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1章:転生したらしい

7話:百織空桜の事情と頼み事

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「な、なんですか?」

真剣な陽夏凛さんに緊張した面持ちで答える空桜さん。

「空桜くんの名前と騎士団っていうのは分かったけど、どこの家で何してた人?ここら辺では見ない容姿だから気になって!あと、本当に男なんですか!?」

空桜さんは白い髪は首の中間くらいの長さの少しくせっ毛で前髪を左に流して青色のアメピンを耳少し上につけて水色の瞳をして肌が白い美少年で多分前世でいう男の娘というものなんだと思う。

うん・・・・可愛いっ!!

「はい。そうです。僕はこの国の者ではないです。僕はこのスカイレイン国より東にある国ユキルエム国のものです。そこの国の人は僕みたいな髪色とか目をした人が少なからずいますよ。それで、僕はそこの公爵家の5男です。」

え・・・・え?・・・・ぇぇぇぇぇぇえええ!!

こ、こここここここ公爵家って!!

「な、なんでそんな方が月鍵家に?5男と言っても公爵家のお子さんでしょう?」

双美さんとお母様は完全に固まり陽夏凛さんは目を見開いて手を口に当てたスタイルで聞く。

あ、それ、癖なんだ。

てっきり、わざとやってるのかと薄々思ってた。

確かに公爵家で5男でも嫁ぎ先とか婚約者とか色々あると思うけど。

空桜さんは頬を掻きながら困った顔をする。

「なんと言いますか、その、僕は元々騎士になりたかったんです。だから、必死に両親に頼み込んで実力を他の誰よりもあげてたまには顔を見せることを条件に騎士になることを了承してくださいました。そして、両親は一番信用における月鍵家の騎士団に入れさせてくださったのです。」

なんと、すごい夢なんだろうか。

私なんて前世じゃまだ夢とか進路とか決めてなかったぞ!!高2だったけど!

パンッ!!

「ああ!だから、百織って苗字を聞いた時ちょっと引っかかったのね!!あの百織公爵家の子だったのね。納得だわー!」

我に返ったお母様は手を叩いて納得したように何度もうなづいた。

「ま、まさか、公爵家だったなんて思いもしなかったわ。でも、空桜さんの今の実力は上の者よりずっと強いしこれなら誰かの守護騎士にも・・・なれ・・・る・・・あの、もしかして空桜さんのお願いって・・・・。」

お母様の手を叩いた音で我に返り双美さんはまとも双美さんに戻ったけどなにかに気づいたらしい。

空桜さんも双美さんの言おうとしたことに気づきお母様の前に跪き項をたれる。

はっ!!もしや、空桜さんはお母様に憧れてお母様の守護騎士になろうと思ったとか!?

「先輩方からも許可を頂いています!!あの、僕を・・・・・・璃杏様の守護騎士にさせてください!!今日のことでもしかしたら璃杏様は騎士を怖く思ってしまったかもしれないと騎士団の者達と話しておりました。それで恐れ多くも僕が騎士の本当の姿そして璃杏様の守護騎士にと命じられ白百合様の許可をいただきにまいりました。本当は羽琉様にも許可を頂きたいのですが再来週にならないといらっしゃらないので今回は白百合様の許可をいただきにまいりました。」

ん?どちらかと言うと病み怖しとは思ったけど騎士の事は怖く思ったことは無いぞ?

ていうか私!?私なの!?まさかの私の守護騎士!!

「顔を上げてくださいな。そうね。確かに今回の事は記憶が薄れるにしても恐怖を与えてしまった。でも、ごめんなさい。まだ、璃杏には守護騎士はいらないわ。」

お母様は空桜さんを見つめる。

そっかーダメなのか。

「そう、ですか。やっぱりダメですよね。」

「白百合、考え直した方がいいんじゃないかしら。ダメだなんて。」

空桜さんは少し悲しんだ様子で双美さんは困った顔でお母様を見た。

でも、陽夏凛さんは何故か私達を不思議に見ていた。

何言ってるんだろうこの人達・・・みたいな?

「ん?ダメだなんて言ってないわよ?」

お母様は不思議そうに首を傾げる。

陽夏凛さんもお母様の言葉に頷く。

「そうですよ!白百合様はダメだなんて言ってませんよ!」

え?でも、いらないって・・・・。

「え?・・・・でも、いらないと仰いましたはずですよね?」

双美さんも空桜さんの言葉に頷く。

「何を言ってるの?私はと言ったのよ?璃杏にはまだいらない。だから、璃杏が4歳になったら守護騎士として働いてもらうってことよ?分かってくれたかしら?」

え?そういうこと!?

