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2章:1歳になったらしい

10話:夜の話し合い

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璃杏の誕生日会が終わって3日目。

璃杏が寝静まった夜9時頃にある部屋に6人の男女の影が窓のカーテンに写っていた。

部屋に集まったのは月鍵白百合つきかぎさゆり月鍵羽琉つきかぎはる彩帖双美さいじょうふみ上見館陽夏凛かみしろひかり百織空桜ひおりそら鷹雅楓斗たかみやふうとが集まった。

集まった部屋は白百合の部屋である。

「羽琉様。皆さんを呼んでどうなさったの?」

白百合が首を傾げて羽琉に聞く。

「うん。実はね璃杏について話したいことがあるんだ。」

羽琉は少し困った顔をして言った。

「じゃあ、なんで俺は呼ばれたんだ?璃杏様とはなんの接点もなければこれからも関わることは無い。」

そう言ったのは楓斗だ。

楓斗は羽琉の幼なじみで今は羽琉専属の執事兼秘書をしている。

鷹雅楓斗は黒髪短髪に群青色の瞳をしたイケメンだ。

「うんうん!そうだよねー!楓斗は璃杏と関わることは少ないけど一応知っといてもらおうと思ってね。昔からの信頼厚ーーーい楓斗にね!」

ニコニコ笑顔で楓斗に言う羽琉。

「そう。」

そっぽを向く楓斗。

がしかし!その耳は赤く染まっている。

「あれれれれえ?照れたの?照れちゃったのお?楓斗さん??」

片手を口に当てニヤニヤしながら楓斗に近づく羽琉。

バコオオン!!

突如、羽琉の頭に強烈な痛みが走った。

「いったああー!!・・・・なんかさー白百合って僕に対してだけ昔から暴力的だよね!なんで?!そんなに僕が嫌いなの!?うえええん!!白百合に嫌われたああ!!」

大泣きする羽琉。

「はあ、嫌いだったら結婚なんていたしません!ただ・・・・・・羽琉様が全く話す気配もなくふざけまくっているからお盆で殴ったんです。」

呆れた顔から一変黒いオーラを放ちながら羽琉を笑顔で見つめる白百合。

「全くその通りですね。あと、ネガティブに考えすぎることが多いです。もう少しポジティブに考えてください・・・・・あと、さっさと話しなさいよこの変態野郎。」

真顔からさらに真顔になり黒いオーラを放ちながら羽琉を見る双美。

「あ、あの、ケンカ?はやめましょうよ!」

慌てた様子で言う空桜。

「え?あれケンカなの?痴話喧嘩かと思ってましたー!」

あははー!と笑いながら言う陽夏凛。

「痴話喧嘩って・・・・・意味が違いますよそれ。ていうかけんかなの?って聞いて思ったものがケンカの一種なのですけど。」

呆れながら陽夏凛を見る空桜。

パンッパン

「では、そろそろお話していただきましょうか。こんな事してたら余計眠れなくなりそうですし。」

白百合が手を叩き皆に注目させる。

「う、うん。わかった・・・・・・皆ももう分かってると思うけど璃杏の銀色の髪はとても異質なものなんだ。それでこの前璃杏の髪についてどこかで見覚えがあって調べたんだ。そしたら・・・・月鍵家の初めの娘である月鍵結恵つきかぎゆえさんが銀色の髪と深緑の瞳を持った人だって言うのが分かったんだ。そして、信じられないだろうけれど僕は結恵さんにあったことがある。」

真剣な顔で言う羽琉。

その他の人は驚いて言葉が出ない状態だ。

「・・・・・・羽琉様、結恵さんという方はどんな方なのですか?」

先に我に返った白百合が羽琉に聞く。

「とても綺麗な人だよ。でも、結恵さんは人の友達がいないんだ。その理由は勿論銀色の髪という異質の髪のせいって言うのもあるんだけど魔力もすごく強かったんだ。どのくらい強いのかというとこの世界で誰も適わないほどの強力な魔力を持っている。」

「それじゃあ、もしかして璃杏様も強力な魔力を持っている可能性があるって事ですか?」

落ち着いた様子でだけど混乱もした様子で羽琉に聞く双美。

「それは勿論。可能性ではなく確実に・・・・結恵さんが言ってたんだ。1000年後もしかしたら私と同じ銀色の髪を持って生まれてくる子がいるってそして、璃杏が生まれた年は丁度・・・・・1000年なんだ。」

俯き気味に言う羽琉。

「質問したいんですけど。あの、そもそも月鍵家の人達ってその、結恵様に会ったことがあるんですか?」

混乱した感じの表情で問う空桜。

「どうなんだろう。僕のお父様は月鍵家の血縁者だけど会ったことないって言ってた。あと、結恵さんに会うには結恵さん側から呼ぶしか方法は無いんだ。もし、自由自在に行き来出来るとしたらその人は結恵さんより魔力が強いということだよ。だから、今まで結恵さんと自由に会えた人はいない。」

「そもそもどうやって結恵様に会うんですか?」

冷静に質問する陽夏凛。

「会いに行くためには2つルートがある。一番手っ取り早いのは扉かな。扉は白色の扉で月鍵家の扉と同じようなデザイン何だけどこの扉はいつも見えてるわけじゃないんだ。結恵さんがいま来て欲しいと願った時にだけ見えるようになる。ただ、魔力が強い人には見えるみたい。毎日のように。そして、もうひとつは本なんだ。」

「本?なんで本なんだ?」

皆より遅めに驚きから立ち直った楓斗が聞く。

「さあ?僕もわからないけれど結恵さんの日記帳みたいな物らしい。結恵さんのところに行くにはその本を開いて呪文を唱えないといけないんだけどその本を開けれるのは結恵さんか結恵さんより強力な魔力の人しか開けられないんだ。」

「そうなんですか・・・・で、それで結局のところ何が言いたいんですか?羽琉様。」

羽琉を真っ直ぐ見つめる陽夏凛。

「璃杏を試す真似はしたくないんだけど璃杏が3歳になったら書庫に連れてってくれないかな?」

「璃杏様を?何故ですか?何のために。」

「璃杏にどれ程の魔力があるのか結恵さんの本で試させてもらおうと思ってその魔力の強さでこれからの事について対策を練らなくてはいけないからね。」

そう言って微笑む羽琉。

「・・・・・・・・・・・そうですか。分かりました。最後にもう一つだけ言ってもいいですか?」

陽夏凛さんは何処か睨むように羽琉を見る。

「うん。どうぞ。」

羽琉は微笑んだまま陽夏凛を見つめ返す。

「ありがとうございます。害したら申し訳ありませんが言わせていただきます。・・・・・・・・羽琉様に限らず皆さん演技がお上手ですよね。」

そう言って微笑む陽夏凛の姿は何処か悲しげに見えた。
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