上 下
19 / 123
3章:3歳になったらしい

18話:魔法試験

しおりを挟む
扉の中に入った時景色は一変してとても綺麗な場所だった。

扉の外は眩しかったけれど、扉の中は夜空が広がり星がキラキラと綺麗に輝きオーロラがカーテンのようにひらひらと広がっていた。

向こうの方は小川が流れている。

誰もいない心が落ち着くような場所。

結恵様は私の手を離し私と視線が合うようにしゃがむ。

「璃杏ちゃん。はじめまして!私は天界を支える女神結恵というの。よろしくね!」

ニコッと微笑む結恵様。

「はい!よろしくおねがいします!ゆえさま!!」

私もニコッと微笑み返す。

何故かとても自然に言葉を発せた。

結恵様は 頷いた後少し考える素振りをして悪戯っ子のような顔をした。

「璃杏ちゃん!私のことは結恵って呼んでくれないかしら?」

美人ってどんな表情しても似合うから羨ましいなーと思いながら結恵様の言葉に耳を傾けているとまさかの呼び捨て!!

ううー。とても憧れるけど年上の人を呼び捨てにするのはなー。

うーんと私が考え込んでいると結恵様はそれじゃあと提案をしてきた。

「それじゃあ、さん付けでもいいから様はやめてくれるかしら?あんまり呼ばれ慣れてなくて。」

さん付けか!!それなら!

「はい!結恵さん!」

あれ?でも、呼ばれ慣れていないって・・・天門さん様付してたよね?

私の疑問を察したらしく結恵様じゃなくて結恵さんは答えてくれた。

「天界の門番だけよ?私の事を様付けするの。はあ、天界の門番は悪い人じゃないんだけど仕事を真面目にしてれば完璧なんだけどね。」

あはは、天門さん流石。

「じゃあ、ほかのひとはさんづけをするんですか?」

「ええ。まあ、そんな感じかな?・・・・それで、本題に入りたいんだけど。」

真剣な顔をして言う結恵さん。

「ど、どうぞ。」

私は緊張して結恵さんに先を促す。

「ありがとう。それで、璃杏ちゃん。貴女には今から魔法を使ってほしいの。天界に私の誘い無しに来れたということは私より魔力が強い可能性があるの。でも、しっかりこの目で確かめたいから使ってもらってもいいかな?つまり、試験をするってこと。」

し、試験!!でも、私は・・・・・

「あ、あの!ゆえさん!まほうってどうやってつかえばいいんですか?つかったことなくて・・・。」

そう、私は魔法の使い方を知らない。

また、調べればいいかとのんびりしていたことを今後悔するとは。

そんな私に結恵さんは微笑んで答える。

「大丈夫よ!私が使い方を教える。それで言う通りに使ってくれれば大丈夫!璃杏ちゃんなら出来るわ!」

そう言って励ましてくれる結恵さん。

優しいよ!!結恵さん!!

「ありがとうございます!!がんばります!!」

私はガッツポーズをして結恵さんに笑いかける。

「はい、じゃあ。今から使い方を教えるね。魔法を使うには2つやる事があるの。まず①使う魔法をどういう風に使うか。②呪文を唱えること。詳しく言うと①は例えば敵を倒したい場合。水魔法で蛇を作り敵を締め上げる。という絵図を想像するの。この時どうやって相手に向かって蛇を突撃させるかっていう道順を考えるのも大切なんだけど、使いこなせば自然に出来ちゃうの!②ははっきり言っちゃうと璃杏ちゃんには必要ないかな。魔力が強ければ強いほど想像するだけで使えるようになるの。でも、強くても失敗できない時は呪文を唱えたりするし弱くても呪文を唱えずに使えたりする人も希にいるわ。まあ、これを分かっていればなんとかなると思うわ。・・・・・じゃあ、やってみる?」

結恵さんは首を傾げて聞く。

私の返事は勿論。

「はい!やってみたいです!」

私は元気よく答える。

魔法って一回は使ってみたかったんだ!

私の大好きな乙女ゲームには魔法を使う国だったからすごい憧れた。

それが現実に!!!

気合が入る!!

