47 / 49
10章:リアは考える
Ⅱ
しおりを挟む
屋敷の掃除がひと通り終わった頃には、空も暗くなっていた。
仕事が終わったあと、侍女さんたち全員は使用人部屋のロビーに集まって明日の大まかな仕事内容を確認することになっている。
30人くらいの侍女さんたち全員が集まって並んだ頃、侍女長であるロリアさんが前に立って話し出した。
「皆さん。お疲れ様です。明日は、今日屋敷内掃除担当だった人達は洗濯と庭掃除。今日洗濯と庭掃除だったものは屋敷内の掃除担当をよろしくお願いします。そして明日は、マリアンローズ夫人がお茶会に参加しますので、そのお見送りをします。では、明日もよろしくお願いします。解散!」
ロリアさんの合図で皆さんそれぞれ部屋に戻っていく。
私もなんだか疲れたのでそそくさと部屋に戻った。
自分の部屋の扉を閉めたあと、その場に蹲った。
「やっぱり気になるよお。ルーシャ様・・・なんで、睨んだんだろう。」
無意識のうちになにかしたのかもしれない。
だけど、今日はルーシャ様がお城から帰ってくるまで会っていない。
じゃあ、お城で何かあったのかなー?
でも、そんなこと聞いたら、なんで気になるのか聞かれるかもしれない。
もしかしたら、深堀しすぎて嫌われちゃうかもしれない。
ふと、私の脳裏にエリンさんの言葉が響いた。
『あくまでお嬢様と侍女。身分が違うんだから、馴れ馴れしくするのはあまり好ましく思われないから気をつけた方がいいのよ。』
『そう思うのは自由よ。でも、好ましく思わない方だっている。それは覚えておくのよ。』
「馴れ馴れしくするのは・・・あまり好まれない。」
ぽつり脳裏で響いた言葉の1部が口からこぼれる。
・・・・・・ルーシャ様は馴れ馴れしく・・・仲良くするのは、身分に差がある人とは仲良くなりたくないのかもしれない・・・。
もしかしたら、お城に行って、そんなことに気づいてしまったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・私とは、もう、お話したくないのかもしれない。
・・・でも、私は、ルーシャ様と仲良くなりたい。
・・・沢山お話して、それから、スノードロップ畑を咲かせて、1番最初に見せたい。
不可能だったことができるって分かったら、きっと、たぶん、もしかしたら、勇気になるかもしれないって思うから。
でも・・・ルーシャ様からしたら、余計なお世話かな・・・?
昨日の折り紙も、もしかして、迷惑だった?
・・・・・・ううん!喜んでくれてた!!
大切にするって言ってくれた。
「・・・・・・・・・うううぅ。どうすればいいのぉ。」
人間関係がこんなに難しいなんて思わなかった。
人と人との気持ちに差があるなんて思わなかった。
どうすれば、どうすればルーシャ様と仲良く、そして、運命を変えられるのか・・・分からない。
分からないよ・・・。
何も出来ない、分からないことが悔しい。
自然と涙が出てきた。
「・・・ズッ・・・グスッ・・・どうすればぁ・・・いいのかなぁ・・・グスッ」
顔を疼くめて鼻をすする。
汚いけど、誰もいないからいいや。
それに、きっと、誰も来ない。
コンコンコンッ
そう思った瞬間扉がノックする音が聞こえて、肩がビクッと上がった。
涙を拭って、扉から離れて返事をする。
「ど、どちらさまですか?」
「・・・ルーシャよ。リア、入っていいかしら?」
私は、扉から聞こえた声と名前に驚愕した。
仕事が終わったあと、侍女さんたち全員は使用人部屋のロビーに集まって明日の大まかな仕事内容を確認することになっている。
30人くらいの侍女さんたち全員が集まって並んだ頃、侍女長であるロリアさんが前に立って話し出した。
「皆さん。お疲れ様です。明日は、今日屋敷内掃除担当だった人達は洗濯と庭掃除。今日洗濯と庭掃除だったものは屋敷内の掃除担当をよろしくお願いします。そして明日は、マリアンローズ夫人がお茶会に参加しますので、そのお見送りをします。では、明日もよろしくお願いします。解散!」
ロリアさんの合図で皆さんそれぞれ部屋に戻っていく。
私もなんだか疲れたのでそそくさと部屋に戻った。
自分の部屋の扉を閉めたあと、その場に蹲った。
「やっぱり気になるよお。ルーシャ様・・・なんで、睨んだんだろう。」
無意識のうちになにかしたのかもしれない。
だけど、今日はルーシャ様がお城から帰ってくるまで会っていない。
じゃあ、お城で何かあったのかなー?
でも、そんなこと聞いたら、なんで気になるのか聞かれるかもしれない。
もしかしたら、深堀しすぎて嫌われちゃうかもしれない。
ふと、私の脳裏にエリンさんの言葉が響いた。
『あくまでお嬢様と侍女。身分が違うんだから、馴れ馴れしくするのはあまり好ましく思われないから気をつけた方がいいのよ。』
『そう思うのは自由よ。でも、好ましく思わない方だっている。それは覚えておくのよ。』
「馴れ馴れしくするのは・・・あまり好まれない。」
ぽつり脳裏で響いた言葉の1部が口からこぼれる。
・・・・・・ルーシャ様は馴れ馴れしく・・・仲良くするのは、身分に差がある人とは仲良くなりたくないのかもしれない・・・。
もしかしたら、お城に行って、そんなことに気づいてしまったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・私とは、もう、お話したくないのかもしれない。
・・・でも、私は、ルーシャ様と仲良くなりたい。
・・・沢山お話して、それから、スノードロップ畑を咲かせて、1番最初に見せたい。
不可能だったことができるって分かったら、きっと、たぶん、もしかしたら、勇気になるかもしれないって思うから。
でも・・・ルーシャ様からしたら、余計なお世話かな・・・?
昨日の折り紙も、もしかして、迷惑だった?
・・・・・・ううん!喜んでくれてた!!
大切にするって言ってくれた。
「・・・・・・・・・うううぅ。どうすればいいのぉ。」
人間関係がこんなに難しいなんて思わなかった。
人と人との気持ちに差があるなんて思わなかった。
どうすれば、どうすればルーシャ様と仲良く、そして、運命を変えられるのか・・・分からない。
分からないよ・・・。
何も出来ない、分からないことが悔しい。
自然と涙が出てきた。
「・・・ズッ・・・グスッ・・・どうすればぁ・・・いいのかなぁ・・・グスッ」
顔を疼くめて鼻をすする。
汚いけど、誰もいないからいいや。
それに、きっと、誰も来ない。
コンコンコンッ
そう思った瞬間扉がノックする音が聞こえて、肩がビクッと上がった。
涙を拭って、扉から離れて返事をする。
「ど、どちらさまですか?」
「・・・ルーシャよ。リア、入っていいかしら?」
私は、扉から聞こえた声と名前に驚愕した。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。
広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ!
待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの?
「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」
国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる