を抱っこしてベッドまで運んでくれた陽夏凛さん。
陽夏凛さんが出ていってから10分ぐらいしたあと医者が来て私は疲労からきた熱だと言った。
薬もしっかり飲むように言われた。
う、うううー。最悪だああ!
今更ながら私には嫌いなものが3つある。
1つ目は幽霊。
2つ目は真っ暗な所。(夜は平気)
3つ目は薬。
そう・・・く・す・り!!
粉も嫌いだしカプセルとか玉も嫌い!!!
苦いっていうのとその苦いものが舌にくっついて苦さが長引いたりするのがなんとも言えない気持ちにする。
薬飲みたくないよおおお!!でも、健康体でいたいし。
治さないと迷惑かかるし。
▶ 薬を飲む
▷ 薬を飲まない
やっぱり迷惑かけたくないし飲む?
▷ 薬を飲む
▶ 薬を飲まない
でも、嫌なものは嫌だし飲まない?
うわああ!!究極の選択だよおおお!!!
どうすればいいのおおお!?
世間一般的には飲むを選択するものだけれど・・・。
私は世間一般とはこのことについては仲良くできないっ!!
コンコンッ
「失礼します。」
ガチャ
「璃杏様ー!お薬を持ってきましたよ!」
水と薬が乗ったお盆を持ちながら部屋に入ってきた陽夏凛さん。
どうしよう・・・いつも可愛らしいなーとか思っていた陽夏凛さんがどうしても悪魔の部下的存在に見える!!!
悪魔は薬なのです。
お盆をベッドの近くにあった机に置き薬を開ける陽夏凛さん。
しかも、陽夏凛さんが手にしているものは・・・・・・粉薬ではないか!!!
よりにもよって一番嫌いな粉薬とは。
「璃杏様お薬しっかり飲みましょうね。」
いえいえ結構です!!!!!全力拒否しますぅうううう!!こっち来ないで粉薬!!!
「璃杏様口開けてください。」
私の表情が険しくなったのを察したのだろう。
陽夏凛さんは少し困った表情をしながら言った。
・・・・・・・・陽夏凛さん困っているしここは諦めて薬を飲もう。
私は見事に陽夏凛さんの表情に折れた。
・・・・・・・・が、しかし!私の心は素直だった。
反射的に口を手で覆い隠し粉薬を飲めないようにした。
「手で口を覆ってもダメです!その手を離してください。」
「いや・・・ゴホッゴホッ」
私の手を離そうと陽夏凛さんの手が近づいてきたのを私は横になって防ぐ。
ううーなんかさっきより頭が痛いしガンガンする。
体もなんか重いし。
「璃杏様・・・お願いですから悪化する前にお薬を飲んでください。」
チラッと陽夏凛さんを見るととても悲しそうな顔をしていた。
・・・・・なんでそんな悲しい顔をするんだろう?
「璃杏様・・・お願いします!」
必死な顔で言う陽夏凛さん。
ぅううううう流石にここまで言われたら従うしかないよね。
私はゆっくりと体を起こして手を口から外した。
「!!ありがとうございます!」
嬉しそうに薬を私の口元に持ってきた。
ひぇぇぇぇ!悪魔が私の目の前にいいい!!!
「上を向いてください。」
少し迷ったけれど迷惑ばかりかけられないので素直に上をむく。
サアアア
粉薬が口に入ってきた。
うっ!!苦い苦い!!
「うぅぅ」
すぐに陽夏凛さんは水を私に差し出す。
私はグッと水を飲み干す。
「偉いですね!璃杏様。しっかりお休みください。」
そう言って私の頭を撫でて出ていった陽夏凛さん。
私はゆっくりと布団の中に潜る。
うぇぇー薬の苦味がまだ口の中に!!
寝ればこんな苦味平気になるよね!
そう自分に言い聞かせて私は目を瞑った。
すぅーと私は眠りにつけた。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
関係ない話
璃杏の嫌いな薬の順位
1位 粉薬
2位 錠剤
3位 カプセル だよ☆
豪華な天井にふかふかの手触りがいいベッド。
・・・・・夢・・・だったのかな?
私は体を起こして床に立った。
「おおー!戻ってる!」
私の視線の高さはいつも通りの高さだった。
「やった戻ってる!よかったー!・・・・そうだよね人間あんな急成長しないもんね!!」
ガッツポーズをしながら私は呟いた。
・・・・でも、なんか今日はやけに寒いな。
いや、でも今は暑い時期だし。
外は暑いけれど屋敷はとても居心地がいいくらいに涼しい。
エアコンや扇風機なんてないし。
寒いってことが冬以外にまずない。
じゃあ、なんでこんなに寒いんだ?
それになんか頭もクラクラするし呟いた時声がガラガラしていた。
試しにもう一度声を出してみる。
「あー・・・・あ゛あ゛ーーーーゴホッゴホッ!!」
うへえー声ガッラガラのカッスカスだー。
これじゃあ長生きしている歯のないじぃさんの声だよ!
ついに私も長生きしている歯のないじぃさんの仲間入りになっちゃったの!?うへーまじかーでも、長生きの伝授が分かりそう!!
コンコンッ
じぃさんのことを考えていると扉がノックされた。
「璃杏様ー?朝ですよー!起きてください!」
扉の向こうから陽夏凛さんの声が聞こえた。
「は・・・・!!」
返事をしようとした時私は気づいてしまった!!