だから、陽夏凛さんあんなに不思議そうにしてたのかああ!!

空桜さんも安堵してその場に腰を下ろしたと同時に顔が赤くなった。

「な、なんだ~そういうことかあ。・・・・うぅぅすごい恥ずかしい。」

うへー真っ赤!!可愛いいい!!!

「何この子!璃杏様の次に可愛いじゃないですか!!!」

そう言いながら陽夏凛さんは空桜さんの頭を撫でる。

「うわあ!!ちょっ!やめてください!!僕は男です!!可愛くありませんっ!!!」

涙目に頬を赤くして反抗する姿は・・・・・可愛いとしか言いようがない。

あと、その顔はどう反抗しても効かない気がする。

私は慰めとして空桜さんに手を伸ばす。

が・・・・届かないっ!!

うー!うーーん!

私は必死に手を伸ばすけど届かない。

腕・・・・短いな。

「璃杏様?どうなされましたか?あ、もしかして空桜さん気に入りましたか?」

ニコッと微笑む双美さん。

いや、まあ、気に入ったか気に入ってないかって聞かれたら気に入ってるけど・・・そうじゃない!!

でも、優しい双美さん。

しっかり空桜さんの近くに行ってくれた。

ありがとうございます!双美さん!!

私は空桜さんの頭に手を置いた。

「?璃杏様?」

私は空桜さんの頭を撫でようとすると・・・

「ちょっ!!璃杏様!!何しようとしてるのですか!!ビンタに飽き足らず頭を叩くなんて!ダメですよ!!それなら私にしてください!!!」

ちょっっと待てええぇぇい!!

何暴力する思考になってるの!?陽夏凛さん!!

ていうか、陽夏凛さん最後おかしくない!?

しないよ!誰にもビンタも頭も叩かないよ!!

「・・・・・・・・・」

ほらー!なんか固まってるよ空桜さん!!

怯えさせてどうするの!?

「あ!」

と急に声を上げたお母様。

ど、どうしたんだお母様よ。

「もしかして、百織空桜のそらってお空の『空』に花の『桜』って字してる名前よね?本当に顔と合っていて可愛らしい名前だと思ってたのよねー!」

なんだ、そんなことかー!

でも、空に桜って可愛らしい感じだな確かに!!

と、空桜さんを見ると顔を青くして涙目になっていた。

「な・・・なんで・・・なんでバラしちゃうんですかあああ!!白百合様!!僕その字女の子みたいで嫌いなんです!!!そらって言っても男の子っぽいからまだいいですけど字で書くと空に桜なんですよ!?綺麗な字だとは思いますけど・・・・男としてはあんまりだあああ!!・・・・・璃杏様っ!!」

叫びまくる空桜さん。

と、急に私に顔を近づけて言い放った。

「僕を・・・・僕を殴ってください!!!」

・・・はあ???なんでぇぇえ!?

こっちがあんまりだよ!!

「おお!!璃杏様!!やりましょう!」

なんでそんな陽夏凛さんは生き生きしてるの!?

そして、何故笑顔っ!?

「お願いしますうぅぅ!!僕は、僕はあああ!!」

えぇぇー。そんな悲しそうなお顔をしないでおくれよー。

分かったよーやればいいんだね!それで満足するんだね!!

でも、うーん・・・・殴るって頬を殴ればいいのかな?

殴ると言ったらグーだよね?

私はグーを作り空桜さんの頬に向かってパンチする。

トンッ

やっぱりソフトなパンチになった。

「・・・・っ!!!か・・・可愛いっ!!」

そんなこと言いながら身悶える空桜さん。

だけど、身悶えていたのは空桜さんだけではなくお母様と陽夏凛さんも悶えていた。

と急にお腹が苦しくなった。

ぐえええ!!ちょっ!!しまってる!しまってる!!

苦しいよ!!双美さん!!!!

「可愛いですよぉぉおおお!!!きゃあああ!!もう!天使ぃぃぃぃ!!!」

ぎゃあああ!!やめて!!苦しいからあああ!!!!!

私の朝はとてもとても素晴らしい誤解と死にそうになる体験をした朝だった。
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