「ふふっ、じゃあまずはどんな魔法を使いたい?試験と言ってもどれくらい魔力があるか見るだけだから緊張しないで。」

「は、はいい!!え、えっと・・・水魔法使いたいです!!」

実は私は水が好きだ。

変だと思われるんだけど、雨の粒とか噴水の噴き出す水とか幻想的で魅力的だし、天然水と普通の水では味も少し違うし!!

それにそれに、柔らかい水とか鋭い水とかあったりして飲みごたえが違うの!

っと、打線してしまった。

そして、そんな私は1度でいいから水魔法で花畑を作ってみたかった。

それが、叶う!!

「水魔法ね。分かった、じゃあ自分が水魔法でどんなこともしくはどんなものを作りたいが決めて。」

「きめました!!」

私は自信満々に即答する。

改めて考えたらなんであんなに自信満々に答えたのか不明だった。

きっと、何かに自信満々だったんだよ。

「ふふっ、即答ですか。はい、では、頭の中で想像しながら初めてですので私に続けて唱えてください。」

結恵さんって敬語だったりタメ語だったり話し方変わるなー!

敬語使ってると陽夏凛さんと声似てるから陽夏凛さんといる気分になる。

「では、いきますよ。水よ、今、我の思うものに変化せよ。」

「みずよ、いま、われのおもうものにへんかせよ。」

私は結恵さんの言葉に続いて間違えないよう慎重に唱えながら頭の中で水の花畑を作り上げる。

身体が熱くなる。

力が湧いてくる。

と、下の草原から水の色んな花々が咲き誇る。

しかも、私が色とりどりの水の花畑を想像したため目の前に広がる景色は色とりどりの水花が咲いている。

「わあ!!すっごおおい!!きれい!!」

結恵さんも目を見開いて驚いている。

「(まさか、この草原一面に水の花を咲かせるなんて。しかも、同じ花じゃなく違う種類の花。すごい。ここの草原はたとえ魔力が強くても花を咲かせられるのは4分の2程でも、璃杏ちゃんは4分の4咲かせられている。璃杏ちゃんの魔力は想像以上に強い。)」

なにか、結恵さんが呟いていたけれど私は自分で作り上げた水花畑に感激していたためその呟きは聞こえなかった。

「じ、じゃあ、璃杏ちゃんの魔力もわかった事だし!両親とか心配しちゃう可能性があるから、そろそろ帰ろうか。」

そう言って微笑んで私の手を握る結恵さん。

だけど、私はその笑顔にどこか違和感を覚えた。

結恵さんと会った時から違和感ばかりな気がする。

扉から出た時天門さんはこちらを見て敬礼し「ありがとうございましたああああ!!!」と元気に叫んで見送ってくれた。

その後私は光に呑まれ意識が薄れていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私は脇役でしょう?

Snowdrop
恋愛
ある日、御洛 都は前世の記憶を思い出した。 そして気付く。 今世の自分、御洛 都が前世でみた乙女ゲームに出てくる『ヒロインの友達キャラ』 だということに。 だが待って欲しい。 このキャラ、高確率で死にますよ? 自殺か刺殺か交通事故死ですよ? そんなの回避させていただきます! ゲームでは貧乏くじを引くことになる都だが、そもそも攻略対象に興味はないしスルーだ!と決心するものの、結局スルーとは程遠く...

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

最強目指す脳筋令嬢は婚約破棄されたい

寿司
恋愛
 とある帰り道、交通事故で死んでしまった四宮雪路(しのみやゆきじ)は婚約破棄されて成敗される乙女ゲームの悪役令嬢、ユノ=ルーンベルグとして転生してしまう。でも、ま! いっか! 地球にはもう私と互角に渡り合える生物はいなかったし、この剣と魔法の世界でも私は最強目指して突き進む! 聖女? 婚約者? そんなものは後後! 聖女としては落ちこぼれで馬鹿にされがちだが、規格外過ぎる最強主人公が、乙女ゲームの攻略対象たちを巻き込みながら好き勝手大暴れする物語です。残念なイケメンと残念な美少女しかいません。乙女ゲームなのにカッコいいイケメンとラブラブイチャイチャみたいな要素は少ないですが、恋愛要素はあります。  小説家になろう様にも東山春雨名義で同小説を投稿しています。 ◇◇微妙にタイトル変更しました。また、書き進めている内に恋愛要素が強くなったのでジャンルをファンタジーから恋愛に変更しました。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

処理中です...