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3章:3歳になったらしい

20話:お父様からの誕生日プレゼント

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意識がはっきりしてきて目を覚ますといつも見る部屋の天井だった。

私はもう3歳になったのでベッドで寝ることになった。

だから、乳母さんだった双美さんは普段の仕事に戻った。

でも、双美さんは仕事が終わったら遊びに来てくれる。

陽夏凛さんは専属侍女なので、私の身の回りの事をしてもらっている。

とても申し訳ない。

そして、私が寝ているベッドは流石公爵家!

とてもふかふかなのだー!

一生寝ていられるぅ~。

・・・・って、あれ?私さっきまで部屋にいなかったよね!?

確か、書庫にいたはず。

もしかして、天界に行った時書庫で倒れてたのかな?

それは、大変だ!みんなに心配をかけてしまったんじゃ!!

あばばばば!!

コンコンッ

私は心配をかけてしまったのではないかという屈辱で悶えていると扉がノックされた。

「は、はーい。どうぞー!」

少し噛んだけど気にしない気にしない。

ガチャ

扉を開けて入ってきたのはお父様だった。

そして、お父様の表情がとてもニヤついている。

なんか、キモいぞ。

「璃杏ー!今日は璃杏に渡したいものがあってきたんだ!」

そう言ってポケットから包装された長細い箱を取り出した。

???なんだこれ?

それに、今日は特に何も特別な日ではない。

誕生日はもうとっくに過ぎたし。

その答えはお父様がしっかり話してくれた。

「璃杏の誕生日の日僕仕事でいなかったから渡そうと思ってね。はい。遅いけど3歳の誕生日おめでとう!璃杏。」

そう言って微笑みプレゼントを渡してくれるお父様。

私はそれを笑顔で受け取る。

「ありがとうございますおとうさま!あけてもいい?」

お父様に聞くとお父様はニコニコしながら頷いた。

何入ってるんだろう?

お菓子とか??細長い箱って・・・・いや、流石にこの世界にはないよね。

一瞬私の頭の中に細いクッキーにチョコがかかったお菓子がよぎった。

・・・・懐かしい。

食べたいなー!!!

そんなことを思いながらベリベリと包装を剥がして箱を開けるとネックレスが入っていた。

しかも、可愛い!!!

卵形の小さい天使の羽付き檻の中に真珠の玉が入っていて卵の隣には鍵のようなストラップがあった持ち手は猫型先端部分は三日月形になっている。

お父様にしてはナイスセンスっ!!

「かわいいー!!!ありがとうございます!!」

私はニコニコ笑顔でお父様にお礼を言うとお父様も私に笑いかけた。

笑いかけたあとお父様は真剣な表情になった。

こういう時のお父様は本当に大事なことを話す時のお父様だ。

私は姿勢を正してお父様と目を合わせる。

「璃杏・・・ひとつ君に言っておきたいことがあるんだ。実はね────────。」

お父様は私と目が合うようにしゃがんで話し始めた。

私には強いとても強い魔力があるということ。

その強い魔力はこの世界でも狙われる可能性があるということ。

魔力を通常の魔力の強い人の大きさにする為にネックレスで制御すること。

そして、そのネックレスには光の精霊が入っていること。

「────ということなんだけど。分かったかな?また分からなかったり聞きたいことがあったら遠慮なく聞いてね!」

そう言って私の頭を撫でるお父様。

「わかりました!おとうさま!」

私はこくんっと頷いて返事をする。

「いいこいいこー!」

ニコニコしながら私の頭を撫で続けるお父様。

「もうー璃杏は世界一いや!宇宙一可愛いよー!流石我が子!!天使!!女神!!いや女神は白百合だよねー!」

そして、何故か褒め始めたお父様。

そう言えば、お父様こんな所に長くいて大丈夫なのかな?

仕事とか。

陽夏凛さんが『今日は羽流様はお仕事が多くてあんまり遊べませんねー。残念ですね璃杏様』と言ってたからこんな所にいる場合ではないかと。

でも、もしかしたらお仕事終わったのかもしれない。

聞いてみるのが一番いいよね!

ということで私は今も尚私の頭を撫で続けているお父様に質問する。

「あのー。おとうさま。おしごとはおわったんですか?」

お父様は“お仕事”という単語に一瞬動きが止まり顔から汗が出てきた。

????どうしたんだ?

「お、お仕事ね、お仕事まあ、そんなことは璃杏が気にすることはないよー!」

確かに気にする事はないと思うけど。

・・・・・も、もしかして!!!

変な汗、それに少し顔が青ざめている。

こ、これは!!!

「おとうさま!!むりはなさらないでください!」

私は頭に乗せたお父様の手を取りながら言う。

「り、璃杏っ!」

どこか嬉しそうにするお父様。

そうか、そうだよね。

私の予想は当たっていたか。

そうだよね、言いにくいもんね。

ここは私がそれとなくお父様を誘導しなくては!!

「おとうさま・・・・・どうぞ、おてあらいにいってきてください!!わたしはきにしませんから!」

私はぐっと親指を立てて大丈夫だよっと合図する。

「ん?・・・えっと、なんのこと?」

キョトンっとするお父様。

「え?おとうさまおてあらいでだいべんしたいんじゃないんですか?」

汗が出たり顔青ざめていると大体トイレで大する時かと思ったんだけど・・・・。

「り、璃杏!!そんなこと言っちゃダメだよおおお!!お嬢様はもっとおしとやかに生きなきゃ!」

つまり、大便と言う言葉を使ってはならないということか。

他になにかあったかなー?

って、そんな事考えてる場合じゃなく!!

じゃあなんで汗かいて顔青ざめてるんだ?

バアアン!!

その答えはすぐにわかった。

「おい!羽流!!!お前、勝手に仕事さぼってんじゃねー!プレゼント渡すのはいいがあれから40分くらい立ってんだよ!!早く仕事場につけ!!」

怒り顔で男の人が入ってきた。

こりゃまたイケメンだ。

黒髪短髪の群青色の切れ長の瞳をした青年。

ていうか40分もいたの!?あ、そっか、廊下長いから時間かかるよねー。

私の部屋からお父様の仕事部屋までは大体10分。

私と居た時間は30分。

それでも長いな。どれだけ居たんだこのお父様。

ていうか、お父様にサボりたかったんだ。

流石というかなんというか。

お父様と同じくらいの人がお父様の襟首をつかみ引っ張っていく。

普通ならお父様に敬語を使うはずなのにあの人は使っていないということは幼なじみかとても親しい友人なのかもなー。

そして、お父様はどんどん入口の方へと通り去っていく。

さらばお父様。

「がんばってねー!」

私は応援の言葉を手を振りながら言った。

「ぐはあっ!うん!頑張るよー!!璃杏ーー!!!!」

お父様も手を振り返した。

でれでれ顔で。

バタンッ

扉が閉まり部屋の中は静寂になる。

私は再びお父様から貰ったネックレスを見る。

やっぱり可愛いなー。

私は可愛いネックレスを貰えたことに浮かれて気づかなかった。

白い玉がドクンッと動いたことに。
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