・・・・今ここで「はーい!」と返事をしたところで今の私は誰も璃杏だとは思わない!!
ただの歯のないじぃさんだ!!
あばばば!!どうやって返事をしたら・・・・はっ!そうだ!!
私は息を吸う。
「ゴホッ・・・息吸うんじゃなかった。コホンっ・・・はーい!分かりました!!」
私はできるだけ高い声を出した。
でも・・・・ただ無理して高い声だしたきもいじぃさんになってしまった!無念!!
「?璃杏様どうなされたんですか?声がおかしいですよ?」
扉の向こうから心配そうな陽夏凛さんの声がする。
ひえぇぇ!!た、大変だ!!
疑われてるー!私は璃杏ですぅー!
「入りますよ?」
ガチャ
そう言って入ってきた陽夏凛さん。
私の顔を見た瞬間陽夏凛さんの片眉が上がった。
「あの・・・璃杏様・・・少し失礼します。」
そう言って陽夏凛さんは私の視線の高さまでしゃがんで私のおでこに触れる。
「・・・・熱いですね。」
私のおでこから手を離し陽夏凛さんは言った。
「ん?そうかな?・・・今日は寒い方だと思うんだけど。」
私は首をかしげながら陽夏凛さんに言う。
「あ、いえ違います!熱いのは気温じゃなくて璃杏様の体温です!」
へ?体温?熱いの?・・・・こんなに寒いのに熱いの?
・・・・・はっ!も、ももももしかして・・・私・・・。
「璃杏様・・・熱がおありのようですね。昨日色々ありましたしその疲れが出てしまったのでしょうね。今日は授業をすべてお休みしてゆっくりと体を休めましょう!羽流様と白百合様には言っておきます。それと、お医者様も呼んでおきますね。」
なぜこんなに寒いのか理解したと同時に陽夏凛さんがその事を証明するように言った。
ガビーン!!私・・・熱出たの!?
「お医者様が診察を終えたあとお薬を貰うのでしっかり飲んでくださいね!」
そう言って私を抱っこしてベッドまで運んでくれた陽夏凛さん。
陽夏凛さんが出ていってから10分ぐらいしたあと医者が来て私は疲労からきた熱だと言った。
薬もしっかり飲むように言われた。
う、うううー。最悪だああ!
今更ながら私には嫌いなものが3つある。
1つ目は幽霊。
2つ目は真っ暗な所。(夜は平気)
3つ目は薬。
そう・・・く・す・り!!
粉も嫌いだしカプセルとか玉も嫌い!!!
苦いっていうのとその苦いものが舌にくっついて苦さが長引いたりするのがなんとも言えない気持ちにする。
薬飲みたくないよおおお!!でも、健康体でいたいし。
治さないと迷惑かかるし。
▶ 薬を飲む
▷ 薬を飲まない
やっぱり迷惑かけたくないし飲む?
▷ 薬を飲む
▶ 薬を飲まない
でも、嫌なものは嫌だし飲まない?
うわああ!!究極の選択だよおおお!!!
どうすればいいのおおお!?
世間一般的には飲むを選択するものだけれど・・・。
私は世間一般とはこのことについては仲良くできないっ!!
コンコンッ
「失礼します。」
ガチャ
「璃杏様ー!お薬を持ってきましたよ!」
水と薬が乗ったお盆を持ちながら部屋に入ってきた陽夏凛さん。
どうしよう・・・いつも可愛らしいなーとか思っていた陽夏凛さんがどうしても悪魔の部下的存在に見える!!!
悪魔は薬なのです。
お盆をベッドの近くにあった机に置き薬を開ける陽夏凛さん。
しかも、陽夏凛さんが手にしているものは・・・・・・粉薬ではないか!!!
よりにもよって一番嫌いな粉薬とは。
「璃杏様お薬しっかり飲みましょうね。」
いえいえ結構です!!!!!全力拒否しますぅうううう!!こっち来ないで粉薬!!!
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陽夏凛さんは少し困った表情をしながら言った。
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体もなんか重いし。
「璃杏様・・・お願いですから悪化する前にお薬を飲んでください。」
チラッと陽夏凛さんを見るととても悲しそうな顔をしていた。
・・・・・なんでそんな悲しい顔をするんだろう?
「璃杏様・・・お願いします!」
必死な顔で言う陽夏凛さん。
ぅううううう流石にここまで言われたら従うしかないよね。
私はゆっくりと体を起こして手を口から外した。
「!!ありがとうございます!」
嬉しそうに薬を私の口元に持ってきた。
ひぇぇぇぇ!悪魔が私の目の前にいいい!!!
「上を向いてください。」
少し迷ったけれど迷惑ばかりかけられないので素直に上をむく。
サアアア
粉薬が口に入ってきた。
うっ!!苦い苦い!!
「うぅぅ」
すぐに陽夏凛さんは水を私に差し出す。
私はグッと水を飲み干す。
「偉いですね!璃杏様。しっかりお休みください。」
そう言って私の頭を撫でて出ていった陽夏凛さん。
私はゆっくりと布団の中に潜る。
うぇぇー薬の苦味がまだ口の中に!!
寝ればこんな苦味平気になるよね!
そう自分に言い聞かせて私は目を瞑った。
すぅーと私は眠りにつけた。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
関係ない話
璃杏の嫌いな薬の順位
1位 粉薬
2位 錠剤
3位 カプセル だよ☆
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